幸せな本

ラダックの風息 空の果てで暮らした日々」が発売されてから、今日で丸二年になる。売り上げ的には、まあ、そこそこという感じなのだけれど(笑)、今もたくさんの人に読んでいただいていることを、本当にうれしく思っている。

あの本は、間違いなく、僕の人生を変えた。生まれて初めて、自分が心の底から書きたいと思えるテーマに挑むことができた。現地取材に取り組んでいく過程で、ラダックでも、日本でも、本当にたくさんの人々が自分を支えてくれていると実感した。そして、本というものは、読者の方々の手に渡り、その心の中にそっと入り込んで、初めて生命を持つのだと知った。書き手にとって、幸せな一冊になったと思う。

自分にとって大切なことを、本に託して、届けていく。ささやかなことかもしれないけれど、これからも、そういう仕事を積み重ねていきたい。

Aside

昨日、カルビーの「じゃがりこ アンチョビ&ガーリック バーニャカウダ仕立て」を何の気なしに買ったのだが、じゃがりこ史上最強なのではないかと思えるくらいうまくてびっくりした。これが期間限定商品だなんて、もったいない。まあ、バーニャカウダなどというお洒落な料理は、生まれてこのかた食べたこともないのだが(笑)。

チベットのこれから

今日は、チベット暦のロサル(正月)。来週になれば、チベット民族蜂起記念日がやってくる。

ラサをはじめとするチベット各地で大規模なデモが発生し、それが中国当局によって容赦なく粛正されたのは、ほんの三年前のことだ。当時は日本でも六本木で二千人規模のデモが行われたが、あの時の怒りと悲しみを今も覚えている日本人は、はたしてどれくらい残っているだろうか。ほとんどの人にとっては、遠い異国の出来事でしかないのかもしれないけれど、チベットの人々は、五十年以上もの間、その何百倍もの怒りと悲しみを抱えながら生きている。

現在開催されている全人代で、温家宝首相は、少数民族への監視と宗教の管理を徹底的に強化することを表明した。チベット人やウイグル人の自由はますます狭まり、信じるものさえ奪われていく。でも、はたしてそんなやり方が、この先もずっとまかりとおっていくだろうか? 僕はそれは無理だと思うし、許してはならないとも思っている。

今、中国では、毎週日曜日のジャスミン革命についてのネットでの呼びかけが、当局を慌てさせている。たった一行のツイートが、十億の民を抱える国を揺り動かしている。もしかすると、ひょっとすると、中国人は本当に、自ら変革を成し遂げてしまう可能性がある。そしてその時は、案外すぐ近くに来ているのかもしれない。

納豆キムチ玉子丼

終日、部屋で原稿を書く。今日は何だかスーパーに買い出しに行くのが億劫になってしまって、晩飯は、たまに作る超手抜き料理、納豆キムチ玉子丼にした。

冷凍してあったごはんをレンジで解凍して丼によそい、納豆二パックと同量のキムチをボウルでかき混ぜてごはんの上に載せ、真ん中に穴を空けて生玉子を落とし、しょうゆをたらす。以上。調理時間、約五分。とても料理とはいえない代物だけど(笑)、二種類の発酵食品に玉子も入っているので、栄養面では間違いない、たぶん。

ごはんも納豆もキムチも生玉子も、全部ぐっちゃぐちゃに混ぜて食べるがよろし。うまいよ。

引越センター

昨夜は夜更かししてiPad 2の発表イベントをネットで見ていたので、ベッドに潜り込んだのは明け方だった。が、ものの三時間もしないうち、突然、ピンポーンと呼び鈴を鳴らす音が。誰だろう? こんな朝早くから‥‥。

「おはようございまーす」と、インターホンから女性の声。「○○○引越センターの者ですー」
「はあ。何か御用ですか?」
「実はこれから、こちらの三階にお住まいの方のお引っ越しをさせていただくんですが、物音がうるさいかもしれませんので、あらかじめ、お断りしなければと思いまして‥‥」
「あ、はい、わかりました」
「それで、そのおわびとして、ティッシュをお持ちしたんですが‥‥」
「ティッシュ? あ、じゃあ、ポストに入れておいてください」
「あ、いえ‥‥箱入りのティッシュなんですが‥‥」

そんなわけで、僕はボケボケのもっさりした状態でドアを開け、やってきた引越センターの人から箱入りティッシュを受け取る羽目になったのだった。やれやれ、こういう日にかぎって、こんな目に遭うとは(苦笑)。