昼、買い物などのため、都心へ。途中で六本木に寄り、今日が最終日だった星野道夫さんの写真展「アラスカ 悠久の時を旅する」を見る。
星野さんのアラスカでの取材の足跡を追う形で展示されていた写真の数々は、写真集で見慣れたものもあれば、未公開のものもあったが、どれも富士フイルム謹製の美しい大型パネルにされていて、見応えがあった。カリブーの大群、雪上を彷徨う狼、夜空を紅に染めるオーロラ。見ていて頭をよぎったのは、星野さんがこの一枚々々の写真を撮るのに費やした、膨大な時間のことだった。
たとえば、ムースの交尾の場面の写真には「これを撮るために五年待ち続けた」といったキャプションがさらりと添えられていた。他の写真も、ちょこっと出かけてささっと撮ってこれたようなものは、一枚もない。執念‥‥というのとは、ちょっと違うと思う。あの、とてつもない広がりを持つアラスカの自然と向き合うには、そんな風にしてじっくり時間をかけていくのが、一番いいやり方なのだ、きっと。
僕もいつか戻りたいな、あの高い空の下に。
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