本とブログの間を埋めるもの

最近考えていることを、まとまりのないまま、つらつらと書いてみる。

僕は、文章を書いたり写真を撮ったりして、それで本を作って世に送り出すことを仕事にしている。本以外では、ブログやSNSなどを使ったWeb上での情報発信もしている。僕の場合、本づくりとブログでの情報発信はまったく異質のもので、自分の中でもはっきりと区別している。ブログは、その時々の伝えたい情報や思うことを、わかりやすい形でタイミングよく発信していくためのもの。本は、自分が伝えたいことをきちんと突き詰め、徹底的に作り込んでいって、情報としても、モノとしても、ベストの形に仕上げ、ずっと後々まで残していくためのもの。そもそも、果たすべき役割がまったく違うのだ。

ただ、最近思うのは、この二つ以外の選択肢もあるんじゃないかな? ということ。ブログの気軽さと、本のモノとしてのよさとを併せ持ち、両者の間を埋めるような‥‥。最近、次第に注目されつつあるZINEやリトルプレスなどがそれに当たるのかもしれない。それで儲かるとはまったく思わないけれど、少なくとも赤字にならないような形で、ブログでも本でもない形の情報発信をすることの可能性は、検討する価値がある。実際、著名なフォトグラファーでもそうした取り組みをしている人はいるし。

一冊の本を仕上げるには、テーマによっては膨大な時間と手間がかかる。でも、その途上であっても、ブログ以外のきちんとまとまった形で情報を発信していくことはできる。来年以降の旅にまつわるプロジェクトは、もしかすると、そういう形になるかもしれない。

「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」

「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」

今日は取材に行く予定が先方の都合でキャンセルになったので、先日封切られたインド映画「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」を観に行くことにした。シネマライズは火曜がサービスデーらしく、1000円。ラッキー。

オーム・シャンティ・オーム」を観るのは、これが二度目。最初に観たのは、ラダックで長期滞在していた頃、ノルブリンカ・ゲストハウスの台所にある小さなテレビでだった。僕はヒンディー語がほとんどわからなかったし、英語字幕もなかったのだが、それでもストーリーがまるっと理解できてしまうくらい、この映画は単純明快でわかりやすい。ただ、日本語字幕がついたことで、前半の台詞に張られた伏線が理解できて、いろいろ腑に落ちたのはよかった。

もはや説明不要のボリウッドのスーパースター、シャールク・カーンは、安定感抜群のエンターティナーぶりを発揮しているし、この作品がデビューとなったヒロイン、ディーピカー・パードゥコーンの燦然と輝く美しさには、客席の女性たちからもため息が漏れていたほどだった。華やかで、可笑しくて、大げさで、切なくて‥‥そして観終わった後、ものすごくすっきりして気持いい。まさにイマドキの正統派ボリウッド娯楽映画だと思う。

自分でも可笑しかったのが、この映画を観ていて、やけに気分が落ち着くというか、ホームゲームのような居心地のよさを感じたということ。何なんだろう、この安心感は(笑)。インドとラダックで過ごした穏やかな日々を、どこか思い出していたのかもしれない。

春の颶風

夕方、吉祥寺で取材。一件だけだったこともあって、割とスムーズに終了。駅前でささっとラーメンを食べ、足早に帰路につく。

今日は風がすごい。颶風といっていいくらいの荒っぽい風が、四方八方から吹き付ける。あちこちで、がらがら、どんがらがっしゃん、と何かが吹っ飛ばされてる音が響く。うっかり何かが飛んできて、頭にでも当たったら大変だ。外に長居は無用。

残念だったのは、近所の木蓮。一昨日くらいにようやく咲き揃ってきたのに、今日の風で、早くも花弁がぼとぼとと落ちはじめていた。こんな風に、春の嵐が幾度か過ぎて、季節はめぐっていくのだな。

今、部屋の窓の外で、雨音が聞こえはじめた。

ココイチの福神漬け

終日、部屋で仕事。昨日の取材の原稿を書いたり、出版社からの要請で企画書を作ったり。ばたばたしていたので、晩飯は近所のココイチへ。

ココイチでカレーを食べるたびに、どうにかならないかなあと思うのが、福神漬け。それ自体はとてもおいしいと思うのだが、テーブルの上にある容器から福神漬けをよそうためのスプーンが扱いづらく、油断してるとぽろぽろこぼれてしまう。適当な大きさのトングにしてくれた方がいいと思うのだが、いかがなものか。

ココイチ的には、たたでさえ食べ放題の福神漬けをトングでさらによそいやすくしてしまうと、採算が悪くなってしまうので、あえて扱いづらいスプーンにしているのかもしれない、と余計な詮索をしてみたり。ま、どうでもいいか。

密林で一喜一憂

本づくりの仕事に携わっている者にとって、アマゾンでの順位やレビューというのは、本当に一喜一憂させられる指標だ。書店での動向と異なる場合も多々あるとはいえ、あれだけリアルタイムに、そして直接的に反応が表示されてしまうのだから、気にならない方がおかしい。

本の内容に対して的確な評価のレビューがついて、それに伴って順位が推移するのなら別に問題はない。でも、他の本のページとかを見ていると、時々、どう見ても的を射ていない見方や、明らかに筋違いな悪意によって低い評価をつけているレビューもある。購入を検討してくれている人が、みんながみんな、そういう的外れなレビューを差し引いて判断できる人ばかりではないし、少なくとも商品の第一印象には大きく影響してしまう。悩ましいシステムだ(苦笑)。

その一方で、何年も前に出した本に、忘れかけた頃にぽつんとレビューがついたりすると、自分の本が世の中でまだ読み継がれているのだ、と、ほっとした気持にもなる。便利でもあれば、困った面もあるけれど、何とかうまく使いこなしていかなければならないのかな、このシステムを。