「絶景」に思う

しばらく前から、「絶景」や「秘境」といったキーワードを謳い文句にした書籍やテレビ番組が人気を集めている。書籍の場合、その一冊のためだけにカメラマンを世界中に派遣したりすることは予算的にまず無理だから、ストックフォトエージェンシーに借りた写真で作っている本がほとんどだ。中には、Flickrなどから写真を持ってきてる、使用許諾の面などでかなり強引でアヤシイ作り方をしてる本もあるようだが。

旅の目的は人それぞれだし、ある「絶景」を見たいがために旅に出ても、それはまったく構わないと思う。ただ、自分の場合はどうかというと、「絶景」として見せられたイメージが旅に出る動機に繋がったことは、実は一度もない。最近人気のラダックのパンゴン・ツォでさえ、僕は最初に現地に行くまで、カラー写真すら見たことがなかった。旅の魅力は風景だけでなく、そこで生きる人々とその暮らしぶりなど、いろんな物事との出会いをまるっと含めた体験の中にあると思うし。

最近は、「絶景」と呼ばれる場所の地名をグーグルで画像検索すれば、そこの写真がわんさか出てくるから、便利な反面、ちょっと興を削がれる面もある。もちろん、自分自身の目で見届けるのが一番いい体験になるのは当然だけど、できれば事前にあまり予習しすぎないようにして(笑)、その「絶景」だけでなく、そこまでの道程で出会った人たちとのやりとりまで含めて、ゆったりと旅を楽しむのがいいんじゃないかなと思う。超効率的な弾丸ツアーで「絶景」だけがつがつ見に行っても、何だか味気ない旅になってしまうだろうから。

‥‥とまあ、自分で旅行記やらガイドブックやらを散々出しといて、何を言ってるんだという気もするけど(苦笑)。

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