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BeatsX

去年の暮れに携帯をiPhone 7 Plusに機種変したのを機に、イヤフォンも新調することにした。ここ2年ほど使っていたBeats Tour v.2がだいぶくたびれてたのと、iPhone 7 Plusでは3.5 mmオーディオプラグ端子が廃止されたので(Lightningとオーディオプラグの変換アダプタは本当にダサい‥‥)。今度はアップルの開発した無線接続用チップ、W1チップを搭載したワイヤレスイヤフォンにしようと考えた。純正のAirPodsは僕の耳の形に合わない(フィット感がゆるくて、スルスル動いてしまう)。Powerbeats3 Wirelessはイヤーフックが眼鏡と干渉してしまう。なので、僕にとってはBeatsX、一択。予定より発売が遅れてじりじりしたが、3月上旬に無事ゲットし、しばらく使ってみたので、使用感などをまとめてみようと思う。

BeatsXiPhone 7 Plusとの接続は簡単。iPhoneをロック解除状態にし、その近くでBeatsXの電源ボタンを押し続けると、2、3秒でiPhoneの画面に接続を促すダイアログが表示されるので、それをタップ。耳につけている状態なら、接続した時には接続音が、BeatsXの電源を切った時には接続解除音が聴こえる。

製品には数種類のイヤーチップと、耳たぶにはめて安定させるウイングチップが同梱されている。個人的には、ウイングチップを使う方がかっちり安定した状態を維持できるので好みだ。カナル型イヤフォンにはケーブルに何かが触れるとタッチノイズが耳に大きく響くという弱点があるが、当たり前だがワイヤレスイヤフォンなので、ケーブルも短く、ノイズを拾う頻度は少ない。首の周りに巻くネックバンドの部分からはあまりノイズは拾わない。耳につけたまま歩いていると、歩く時の振動が鈍く響きはするが、それほど気にはならない。

音質は、これまでのBeats by Dr.Dreの個性的な味付けの音とは違って、かなりマイルドというか、元の音に忠実な再生を目指している印象の音。アップル純正のイヤフォンに近い味付けのように思うが、それよりも低音や高音はずっとクリアに聴こえる。Beats Tour v.2よりボリュームを1押し分アップして、ちょうどいいくらい。個人的には、長い時間聴いていてもあまり疲れない、聴きやすい音だなと感じている。

バッテリー持続時間は8時間と言われているが、だいたいそんなものだろう。ただ、聴き終わったら電源ボタンをオフにする習慣にしておかないと、うっかり外出先でオフにし忘れたら計算外に消耗してしまう。充電はLightning〜USB-A充電ケーブルでパソコンなどにつなぐのだが、割とあっという間に充電できる(完了すれば電源ボタンのLEDが赤から白に変わる)。僕の場合、自宅にiPhoneを電源アダプタで充電しながら置いておく置き場を作っているのだが、最近は外出先から戻ってきたら、まずそこでBeatsXをさくっと充電し、終わったらケーブルをiPhoneに繋ぎ替えておくようにしている。

付属のキャリングケースはシリコン製で、収納する時にはネックバンドをくるっと1回巻き、イヤフォンに繋がる細いケーブルを畳んでケースに押し込む。ケースの外側には埃やゴミが付着しやすいのだが、気になったら、ケースだけを水でさっと洗えばOK。一瞬できれいになる。

僕がBeatsXを使うのは、外出して電車で移動する時がほとんどなのだが、実際にしばらく使い続けてみて、これはもう戻れないなと感じた。iPhone本体とイヤフォンがケーブルでつながっていないということが、これほど気楽で自由だとは。混雑してる電車内でも、乗り換えで移動する時も、ケーブルをひっかけて断線させたり、iPhoneを吹っ飛ばしたりする心配はない。電源の確保が難しい海外の旅先とかでガンガン使うにはちょっと心もとないが(まあそんな場所に頻繁に行く僕が悪いのだが、苦笑)、日常生活の中で使う時、ワイヤレスであることで享受できる自由というのは、本当に大きい。音質云々より、その自由が、BeatsXの一番のメリットだと思う。

春一番と微笑がえし

目を覚まして寝床から起き、居間の窓辺に行くと、やけに強い風が吹いている。春一番が吹いたらしい。もうそんな季節か、早いなあと思ったが、それでも去年よりは3日遅かったそうだ。外に出ると、もう4月かと思うくらい、空気がぬくい。

「春一番」と聞くと、今でも反射的にキャンディーズの歌が脳内にこだまするのは、一番脳がやわらかい小学校低学年の頃に、彼女たちの歌をたっぷり刷り込まれたからだと思う。でも、「春一番」で最初に浮かんでくるのは、このタイトルそのものの曲ではなく、「微笑がえし」の方だ。歌い出しが「春一番が〜♪」なので、そういう連想をしてしまうのだと思う。

……こういう文章を書いてみても、そもそも「キャンディーズ」をリアルタイムで知っている人がもはや周囲にあまりいないという現実……深まる孤立感……(苦笑)。

radikoタイムフリー賛歌

今年の10月から、radikoに新しく導入されたタイムフリー機能。番組が放送されてから1週間の間なら、いつでもその番組を聴くことができるようになった。この機能、ほんと、まじで、スバラシイ。

僕は家にいる時、原稿執筆に集中していたりインタビューの音声起こしをしていたりする時でなければ、たいていラジオかCDをかけ流しにしている。好きなラジオ番組はいろいろあるのだが、時間帯によってはどこの局も、うーん、イマイチ、という時もまあ結構ある(苦笑)。外出していたりして、好きな番組を聴き逃す時も少なくない。でも、タイムフリー機能を使えば、そういう惜しい時間を取り戻して、埋め直すことができる。ほんと、拍手喝采である。

ちなみに今聴いているのは、昨日外出していて聴き逃した、Inter FMの「Barakan Beat」。同局の水曜深夜の「JAZZ ain’t Jazz」と「Tokyo Moon」もよくタイムフリーで聴き直している。落ち着いて聴ける音楽主体の番組が多いかな。それにつけてもこのタイムフリー、本当にいい取り組みなので、これからも改良を重ねながら、続けてほしいなと思う。

WORLDWIDE SESSION 2016

wws2016
明け方の嵐が過ぎ去った後、嘘のように晴れ上がった空。昼、電車を乗り継いで、新木場へ。今日は前から楽しみにしていたWORLDWIDE SESSION 2016の日。松浦俊夫さんとジャイルス・ピーターソンがキュレーターとなって、選りすぐりのアーティストを集めた新しいスタイルのフェスだ。

開場と同時に人がわっと集まる中、コロッケパンとビールで腹ごしらえし、臨戦態勢。松浦さんのDJの後、最初のアクトはミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブル。まるでペルシャ絨毯のように緻密で繊細で、隅々まで感覚の行き届いたジャズ。その次に来たのは、大本命、サン・ラ・アーケストラ! ジャイルスによるコンピは前から聴いていたのだけれど、彼らの本当の凄さはライブでなければ体感できないということを思い知らされた。まもなく92歳になるという御大マーシャル・アレンがお茶目で、でもカッコよすぎて、最高だった。音楽って、こんなにも自由なのか。

ジャイルスによる約1時間のDJ(これもカッコよかった……)で場内はさらに盛り上がり、僕はその間にもう一本ビールを補充。トリはSOIL & “PIMP” SESSIONSと日野皓正さんのコラボ。日野さん作曲の「くまモンブルース」最高(笑)。ラストの曲が「Loud Minority」だったのも粋なはからいだった。最後の松浦さんの挨拶、なかなかうまく言葉にできないでいたけれど、このイベントに注いでいた気持が伝わってきた。

「希望的観測」とかでは全然ないと思うので(笑)、来年、またぜひ。

羊毛とおはな「LIVE IN CHURCH」

LRTCD-107_OLCDをトレイにセットし、再生ボタンを押す。イントロのピアノの音が聴こえた瞬間、何もかもすっかり思い出した。あの日のことを。

2014年2月11日、品川教会グローリア・チャペルで行われた、羊毛とおはなのライブ。僕もあの日、あの場所にいた。全身の肌が粟立つほどに圧倒された「Hyperballad」。ジャニス・ジョプリンをモデルにした映画の主題歌「The Rose」。本当に、奇跡のような時間だった。そしてそれが、彼らのライブに接した最後の機会になった。ほどなく、はなさんは療養生活に入り、約一年後の2015年4月に、永眠した。

それからしばらくの間、僕は、羊毛とおはなの曲を聴くことを避けてしまっていた。何というか、自分の中にあるもやもやしたやるせない思いを、うまく整理できないでいたのだ。いくらなんでもそれはないだろう、という、神様に対するささやかな反抗心だったのかもしれない。

でも、今こうして、あの日、あの場所で奏でられた音をこのライブ盤「LIVE IN CHURCH」で聴くことができて、胸の奥につっかえていたものが、ようやく融けていったように感じた。このライブ盤にも収録されている、彼らのレパートリーの中で僕が一番好きな曲「ただいま、おかえり」を聴いた時、目尻に涙が滲んだ。うまく言えないけど、はなさんにやっと「さよなら、またね」と言えるようになった気がした。

このライブ盤は、別れに手渡された、花束のようなものなのだと思う。