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人と人との縁

午後、ラジオ番組の関係者の方から電話。ラダックのガイドブックの件に絡んで、番組出演の打診をいただく。この間のbayfmといい、続く時は続くなあ‥‥。

聞いたところによるとこの関係者の方は、僕たちが先日ご挨拶に伺った書店の旅行書担当者の方と知り合いで、そこからこの話が始まったらしい。書店の方はガイドブックの編集者さんとも旧知の間柄だったそうだし、そもそもお店にご挨拶に伺うきっかけになったのは、別の知人の編集者さんからの紹介でもあった。

人と人との縁は、思いがけない形で繋がっていくことがある。ただ、そのためには、自らがアクションを起こさなければならないとも思う。そのアクションが間違ってなければ、きっといい方向に転がっていく。今度の件も、うまくいくといいな。

狙いに狙う

終日、雨。身体がだるかったので、午後に少し仮眠。身体がしゃっきりしたところで、原稿を書く。

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写真を撮る技術で、自分がまだまだダメだなあと思うのは、いい写真を狙って撮ることができてない、ということ。

このブログのポートフォリオに載せている写真も、自分からシャッターチャンスを察知して、狙いに狙ってモノにしたという写真は、実のところ、あまりない。むしろ、「とりあえず撮っとくか」的な感じで何の気なしにパシャッと撮った写真の方が、周囲の評価が高かったりする。いい写真ってどうやったら撮れるんだろう、と思うこともしばしば。

ただ、「狙いに狙う」ことを止めたら、いい写真が撮れなくなるのは間違いないと思う。何というか、いい写真を愚直に狙い続けていれば、周囲に注意が張り巡らされて、狙いとは違うところで何気ない瞬間が訪れても、脊髄反射で反応できる気がする。狙ってないと、ほぼ絶対に反応できないから。

狙ってモノにする確率も、まぐれ当たりの確率も、両方上げていくのが理想かな。修練せねば。

謝孝浩「スピティの谷へ」

この「スピティの谷へ」という本の存在を初めて知ったのは、ずいぶん前‥‥僕がアジア横断の長い旅を終え、フリーランスの立場で物書きの仕事をするようになって、しばらく経った頃だったと思う。その時は、書店で気になって手に取ったものの、持ち合わせがなかったか何かで買わなかったのだが、「インドのこんな山奥のことを本に書く人がいるんだ」という記憶は頭の隅に残っていて、数年後に自分がラダック取材を思い立った時のヒントにもなった。そして一、二年ほど前、今はなき新宿のジュンク堂で、この本の在庫が残っていたのを見つけて購入。いろいろ落ちついたらゆっくり読もうと思い続けていたのだが、ようやく読み終わった。

僕自身、スピティには2008年の初夏に二週間ほど滞在したことがある。ラダックやザンスカールに比べると、スピティはどことなく穏やかで、谷間をゆるやかに吹き抜ける風の冷たさが印象的だった。特に、ランザという村の民家に泊めてもらった時に見た、透き通るような朝の光に包まれた村の風景は、忘れることができない。出会った村人たちのおっとりとした笑顔も、いつかまたここに戻ってきたい、と思わせるものだった。謝さんの文章には、そうしたスピティの穏やかな自然や人々の暮らしぶりが丁寧な筆致で描かれているし、二人のフォトグラファーによる写真の数々は、ページをめくるたびにスピティへの憧憬を後押しする(一人ぼっちであくせく取材してた身としては羨ましくもある、笑)。個人的には、ダライ・ラマ法王のカーラチャクラ灌頂の会場で、顔なじみの村人たちと次々に再会した時のくだりが、謝さんの人柄が表れている気がして、とてもいいなあと思った。

ただ、読み終わって感じたのは、謝さんはなぜスピティにそこまで惹かれたのか、ということ。紀行文にそういう書き手の個人的な心情を書き込むというのは、もしかするとスマートではないのかもしれない。でも、僕が「ラダックの風息」を書いた時は、自分がラダックに心惹かれた理由を突き詰めることにものすごくこだわったし、書くのに苦しんだし、それでも書き切れたという確信が持てないくらいだった。同じインドのチベット文化圏に心惹かれた人がなぜこの場所を選び、通い詰めたのか、その思いの根っこの部分をもっと知りたかったというのは正直な感想だ。

それでも、謝さんにとってスピティがかけがえのない場所だということは、この本から十二分に伝わってくる。あとがきにも書かれていたけれど、東京のような街で暮らしていても、遠い彼方にもう一つの大切な場所の存在を感じられるというのは、とても幸せなことだなと思う。

見たことのない場所へ

今年の夏も、しばらく日本を離れることにした。もっと先かと思っていたら、カレンダーを見ると、あと三週間ほど。あっという間だな‥‥。

今年の主な目的地は、ラダックのようで、ラダックではない。最初に入るのはレーだけど、たぶん、二週間ちょっとくらいしかいないだろう。その後は、ひさしぶりに自分でもわくわくするような冒険を考えている。もっとも、その冒険に必要なもろもろの手配がうまくいけば、の話だが。最初の二週間は、主にその準備に費やすことになるだろう。

まだ見たことのない場所へ。その先には、以前訪れて心惹かれた、懐かしい谷間の風景がある。そう思うと、心がザワザワする。行けるといいな。

ラタトゥイユ

先日収録したラジオ番組が今日の夕方放送されるので、自宅待機。いやはや、自分のしゃべくりの拙さに、聴いてるだけで緊張した(苦笑)。うまく編集してもらえたからまだよかったものの‥‥(汗)。でも、本の宣伝もしっかりしてもらえて、ありがたかった。

晩飯は、ひさしぶりにラタトゥイユを作ることにした。トマト、ナス、ズッキーニ、ピーマンを適当な大きさに切り、鍋でオリーブオイルを熱して刻んだニンニクを入れ、香りが移ったら中火でトマト以外の野菜を炒め、トマトと缶詰のツナを入れ、フタをする。水は野菜から出てくるので一切入れない。煮立ってきたら弱火にして、10〜15分くらい煮る。味見をして、必要なら軽く塩・胡椒をすればできあがり。

夏野菜でラタトゥイユを作ると、あー、夏が来るんだなあ、という気がする。今日もおいしくいただきました。