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radikoタイムフリー賛歌

今年の10月から、radikoに新しく導入されたタイムフリー機能。番組が放送されてから1週間の間なら、いつでもその番組を聴くことができるようになった。この機能、ほんと、まじで、スバラシイ。

僕は家にいる時、原稿執筆に集中していたりインタビューの音声起こしをしていたりする時でなければ、たいていラジオかCDをかけ流しにしている。好きなラジオ番組はいろいろあるのだが、時間帯によってはどこの局も、うーん、イマイチ、という時もまあ結構ある(苦笑)。外出していたりして、好きな番組を聴き逃す時も少なくない。でも、タイムフリー機能を使えば、そういう惜しい時間を取り戻して、埋め直すことができる。ほんと、拍手喝采である。

ちなみに今聴いているのは、昨日外出していて聴き逃した、Inter FMの「Barakan Beat」。同局の水曜深夜の「JAZZ ain’t Jazz」と「Tokyo Moon」もよくタイムフリーで聴き直している。落ち着いて聴ける音楽主体の番組が多いかな。それにつけてもこのタイムフリー、本当にいい取り組みなので、これからも改良を重ねながら、続けてほしいなと思う。

WORLDWIDE SESSION 2016

wws2016
明け方の嵐が過ぎ去った後、嘘のように晴れ上がった空。昼、電車を乗り継いで、新木場へ。今日は前から楽しみにしていたWORLDWIDE SESSION 2016の日。松浦俊夫さんとジャイルス・ピーターソンがキュレーターとなって、選りすぐりのアーティストを集めた新しいスタイルのフェスだ。

開場と同時に人がわっと集まる中、コロッケパンとビールで腹ごしらえし、臨戦態勢。松浦さんのDJの後、最初のアクトはミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブル。まるでペルシャ絨毯のように緻密で繊細で、隅々まで感覚の行き届いたジャズ。その次に来たのは、大本命、サン・ラ・アーケストラ! ジャイルスによるコンピは前から聴いていたのだけれど、彼らの本当の凄さはライブでなければ体感できないということを思い知らされた。まもなく92歳になるという御大マーシャル・アレンがお茶目で、でもカッコよすぎて、最高だった。音楽って、こんなにも自由なのか。

ジャイルスによる約1時間のDJ(これもカッコよかった……)で場内はさらに盛り上がり、僕はその間にもう一本ビールを補充。トリはSOIL & “PIMP” SESSIONSと日野皓正さんのコラボ。日野さん作曲の「くまモンブルース」最高(笑)。ラストの曲が「Loud Minority」だったのも粋なはからいだった。最後の松浦さんの挨拶、なかなかうまく言葉にできないでいたけれど、このイベントに注いでいた気持が伝わってきた。

「希望的観測」とかでは全然ないと思うので(笑)、来年、またぜひ。

羊毛とおはな「LIVE IN CHURCH」

LRTCD-107_OLCDをトレイにセットし、再生ボタンを押す。イントロのピアノの音が聴こえた瞬間、何もかもすっかり思い出した。あの日のことを。

2014年2月11日、品川教会グローリア・チャペルで行われた、羊毛とおはなのライブ。僕もあの日、あの場所にいた。全身の肌が粟立つほどに圧倒された「Hyperballad」。ジャニス・ジョプリンをモデルにした映画の主題歌「The Rose」。本当に、奇跡のような時間だった。そしてそれが、彼らのライブに接した最後の機会になった。ほどなく、はなさんは療養生活に入り、約一年後の2015年4月に、永眠した。

それからしばらくの間、僕は、羊毛とおはなの曲を聴くことを避けてしまっていた。何というか、自分の中にあるもやもやしたやるせない思いを、うまく整理できないでいたのだ。いくらなんでもそれはないだろう、という、神様に対するささやかな反抗心だったのかもしれない。

でも、今こうして、あの日、あの場所で奏でられた音をこのライブ盤「LIVE IN CHURCH」で聴くことができて、胸の奥につっかえていたものが、ようやく融けていったように感じた。このライブ盤にも収録されている、彼らのレパートリーの中で僕が一番好きな曲「ただいま、おかえり」を聴いた時、目尻に涙が滲んだ。うまく言えないけど、はなさんにやっと「さよなら、またね」と言えるようになった気がした。

このライブ盤は、別れに手渡された、花束のようなものなのだと思う。

人生の終え方

東京は今日、初雪が降ったらしい。終日、部屋で仕事。

デヴィッド・ボウイが昨日亡くなったということで、J-WAVEもInterFMも追悼特集を組んで彼の曲を流し続けている。ヒーローズ、ジギー・スターダスト、チャイナ・ガール、ライフ・オン・マーズ、ファイブ・イヤーズ……。今日だけで、世界中でどれほど多くの人々が彼の曲に耳を傾けたのだろう。

ラジオで、彼が死の二日前にニューアルバム「ブラックスター」をリリースしたばかりだったと知る。一年半に及ぶ癌との闘病を続けながら、文字通り最後の最後まで、一人のミュージシャンとして音楽を作り続けていたのだと。そして今、世界中の人々が彼の人生を思いながら、彼の曲を聴いている。何という人生の終え方だろう。こんな時にカッコイイという安易な言葉は使いたくないが、それでもカッコよすぎる。

僕も自分の人生を終える時は、最後の最後、ギリギリまで、文章を書くこと、写真を撮ること、本を作ることにこだわり続けていたい。デヴィッド・ボウイのようにカッコよすぎる終え方は絶対できなくて、僕はきっと、みっともなくじたばたあがいてるうちに終えてしまうと思うけど。

次の本が最後の一冊になっても後悔しないように、精一杯、心を込めて本を作ろうと思う。

奥華子「プリズム」

prism奥華子がデビュー10周年の節目にリリースした8枚目のアルバム「プリズム」。無色に見える太陽の光も、プリズムを通せば、七色に分かれて見えることに気づく。日々の暮らしの中で、あるいは自分自身の心の中で、さまざまなことに「気づく」のがこのアルバムのテーマかもしれない、と彼女は以前ラジオで語っていた。

確かにこのアルバムの中では、いろんな「気づき」が歌われている。思い出の中にいる人への気持ち。いつも支えてくれていた家族のぬくもり。身近すぎて気づかずにいた大切な人の存在。何気ないけれど自分にとってかけがえのないもの。気づくことで大切にしていけるものもあれば、気づいてしまったがために傷つくことや、取り返しのつかない後悔に苛まれることもある。そういったさまざまな場面での「気づき」を選び取り、シンプルな言葉で詞に置き換えていく彼女のまなざしの確かさには、毎度のことながら唸らされる。

曲の方も、いい意味ですっぱり開き直ったというか、自分自身にとても素直に向き合って、作りたい曲を作ったんだろうなという印象。彼女の代名詞の一つでもある弾き語りの曲は、意外なことに今回は一曲しかないのだが、アレンジのトーンは全体的にとても安定していて、特にストリングスの加わった曲の繊細なアレンジは、彼女の新しい一面を感じさせる。

12月23日には、昭和女子大の人見記念講堂で開催されるライブに、ひさしぶりに足を運ぶ。このアルバムに収められたさまざまな「気づき」の曲たちがどんな風に歌われるのか、楽しみだ。