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命の価値

今年も、誕生日を迎えることができた。

この歳になると、自分の生まれた日だからといって特に何の感慨も湧かない。ある時そう口にすると、「人が生まれて、一年ごとに誕生日を迎えられるなんて、すごいことじゃないか」と言われた。確かにその通りだ。僕は自分の境遇に対する感謝の気持を忘れていた。

シリア。イラク。ミャンマー。理不尽な暴力の連鎖。人が人を傷つけ、殺すことが、まかり通ってしまう世界。それによって誕生日を迎えたくても迎えられなかった人が、今年一年だけで、世界には数え切れないほどいたはずだ。どうして人間は、愚かな所業を止めることができないのか。

命の価値とは、いったい、何なのだろう。

旅の日々と日常の日々

今年もまあ、それなりにいろんな場所に旅をした。沖縄、ブータン、ラダック、アラスカ、タイ。さっき電卓で計算してみたら、旅に出ていた日数は合計で80日。2カ月半ちょいといったところか。夏から秋にかけては行ったり来たりのくりかえしだったので、日数以上にせわしなかった印象はあるけれど。

まだ完全に確定してはいないのだが、来年は、インドにたぶん丸2カ月。毎年恒例となってきたタイにも約4週間、行くことになると思う。この時点ですでに今年より不在期間が多いという(苦笑)。それ以外にも、短期ではあるけど、個人的な取材ではアラスカとか、仕事の取材としても1、2カ所、別の場所に行くかもしれない。先が思いやられる展開である。

旅の日々と、日常の日々。僕はどちらの時間も好きだ。カメラを手に、たった一人で異国の空気に身を浸している時間も好きだし、東京の自分の部屋でコーヒーを飲んだり、気のおけない人たちと酒を酌み交わしたりする時間も好きだ。ただ、旅に出れば、どこかで何かしら、自分から人に伝える価値のあることをインプットさせてもらえる。ある意味それが今の自分の仕事というか、役割になっている。だから僕は旅に出るのかなとも思う。

自分が旅というものを仕事の主戦場にするようになるなんて、10年前には想像すらしていなかった。コストパフォーマンスを考えると、あまり賢い選択だったとは思えないけど(苦笑)、とりあえず、力が尽き果ててどうにもならなくなるまでは、やり続けてみようと思っている。

孤独の意味

「誰もいない原野の真っ只中で、たった一人でいることが、嬉しくて、嬉しくて、仕方なかった」

20年以上前、ある人が、ある人と、ある人について話した言葉。当時、それを耳にした僕は、その意味がまったく理解できなかった。でも、今はたぶん、ほんの少しだけ、その真の意味が理解できるような気がしている。

危険をかえりみずに冒険をしたことを後で人に自慢しようとか、そんな薄っぺらい気持では断じてない。他の人間と関わるのが嫌で一人になりたかったというのとも違う。たった一人で、誰もいない原野にいる。でも、つらくはないし、寂しくもない。完全な孤独の中に身を置くからこそ、理解できる感覚。世界のすべての存在の中で、自分はそのほんの一部分に過ぎないということ。

あの感覚を、人に説明するのは、とても難しい。

radikoタイムフリー賛歌

今年の10月から、radikoに新しく導入されたタイムフリー機能。番組が放送されてから1週間の間なら、いつでもその番組を聴くことができるようになった。この機能、ほんと、まじで、スバラシイ。

僕は家にいる時、原稿執筆に集中していたりインタビューの音声起こしをしていたりする時でなければ、たいていラジオかCDをかけ流しにしている。好きなラジオ番組はいろいろあるのだが、時間帯によってはどこの局も、うーん、イマイチ、という時もまあ結構ある(苦笑)。外出していたりして、好きな番組を聴き逃す時も少なくない。でも、タイムフリー機能を使えば、そういう惜しい時間を取り戻して、埋め直すことができる。ほんと、拍手喝采である。

ちなみに今聴いているのは、昨日外出していて聴き逃した、Inter FMの「Barakan Beat」。同局の水曜深夜の「JAZZ ain’t Jazz」と「Tokyo Moon」もよくタイムフリーで聴き直している。落ち着いて聴ける音楽主体の番組が多いかな。それにつけてもこのタイムフリー、本当にいい取り組みなので、これからも改良を重ねながら、続けてほしいなと思う。

ガタが来ている

3日間の総合旅程管理研修を一昨日に終えた後、昨日は昼の2時頃まで、寝床から起き上がれなかった。慣れない詰め込み勉強に朝から晩まで取り組んだことで、相当疲れがたまっていたらしい。起きてもしばらくの間、頭が全然回らなくて、大学案件の原稿に取りかかれる状態にまでしゃんとしたのは、夜中近くになってからだった。

まあでも、疲労がたまりやすかったり、たまった疲労が抜けにくかったりするのは、単に歳を取ったことで身体にガタが来はじめてるからだとも思う。タイ案件の担当編集さんともこの間そういう話になって、「年を追うごとに、タイから帰国した後、疲労が抜けるまでに時間がかかるようになってますよね……」という点で意見が一致した。

単純なもの忘れもよくやらかす。大事なことはブロックメモに書いて、それが必要な時に部屋の中で目につきやすい場所に置くようになった。記憶力の低下も結構なもので、この間、自炊の話をしていた時に、なぜか「片栗粉」という言葉をド忘れした(苦笑)。

あと、この間やった忘年会の時に同年代の人たちとちょっと盛り上がったのが、「自分の歳をド忘れする」という話(笑)。サバを読むとかそういうことでなく、本当にナチュラルにド忘れしたり、間違ったりしてしまうのだ。ここまでくると、もう正真正銘のおっさんである。

まあ、歳を取ったら取ったで、楽しみや面白みもいっぱい出てくるんだけどね。