街灯

昼、取材のため出かける。今日の現場は湘南台。取材自体はいつものように粛々と遂行したが、とにかく、行きと帰りに時間がかかる。CDアルバムを悠々二回し以上聴けてしまうほどで、下北沢で乗り換えた井の頭線で吉祥寺に着く頃には、iPhoneのバッテリーも半分以下になってしまっていた。

駅前でラーメンを食べ、中道通りを歩いて、家に向かう。取材先はずっといい天気だったが、都心は午後にかなり激しいにわか雨が降ったらしい。そのせいか、空気はひんやりとして、雨と風に洗い流された西の空は、綺麗に澄み渡っていた。

空に見とれながら歩いていると、ぽつぽつと立ち並んでいる街灯が目に入った。電球の上にちょっと洒落た形の釣鐘型のシェードがかぶさっていて、白い光がうるんだように透けて見えている。この道は数え切れないくらい往復してきたのに、昼間はもちろん、夜道でも、ここの街灯がこんな形をしていたなんて気付かなかった。その街灯の明かりは、暮色の空にとてもよく似合っていた。

日々の中で、こんな風に気付かないまま行き過ぎてしまっているものって、きっとたくさんあるんだろうな。

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