生きている手触り

帰国して以来初めて、何も予定が入っていない日。昼から都心に出かける。品川と銀座のキヤノンギャラリーで開催中の野町和嘉さんの写真展「バハル再訪」と「ヒマラヤ仏教圏」、それと六本木の国立新美術館で開催されているアンドレアス・グルスキー展を回る。

グルスキー展には前から興味があって、じっくり見てみたいと思っていた。確かに面白い作風だし、壮大かつ緻密で、独特の美があると感じた。でも、白状すると、野町さんの途轍もない写真を見た後では、グルスキーの作品もいささか物足りなく思えてしまった。アフリカやヒマラヤの極限の大地で生きる人々ににじり寄る、その気迫。ざらりとした、生きている手触りが伝わってくる写真。これに比べれば、自分なんてほんとにヒヨッコで、足元にも及ばない、と改めて思い知らされた。

それでも、伝えることをあきらめるつもりはないけれど。僕も伝えたいな、あの、生きている手触りを。

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