読み手のことを何も考えずに、独りよがりに書きたいことを書き連ねた文章というのは、往々にして鼻持ちならないものになる、といったことは世間でよく言われる。読み手の目線をイメージして、みんなが読みたいと思うことを書きましょう、みたいに。
まあ、それが明らかに間違ってるとは思わないのだが、例外は多々あるというか。というのも、世の中で名作と賞賛されている本は、独りよがりに書かれたものがとてつもない形で昇華された結果だったりするから。
文章を書きたい、本を作りたいという最初の動機は、往々にして、マグマのようにドロドロと熱い、独りよがりがこじれにこじれた思いだったりする。要は、そのこじれにこじれた独りよがりを、全員とは言わないまでも、ある程度の人に受け入れてもらえるだけのクオリティの作品にまで高められるかどうか、なのだろう。
独りよがりが、単なる独りよがりでなくなるかどうかの境界線。うまく言えないけど、自分もそれを越える術を身につける努力はしなければならないなと思う。