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「PEAKS」2019年10月号

9月14日(土)発売のアウトドア雑誌「PEAKS」2019年10月号の巻頭特集「ニッポンのロングトレイル」で、海外のロングトレイルを紹介するコーナーに、4分の1ページ程度の扱いですが写真と情報を寄稿しています。僕が紹介したのは、スピティとラダックの間を結ぶパラン・ラ・トレックについて。少なくとも、マニアック度では群を抜いていると思います(笑)。

書店で見かける機会がありましたら、お手にとってご一読いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

「Baaghi 2」

今年の夏にインドまで往復した際に乗ったエアインディアの機内では、インド映画はあまり観られなかった。冬にインドに行った際に機内で観たのとラインナップがあまり変わってなくて、めぼしい作品はほぼ観たことがあるものだったからだ(あと、復路はシステムエラーとかで機内のほとんどの座席モニタが死んでて何も観られなかった、苦笑)。その中でも往路で観たのが「Baaghi 2」。タイガー・シュロフ主演のサスペンス・アクションで、日本でも「タイガー・バレット」という邦題で今年初めにDVDが発売されている。

軍の特殊部隊に所属するロニーは、学生時代の元恋人ネーハから連絡を受け、誘拐されて行方不明になった娘リアの捜索を依頼される。しかし、捜索を開始したロニーの元には、「そもそもネーハに娘はいない」という証言ばかりが集まる。偽りを語っているのは証言者たちか、それともネーハか……。

シリーズ前作の「Baaghi」は未見なのだが、タイガー・シュロフとシュラッダー・カプールによる単純明快な肉体格闘アクションで、インド国内でもかなり好評だったそうだ。今作は前作とのストーリー的な関連はなく、ヒロインもディシャ・パタニ(タイガー・シュロフとは私生活でも恋人同士だったはず)に交替。物語の4分の3は謎解きサスペンス、残り4分の1は「ランボー」的な銃火器撃ちまくりの一網打尽アクションという構成になっている。

作品の大半を占める謎解きサスペンスは、確かに意表を突く展開なのだが、仕掛けのための仕掛けというか、少し冷静に考えるとありえないというツッコミどころが多すぎて、観ていてちょっときついなあという印象。最後の最後に、必要以上にハチャメチャな銃火器撃ちまくりアクションで全部まとめちまおうというのも、正直無理があるなあと感じた。

タイガー・シュロフの映画と聞いて皆が期待するのは、単純明快でしなやかな肉体格闘アクションではなかったかな……と思ってしまう作品だった。

どうにか帰国

約1カ月のラダック滞在を終え、東京に戻ってきた。

折悪く台風が日本付近に発生したということで、デリーからの帰りの飛行機はどうなるのかしらん、とかなり不安だったのだが、とりあえず出発は定刻通り、到着は1時間半遅れと、どうにかこうにか辿り着いた。最後の方は、成田上空をぐらぐら揺れながらぐるぐる回り続けて、だいぶ気持ち悪かったけど。あ、あと、機内の各座席のモニタ、システムエラーとかで道中ほぼ全落ちという、安定のエアインディアクオリティ(苦笑)。それでもまあ、前回の14時間ディレイを思えば、だいぶましか。

何はともあれ、ただいまです。ふー、やれやれ。

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ジョージ・オーウェル「一九八四年[新訳版]」読了。世間でもよく話題になっているが、この本で描かれている世界、今の日本の社会にあまりにもそっくりで、身の毛がよだつ。今の政府与党を支持するという人にこそ、読んでほしいと思う。

たぶん準備万端

午前中のうちに、荷造りの続き。撮影機材はいつも、出発前日に防湿庫から出してバッグに詰めることにしている。それも割とすぐに終わり、おひるに近所でつけ麺を食べた後、午後は家でまったり。これで準備万端、なはず。

時間と精神状態に余裕が出てきたからか、来年の仕事の計画などもつらつらと考えてみる。これからしばらくは忙しい。年内に新しい本の草稿を書き上げなければならないし、春先までにその本を仕上げなければならない。それに合わせてイベントやら展示やらをやらねばだし、それが終わったらまた取材に、ガイドの仕事に……。なんだかもう、1、2年先まですっかり埋まってる感がある。茫然。

まあ、その前に、まずはこの夏のラダックでの仕事だ。ではしばらく、いってきます。

「ヒンディー・ミディアム」

2017年にインドで公開されてスマッシュヒットを記録し、海外でも高い評価を得た映画「ヒンディー・ミディアム」。日本でも9月6日(金)から公開されることになったのだが、ひと足先にマスコミ試写で拝見してきた。

デリーの下町育ちのラージは、身一つからの叩き上げで婦人服店の経営を成功させた。今は妻のミータと娘のピアとともに幸せに暮らしているが、目下の悩みは、ピアのお受験。経済的には問題ないけれど、学歴が低く英語も苦手な二人は、娘を英語教育の受けられる一流の私立校(イングリッシュ・ミディアム)に入学させたいと考えている。滑稽なほど熾烈なお受験競争に右往左往するラージは、とうとう書類を偽造までして、貧困層の子供向けの優先入学枠を狙うのだが……。

インドの学校は、全国津々浦々にある公立校のほか、大都市などにある私立校がある。特に有名私立の一貫校は、入学できれば将来が約束されたも同然になる(と考えられている)ので、ものすごい倍率での競争が繰り広げられる。この映画で描かれているお受験狂騒曲も、実はそこまで誇張された表現でもないのだという。現代インド特有の階層社会や教育制度のこじれた部分を浮かび上がらせつつ、それらを物語にうまく織り込んでコミカルに仕上げた脚本が秀逸。主演のイルファーン・カーンの力の抜けたトボけた演技(でもキメる時はキメる)も、作品全体に安定感をもたらしていた。

インド人と英語というテーマの作品だと、最近では「English Vinglish」(邦題「マダム・イン・ニューヨーク」)がすぐに思い浮かぶし、教育に関しては言わずもがなの「3 Idiots」(邦題「きっと、うまくいく」)や、同じくアーミル・カーンの「Taare Zameen Par」(邦題「地上の星たち」)など多くの作品がテーマとしている。人間一人ひとりの持つ本来の価値は、学歴や収入や社会的地位などに囚われないところにあるはずだ。この「ヒンディー・ミディアム」も、そうした当たり前のこと、でも多くの人々がともすれば見失いがちなことに、あらためて気付かせてくれる。