少し前に、「なろう系」という言葉を初めて知った。なんじゃらほい、と思って調べたら、「小説家になろう」という小説投稿サイトに投稿されがちな系統の小説を指す言葉なのだとか。たぶん、この言葉が使われる時には、その作品を揶揄するような意味合いが込められることが多いのだろう。
Web上で見つけた情報によると、「なろう系」と呼ばれる作品の多くは、こんな感じのテンプレに沿って書かれているのだという(以下一部引用)。
・主人公が何らかの理由で異世界へ転生・転移する。
・序盤で主人公がチートと呼ばれるほどの力を得る。努力を必要としないことが多い。
・ありふれた知識・能力でも異世界では英雄に等しい活躍ができる。
・行く先々でヒロインを助けてモテてハーレム作り。
・とにかく作品名が長く、作品名だけで内容がわかってしまうことが多い。
僕自身は、こうしたテンプレに沿って書かれた「なろう系」作品を読んだ経験がないので、それが面白いかそうでないかを言える立場にはないし、言うつもりもない。ただ、このテンプレを見てふと思ったのは、これは全部、書き手とそれを支持する読者の、露骨な願望の表れなのだろうなあ、ということ。自分が今生きている嫌な現実から逃れたい。他人を圧倒できる能力を手っ取り早く身に付けたい。それで周りの人たちから賞賛され、モテたい。
もし仮に、自分がそういう人生を実際に生きることができると言われたら……逆に退屈だろうなあ。人生は、ずっこけまくりの挫折しまくりで、どんなにカッコ悪くても、なりふり構わず這い上がって掴み取る方が、ずっと面白いと思う。