一人で生きるという力

昨日の深夜は、J-WAVEで「沢木耕太郎 MIDNIGHT EXPRESS 天涯へ 2012」を聴いた。年に一度、クリスマスの夜に放送される恒例の番組。沢木さんの飾り気のない穏やかな言葉と、それに符合するような渋い選曲を今年も楽しませてもらった。

番組の最後に沢木さんが口にした言葉がある。「一人で生きるという力を身につけるために、人生から降りずに何かをし続ける」。沢木さんのお父様が、ご高齢になられても辞書を引きながら英語の本を読もうとされていた痕跡を見つけたというエピソードからの言葉だったのだが、心に沁みた。

人は、誰かと関わり続けながら生きている。だからといって、一人で生きる力がなくてもいい、というわけではない。一人でも生きられるけど、集団や社会に属している。一人でも生きられるけど、他の人と支え合っている。一人の人間としての生きる力、逞しさを高めるために、常に何かにトライし続けることの大切さ。沢木さんが言いたかったのはそういうことだったのかな、と僕は思った。

一人で生きるという力。僕がその大切さをまざまざと思い知らされたのは、ラダックで過ごした日々でのことだった。少数民族ならではの小さくて緊密なコミュニティで、ラダックの人々は互いに支え合って生きている。でも、これ以上ないほど苛酷な自然の中で暮らす彼ら一人ひとりの「生きる力」の強さは、僕の想像をはるかに上回る、とてつもないものだったのだ。それはいささかショックだったし、自分をさらに高めよう、少しずつでも一人でできることを増やしていこう、と思い直すきっかけにもなった。

で、今は‥‥どうなんだろ(苦笑)。とりあえず、自炊くらいはできるようになったけど。まだまだだな。

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