自分らしい写真

写真家の石川梵さんが、「“決まり写真”はあまり好きではない。写真のよさは非演出の中にあるはず。現実は想像よりもずっと緩い」ということを書かれていたのだが、自分が日頃からうっすら感じていたことを言われた気がして、すとんと腑に落ちた。

僕自身、構図やポーズを作り込みすぎた写真というのはあまり好きではなくて、撮るかどうかは、その場の雰囲気や偶然に委ねてしまうところがある。狙って撮ることはあまりしないし、狙って撮る技術もあまりない。それは、専業の写真家として生きていくには致命的な欠点なのかもしれない。

でも、ラダックという場所で撮影の枚数を重ねてきた中で、僕が「自分らしい」と思える写真というのは、その場の偶然に身を委ねた中で、被写体との関係がたまたま映り込んだ写真なのかな、と感じている。自分の力でものにしたのではなく、対峙した人や風景に助けられた写真。その場所に、時間に、どっぷりと身を浸していたからこそ撮れた写真。あまり仕事にはならなさそうだけど(苦笑)、そんな写真をこれからも撮り続けていけたら、と思っている。

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