今年も、誕生日を迎えることができた。
この歳になると、自分の生まれた日だからといって特に何の感慨も湧かない。ある時そう口にすると、「人が生まれて、一年ごとに誕生日を迎えられるなんて、すごいことじゃないか」と言われた。確かにその通りだ。僕は自分の境遇に対する感謝の気持を忘れていた。
シリア。イラク。ミャンマー。理不尽な暴力の連鎖。人が人を傷つけ、殺すことが、まかり通ってしまう世界。それによって誕生日を迎えたくても迎えられなかった人が、今年一年だけで、世界には数え切れないほどいたはずだ。どうして人間は、愚かな所業を止めることができないのか。
命の価値とは、いったい、何なのだろう。