Category: Diary

スイッチ

昨日に引き続き、今日も原宿の編プロで仕事。時間はかかるし、それなりに集中する必要はあるのだが、神経を削るような類の作業ではないので、ある意味気楽。粛々と進めたかいあって、かなりメドが立ってきた。

とはいえ、安堵している暇はない。そろそろ、来月からのラダック取材の準備も始めなければ‥‥。出版社の担当編集者さんからもかなり詳細なガイドラインを送っていただいたのだが、やらなければならないことが予想以上に多くて、ちょっと茫然。うっかり者の僕に務まるのか、不安にかられる。

まあ、やるしかないか。カチッ、とスイッチを切り替えて。

校了とか、重版とか

午前中から、原宿にある知人の編プロで仕事。厄介な案件を一つ片付けた。来週前半まで使って作業をすれば、インドに行く前にすべて終わらせることができそう。

仕事の合間にメールをチェックすると、この間入稿した書籍の色校正作業中に、見逃していた誤植が発見されたとの報せ。あちゃーと思ったが、版元の編集者さんのおかげで、どうにか事なきを得て、校了することができた。ふー。

その後、別の出版社の編集者さんからメール。僕が編集を担当して、去年の初めに発売されたWeb文章術の本が、一年半の月日を経て重版されることになったらしい。発売直後からバンバン売れてジャンジャン重版がかかるなら、もちろんそれに越したことはないのだが、地味ながらもじわじわと売れ続けて、忘れた頃に重版がかかる方が、個人的にはうれしい。はやりすたりに関係なく、本自体の素性の良さや底力を、読者に証明してもらえたような気がするから。

校了とか、重版とか、編集者冥利に尽きる出来事に恵まれた一日だった。

緑の木陰

今日は朝から、マンションの生け垣の剪定作業が行われていた。僕の部屋は一階なので、植木職人のおじさんたちに窓の外を行き来されたり、電動草刈り機を使われたりすると、とてもじゃないが部屋にいられない。別に急ぎの仕事もないし、昼間は家で作業するのをあきらめて、外に出かけることにした。

暑い。夏が戻ってきた感じ。

リトスタに行き、ひさしぶりにランチ。ゆで豚の玉ねぎしょうゆ定食をたいらげる。盆を下げにきたホールスタッフの伊藤ちゃんから「きれいに召し上がりましたね‥‥」とお褒めの言葉をいただいた(笑)。

その後、風の散歩道を歩いて、これまたひさしぶりに井の頭公園へ。頭上高くそびえる木々の梢は、すっかり豊かな緑に覆われていて、気持のいい木陰を作ってくれていた。のんびりとベンチにもたれていると、サーッと涼しい風が吹き抜けていく。いい気持。

こんな蒸し暑い日は、外に出かけて正解。家にいなくてよかった。

光の射す方へ

午前中から昼過ぎにかけて、書籍のデータ入稿のための連絡業務。ちょこちょこ細かいやりとりはあったものの、午後半ばには、すべてのデータが無事に入稿された。この後、版元と印刷会社との間で色味のチェックなどはあるものの、僕は晴れて、お役御免。長かった‥‥ふー。

夕方、駅前まで晩飯を食べに出かけ、帰りにいつものパン屋で、いつものパンを買う。夏至が近いからか、六時を過ぎてもまだずいぶん明るい。午後のうちに降っていた雨も、いつの間にか止んで、青空が見え始めている。

帰り道の途中にある交差点を曲がった時、西の雲間からパアッと光が射し込んできた。あまりに眩しくて、一瞬、全身が白い光に包まれて、宙に浮き上がったような気がした。僕の少し前を、一人の母親と、三人の子供たちが、横一列に並んで手をつなぎながら歩いている。その中の女の子が一人、「らんららーん、らんららーん」と歌いながら、男の子とつないだ手をうれしそうに振っていた。

光の射す方へ歩いていくその母親と子供たちを眺めながら、僕は、何だかすごく懐かしい気持を思い出したような気がした。

笛入り靴

書籍の作業はあらかた片付いたのだが、緊急の連絡が入るかもしれないということで、自宅待機。ラジオを聴きながらネットをだらだら見たりして過ごす。

ふいに、窓の外、生け垣の向こうから、キュッキュキュッキュという音が聞こえてきた。だんだん近づいてくる。音の鳴る靴を履いた小さな子供が、誰かを追いかけて駆けていっているらしい。音の鳴り方がちょっとたどたどしいので、コケやしないかと心配になったが、泣き声もしないまま、キュッキュという音は次第に遠ざかっていった。

あの音の鳴る靴、何という名前かなと思って調べてみたら、「笛入り靴」というらしい。なんかいいな。笛入り靴。