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本は人を繋ぐ

昨日は、昼の間に書店回りをし、午後は板橋方面で取材。その後、夕方から渋谷にある旅行会社さんの事務所で、打ち合わせという名の飲み会。餃子の達人と厚焼き卵の達人がいらしたおかげで、うまい料理とうまい酒を、たらふくごちそうになってしまった。参加してくださったみなさんもとても楽しそうで、何よりだった。

しかし昨日の集まりは、何だか、とても不思議な気分にさせられた。もし、僕が過去に作ってきた何冊かの本の仕事がなければ、あの場所にいた人たちは、互いに出会う接点もまったくないまま、今に至っていたかもしれないのだ。

自分が引き合わせたなどと傲慢なことを言うつもりは毛頭ない。ただ、その時その時の自分のベストを尽くして良い本を作ろう、ともがき続け、ささやかながら世に送り出してきた本たちが、結果的にある種のかすがいとなって、今もいろんな人たちを繋いでくれているのかもしれない、とは思う。

本は、人と人とを繋いでくれる。

寄り添う写真

昼、リトスタへ。写真展「Thailand 6 P.M.」に合わせて販売してもらうため、「ラダックの風息[新装版]」と「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」を箱詰めして、家から両手で抱えて搬入。ちょうどランチの時間が始まったので、いわしの南蛮漬け定食とコーヒーをいただいて、本を読みつつ、しばし在廊。

地元の人や、この界隈でお勤めの人らしいお客さんが、30人弱ほどご来店。そこはかとなく耳をそばだてていると、「あら、写真が変わったわね! どこかしら?」「タイだって」「そういえば前にベトナムでさあ……」「誰それさんとカンボジアに行った時はね……」といった会話が、あちこちから聞こえてきた。何だか嬉しかった。今回の写真展は、ごはんを食べながらゆったりした気分で写真を眺めて、それぞれの旅の思い出話とかを楽しんでもらえたらなあ……というイメージで考えた企画だったからだ。

見る者を圧倒するのではなく、何気なく、寄り添うような写真。そういう写真も、あっていいと思う。

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アントニオ・タブッキ著、須賀敦子訳「島とクジラと女をめぐる断片」読了。小さくて悲しくて美しい「断片集」。個人的には「インド夜想曲」よりもこっちの方が好きだ。最後のクジラのひとことが、くっと胸に刺さった。僕もアラスカで、クジラにああ思われていたのかもしれない。

どうということのなさ

今週から始まった写真展「Thailand 6 P.M.」。水曜のオープニングの時にも、来場者の方々からいろんな感想をいただいたのだが、中でも「これ、いいですね」と言ってくれる方が多かったのは、この写真だった。

これは、去年チェンマイで撮ったもの。特に有名な場所にある石像とかではなく、つぶれて閉店してしまったらしいスパかエステか何か、その系統のお洒落系の店だった場所の軒先に、ぽいっと打ち棄てられていたものだ。たまたまその場所を通りがかった時、暮れていく太陽の柔らかな光がスポットのように石像の横顔に当たっていたのを、カメラで何枚か撮った。今はもう、あの場所にこの石像はないかもしれない。

どうということのない写真といえば、その通りだと思う。でも僕は、その「どうということのなさ」に、なぜか惹かれる。ささやかな、どうということのなさに感じる、いとおしさ。いとおしいものは、僕たちの身の回りに、たくさんある。

なごり雪

昨日の昼は、リトスタで今週から始まったタイ写真展のオープニングパーティー。そろそろ会場に向かうか、と支度していた時、ふと窓の外を見ると、景色が真っ白に。雪、というか、吹雪? びっくりするくらい降っている。

よりによってこのタイミングで、なんてこった……と頭を抱えながら、ともかく傘をさして出かける。歩いてくうちに、傘がどんどん、雪でずっしり重くなる。春分の日なのに。タイ写真展のオープニングなのに。雪かよと。

どうにかこうにか会場入りして、今日はもう誰も来ないかも……と鬱な気分になっていたのだが、みなさんとても良い方々ばかりで(感涙)、遠くからはるばると集まってきてくださった。こんな雪の日にこういう写真見ると、なおさら南国に行きたくなるよね! みたいなノリで。ごはんもたらふく召し上がっていただけて、ほんと、ありがたやである。

しかしまあ、なごり雪にしてもさあ……。おかげで、たぶん一生忘れられない写真展のオープニングになった。

写真展「Thailand 6 P.M.」


3月20日(火)から5月27日(日)まで、東京・三鷹のリトルスターレストランで、夕刻のタイをテーマにした写真展を開催します。僕個人としては初めての、ラダック以外の場所をテーマにした写真展です。2年前の写真展の時と違って、会場でのティタイム営業がなくなり、ランチタイムとディナータイムのみの営業となっているので、ご来場の際はご注意ください。

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山本高樹 写真展「Thailand 6 P.M.」

太陽が西に傾き、昼間のうだるような暑さが消えて、暮れ色の空に夜のとばりが下りてくる頃。タイの街は、その素顔を僕たちに見せてくれる。ささやかな電球の灯りの下で交わされる笑顔と、にぎわいと、ちょっぴりの寂しさと。写真家・山本高樹が5度にわたる取材で撮影した作品を展示する写真展。

会期 2018年3月20日(火)〜5月27日(日)
会場 リトルスターレストラン
東京都三鷹市下連雀3-33-6 三京ユニオンビル3F
TEL 0422-45-3331 http://www.little-star.ws/
時間 12:00〜14:30、18:00〜23:00
定休 月曜日(臨時休業や貸切の日もあるため、同店のサイトをご確認ください)
料金 無料(会場が飲食店なので、オーダーをお願い致します)

※写真展会場では「ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]」(未収録エピソード小冊子&ポストカード2種付き)と「ラダック ザンスカール スピティ 北インドのリトル・チベット[増補改訂版]」(3月22日(木)以降、レー未収録情報小冊子&ポストカード付き)の販売も行います。