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28mmの初心

去年から時々行く山歩きの写真は、リコーのGR DIGITAL IVで撮っている。このカメラで写真を撮ることは、僕にいろんなことを思い出させてくれる。

二十代の頃、初めて自分で買ったカメラらしいカメラは、リコーのGR1というフィルムカメラ。長い旅に出る時、ショルダーバッグにはいつもGR1が入っていた。このカメラが搭載していたレンズは、今のデジタルのGRと同様、28mmの広角単焦点レンズ。他のコンパクトカメラと同じような撮り方では、全然思い通りに撮れない。でも、28mmというレンズの距離感に慣れてコツを覚えてくると、僕はその面白さにどんどん惹かれていった。

被写体が遠ければ、足で近づく。「いいな」と感じた場所から、さらに近づく。視線の高さにも気を配る‥‥一度カメラを構えたら、そのまま即座にシャッターが切れるように。GR DIGITAL IVで撮っていると、GR1で覚えた28mmの距離感とコツを、あらためておさらいできる気がする。

一眼レフとズームレンズの方が便利で高性能だとしても、身体の中に基準となる距離感を感じておくことは、写真ではとても大切だと思う。28mmは、僕にとっての初心だ。

シンプルに待つ

「旅をしてる時、どんな風にして写真を撮ってるんですか?」と聞かれることが最近多くなった。旅先での写真の撮り方‥‥こっちが聞きたい(苦笑)。それくらい、僕は特別なことは何もしていない。

それでもあえて挙げるとしたら‥‥「シンプルに待つ」ということだろうか。

カメラの撮影設定は(人によって好みは分かれると思うが)、ごくごくフツーの、自分的に一番オーソドックスなものにしておく。レンズは、ズームをつけている場合、基本的に2つの焦点距離だけを頭に入れておく。35mm判換算で、28mmと50mm。風景やスナップは28mm、ポートレートなどは50mm。かなりざっくりだけど、こういうシンプルな状態で自分の頭の中を整理しておくと、とっさの時でも割とうまく対応できるし、状況に応じての設定変更もすばやくできる‥‥気がする。

要するに僕はヘタクソだから、凝ったことをやろうとしてもたいてい失敗するのだ(笑)。シンプルに待つのが吉。

一人で撮る

昨日の飲み会の席で、ああなるほど、と思った話があった。

それは、旅先で写真を撮る時は、他の写真家と一緒に行かない、ということ。現地での撮影時は、なるべく一人で行動する。そうしないと、まともな写真が撮れない、とみんな口を揃えて言っていた。

言われてみると確かに、自分もラダックでは常に単独行動だった。たまに道連れの方がいた時は(その人が悪いわけではないのだが)、正直、かなりの確率でシャッターチャンスを逃している。被写体と対峙する時は、さまざまな撮影条件を瞬間的に判断する集中力が求められるし、人を撮る場合は、相手との間合いやコミュニケーション、撮るタイミングなどにも細心の注意を払わなければならない。だが、自分以外の誰かが同じ場所で被写体に向かおうとすると、そうした集中力や注意力は少なからず削がれてしまう。特に、人の写真を撮る時はきつい。

旅先でいい写真を撮りたいなあ、と思ってる人は、常にとは言わないまでも、時には一人で歩き回って撮ってみるといいんじゃないかな、と思う。

写真家の宴

午後に打ち合わせを一件こなした後、高田馬場の駅前にある串かつ屋さんでの飲み会に向かう。

今夜の飲み会は、広島から一時上京してきた写真家の松尾純さんの呼びかけによるもの。ブータンを撮影している関健作さん、ラダック絡みで以前から旧知の写真家の三枝直路さんと、写真をがっつりやってる人ばかりが揃った。その中に、僕だけが中途半端な輩として混じっていた(苦笑)。

いやー、ひさしぶりに面白い、濃い話ができたような気がする。旅や異国を撮り続けている者同士だからこそ、通じ合う言葉だったというか。胸が躍る話も、世知辛い話も、それでもやっぱり写真が好きだという話も。

こういう人たちが、ちゃんと本来の力を発揮できる「場」を作れたらいいな、と思う。

山ライオン

一昨日、MacBook ProのOSをSnow LeopardからMountain Lionにアップデートした。2009年にMacBook Proを買った時はSnow Leopardがリリースされた直後だったから、二世代分のジャンプアップということになる。

Snow Leopardは動作が非常に安定していた優れもののOSで、普段の仕事で使ってる分にはまったく不自由を感じてなかったし、かえって不安定になってしまったという評判だったLionに乗り換える気はさらさらなかった。その後、山ライオンになってだいぶ安定したという情報を聞き、iCloudを中心にしたデータのデバイス間自動同期(といっても使うのはカレンダーとアドレス帳くらいか)をやってみたかったので、意を決してアップデートしてみたという次第。

乗り換えた感想は‥‥可もなく不可もなくといったところか。細かい部分がいろいろブラッシュアップされてはいるけれど、たまに挙動がもたつく印象の時もあるし(三年前のノートだからある意味仕方ないが)。Safariからフォント指定とRSS機能が省かれたのにもびっくり。でも、しばらくいろいろ使ってるうちに、それなりに「こんなものかな」と馴染んできたのも確かだ。

次に一眼レフを(たぶんD800あたりに)買い替えたら、ディスプレイやストレージも含めた今のMacBook Proの性能では明らかに役不足なので、MacBook Pro Retinaに乗り換えて、Thunderbolt接続の外部ストレージも導入する必要に迫られるとは思う。そう遠くない将来に‥‥。とりあえず、その資金を稼ぐためにも、きりきり働かねば。