ここしばらく、尋常でなく暑い日々が続いている。
午前中に、食材の買い出しに駅前のスーパーまで行くのに、歩いて五分くらいの道程なのだが、マンションの外に出て十歩も歩かないうちに、もう無理、という気分になる。Tシャツを突き抜けてくる、日射しの熱。路面のアスファルトは、ホットプレートの鉄板のごとし。四方八方から吹き寄せてくる、クーラーの排熱。日向を歩いてるだけで、息苦しくなり、動悸が早まる。なんだこれ。はちゃめちゃだ。酷暑期のデリーよりもきつい。
自宅の部屋でも、朝から晩までほぼずっと、クーラーをかけっぱなしにしておかないと、とてもじゃないが耐えられない。電気代がどうこうとか言ってられない。
こんな、ぐつぐつ煮えたぎるような夏の日々が、あと二カ月近くも続くのか……。自分は途中、三週間ほどラダックに行くのだが、仕事とはいえ、何だか家族に申し訳ない。それにしても、しんどい。
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呉明益『複眼人』読了。序盤で語られるワヨワヨ島のファンタジックな設定が興味深くて、物語にどう関わってくるのかと思っていたのだが、何というか、壮大なスケールに膨らんだ話を、上手く畳み切れなかった印象。まったく予想のつかない展開は面白かったし、明示と暗示を含め、自然と人との関わりについてのさまざまな示唆に富んでもいたけれど。