ふとした時に、なぜか思い出してしまう景色がある。
この写真を撮ったのは、去年の秋、アラスカのカトマイ。ブルックス・ロッジから一万本の煙の谷へと向かう途中、休憩で停まった場所で、何気なく何枚かシャッターを切った。その時は、そこまで入れ込んで撮ったわけではなかったと思う。でも今になって、この光景が何度も脳裏に甦るのだ。
百年前の火山の大噴火の影響で、この地の植生はまだ若々しい。秋色の木立と平原の先にはぽつぽつと湖があり、山の上には気まぐれな雲が漂っている。遠くへ、遠くへ。この写真を見ていると、心が連れていかれそうになる。たぶん、そう感じるのは僕だけなのだろうけれど。