Tag: Editing

そしてまた、次の本へ


『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』が、昨日から正式に発売された。書店への入荷が少し早かったようで、実際には先週末の時点から、店頭には並んでいたのだけれど。

今回の本は、見本誌が出来した時点で信じられないようなトラブルが発覚し、出荷直前のぎりぎりのタイミングでその対応に追われる羽目になって、本当に大変だった。修正が終わった正規版を自分の手に取って確かめるまで、何日もの間、心配でろくに眠れないような思いで過ごした。どうにか綺麗に直っていたので、今は心からほっとしている。

この『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』が、世の中でどんな風に受け止められるのかは、わからない。酷評されるかもしれないし、冷淡に無視されるかもしれないし、すぐに忘れ去られてしまうかもしれない。それでも、100人のうち1人か2人くらいの人には、心の隅にクリップで留めておいてもらえるような本であってほしい、と願っている。

本が完成して世の中に出て行った今、僕にできることは、それほど多くない。自分的には、今はもうすっかり、次の本づくりへと心が動き始めている。次は、どんな本を作ろうか。ガイドブックか、あるいはそれとは別の種類の本か。まあ、今年のうちに自分自身がワクチンを打って、渡航先も平穏な状態に戻った後でなければ、何も行動は起こせないのだが。

さて、次は、どうするかな……。

飛び去っていく日々

ここ十日間ほど、かなり忙しかった。大学案件の取材と執筆が立て続けに入って、それが終わってすぐ、六月に出る予定の新刊の著者校正。まるまる一週間ほどかけて、ようやくチェックし終え、とりあえず明日、郵便局からレターパックで出版社に送る予定。

著者校正をしてる間は、文字通り、一字一句をなぞるように、ひたすらちまちまと追い続けていた。ある程度の経験と、根気と持久力と集中力のいる作業だ。原稿を納品する時に入念にチェックしておいたはずだったのに、あらためて一字一字拾っていくと、やっぱりあるのだ、誤字、脱字、誤変換、不用意な重複、日本語的に意味が通りにくい部分、その他いろいろ……。でも、ここでしっかりチェックしきれるかどうかで、本の品質はかなり決まってくる。だから、絶対に手は抜けない。手を抜いて作られた本は、読者(特に同業者)に、あっという間に見抜かれてしまう。

はあ、あともう少しだ。がんばろ。

ついこの間、マンションの裏手で満開だった桜の木は、もうすっかり新緑の葉桜になってしまっていた。毎日が、矢のように速く飛び去っていく。まあ、今みたいなご時世なら、とっとと早く過ぎ去ってくれた方がいいのかもしれない。

幾星霜を経て

昨日は都心で打ち合わせ。6月に出す予定の新しい本の、デザインについて。

今回の本は、既刊のシリーズのラインナップの一冊として刊行されるので、デザイナーの方は、そのシリーズ全体の装丁を担当されている方だ。業界ではとても有名な、実績のある方で、かつてその筋では知らぬ者のいない雑誌のアートディレクションも担当されていた。

かれこれ20年近く前になるが、僕はフリーライターとして、その雑誌で何度か仕事をさせてもらったことがある。デザイナーの方と直接やりとりさせていただいたわけではないが、あれから幾星霜を経て、まさか自分の本の装丁を、その方に担当していただける日が来るとは、想像もしていなかった。

いや、別に自分が出世したわけではまったくなく(苦笑)、偶然の巡り合わせなのだが、それでも何だか、じんわり嬉しかった。

書き手から編み手へ

今年の初夏に出す予定の新しい本。草稿を書き上げてから1カ月ほどかけて、推敲とリライトに取り組んできたものが、とりあえず完成。各種素材と一緒にまとめて、担当編集さんに送信。

去年の夏の終わりから、かれこれ半年ほど費やして書き続けてきた原稿が、ようやく手を離れたので、ものすごくほっとした。書き終えてしまった、という一抹の寂しさはあるけれど、読んでいただくに足る本を書かなければ、というプレッシャーもそれなりにあったので。

この後は、担当編集さんとデザイナーさん、校正者さんとともに、本格的な編集作業が始まる。僕自身も、書き手から編み手の一人に立場を切り替えて、本を仕上げていく工程に関わっていく。一行々々、一字々々に神経を使う工程になるけれど、本が形作られていくのを目の当たりにできる、楽しみな工程でもある。がんばろう。

……と、その前に、確定申告を済ませておかなければ……(汗)。

推すか敲くか

今年出す予定の新しい本。草稿は三週間ほど前に書き終わり、今は推敲とリライトの作業に入っている。

スケジュールが許すなら、原稿の手直しには時間を使えるだけ使いたいのだが、もちろんそういうわけにはいかない。今回の本の場合、二月末までには原稿を仕上げて、編集者さんとデザイナーさんの手に委ねなければならない。あと一カ月。ほかの仕事もこまごまと入ってきているし、時間の猶予はもうあまりない。

そもそも今回の原稿、はたして面白いのかどうか、それすら確信が持てなくてぐらぐらしてるのだが、どうなんだろう。この自信の持てなさかげんは、最初の単著の本を書いた時から、まったく進歩していない(苦笑)。まあ、一生こんな感じなのだろうな。

というわけで、もうしばらく、推すか敲くかで悩む日々が続きそうである。