中村文・たかしまてつを「あすナロにっき」

‥‥とにかくかわいい。問答無用にかわいい。萌え死にしそうなほどかわいい。いやほんと、恐るべき破壊力だ‥‥(笑)。

あすナロにっき」は、イラストレーターのたかしまてつをさんと、元編集者で今はフリーでDTPの仕事をしている中村文さんが飼っているナロという子猫の物語。一年ほど前、まだほんの小さな頃に知り合いが拾った子猫を、二人がひとめぼれして引き取ったのだ。家と塀の狭い隙間で拾われたので、「ナロー(narrow)」→「ナロ」という名前にしたのだという。二人はナロを飼いはじめた頃から写真やイラストをふんだんに使ったブログを更新していたのだけれど、このたび、それがめでたく一冊の本にまとめられることになった。

僕と中村さんは、昔、九段下にあった出版社の同じフロアで働いていて、以来ずっと仲良くさせていただいているのだが、去年の今頃、二人の家に遊びに行って、ちょうどこの「あすナロにっき」の頃のナロと遊ばせてもらったことがある(自慢)。両手のひらの中にすっぽり収まってしまうほどちっちゃなナロが、膝の上でくるっと身体を丸めていた時のほんわりしたぬくもりは、今でもよく憶えている。こ、この冷酷非情な男の心を溶かすとは‥‥。

この「あすナロにっき」、どのページをめくっても萌え死に要素テンコ盛りで、僕はもうすっかり全面降伏なわけだが(笑)、個人的に気に入っているのは、たかしまさんが左手でナロを抱きながら絵を描いている写真かな。あと、「後ろ足強化」の写真の踏ん張った両足にはツボった‥‥。あすナロまんがでは、断然「ニャバター」(笑)。

本の帯文はなんと糸井重里さんが書かれているのだけれど、本を読み終わった時、もし仮に自分がこの本の担当編集者で、コピーライターさんにお願いする予算がなかったとしたら、こんな帯文をつけたかもしれないな‥‥という言葉が浮かんだ。

“はじめて猫を飼いはじめた日のことを、憶えていますか?”

一年前にナロがやってきてから、二人の日々の生活には、ものすごく大きな変化があったはずだ。何から何まで初めての経験で、心配したり、おろおろしたり、時には大変なこともあったかもしれないけれど、それもこれも全部ひっくるめて、二人はナロと暮らしはじめたことで、本当にたくさんの、かけがえのないものを受け取っている。そういう二人のみずみずしい気持の変化こそが、「あすナロにっき」の一番の魅力なのではないかと僕は思う。

ナロは今、すらっと手足の長い美人のお嬢さんになって、たかしまさんの膝と左手を占拠したり、中村さんにネコパンチを飛ばしたりしている(笑)。その辺はたぶん、「あすナロにっき2」で描かれるんじゃないかな。

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