インドを訪れたのは約二年ぶりだったが、その急激な変貌っぷりには、つくづく驚かされた。
今年十月に開催されるコモンウェルスゲームに備えて、デリーの街はどこもかしこも道路工事現場だらけ。パハルガンジに至っては、道にはみ出していた商店の軒先が無理やりぶった切られてしまっていて、もうメチャクチャな状態だった。大会の開幕までにはとても間に合いそうになかったが‥‥間に合わないだろうな、やっぱり。
デリー国際空港では、七月に第三ターミナルが新しくオープンしていた。このターミナルは、本当にピッカピカのゴージャスな造りで、ふかふかのソファが並んだラウンジや、こじゃれたコーヒーショップや、ガラスの蓋をかぶせて並べられた高級クッキーの店などがあった。最近のインド経済の好調さを象徴するような光景。インド本来のイメージとはちょっとかけ離れているかもしれないが。
変わったといえば、エアインディアも変わった。老朽化して機内の至るところが微妙に壊れていた(苦笑)ジャンボ機に代わって、最新型のボーイング777が就航。エコノミークラスでも座席はゆったりしていたし、各座席には液晶モニタが備え付けられていて、いつでも好きな映画を選んで観ることができた。ジャンボ機だった頃の苦行のようなフライトに比べると、嘘のような快適さだ。
でも、機体が最新型になっても、エアインディアのキャビンアテンダントはあいかわらずだった。隣の人のコップに水を注ぐ時、下にトレイも何も添えなかったせいで僕の膝にどぼどぼと水をこぼしてしまい、しかもそれを詫びることもない(苦笑)。アバウトというか何というか。
帰りの飛行機の中で、キャビンアテンダントがドリンクのカートを運んできたので、ビールを頼むと、ぬっ、と缶ビールを二本差し出してきた。「一本でいいですよ」と伝えると、そのキャビンアテンダントはこう言った。
「ワン・ビア? グッド!」
何がグッドだ。君にタメ口で酒量の節制を褒められるいわれはない(笑)。