スパイスカレーはじめました

自炊を始めて以来、家でカレーを作る時、ルウはジャワカレー辛口、一筋だった。それも固形のルウではなく、プライムジャワカレー辛口という粉末タイプのもの。二人前ずつ小分けにされているので、家で作るにはとても便利だったのだ。

ところが最近、この粉末タイプのルウを店頭で見かけなくなった。中辛はあるのだが、辛口がないのだ。ネットでも売り切れ状態。なので、中辛のルウにカレー粉を足したりしてみていたのだが、だったらいっそ、ルウを使わずにスパイスカレーを作ってしまえばいいのでは、と思い立った。

ネットでいくつかのレシピを調べてみると、凝りすぎなければ、そこまで難しくもないことがわかった。スパイスはクミン、コリアンダー、ターメリック、レッドチリの4種類。そのほかの材料は、鶏もも肉、タマネギ、ニンニクと生姜、トマトかトマトペースト、生のコリアンダー、塩、少量の砂糖、オリーブオイル。これだけあれば、とりあえずOKらしい。

作る時のコツ(というほど難しくもないが)は、みじん切りにしたタマネギをじっくり炒めて飴色のペースト状にしていく時のやり方だろうか。炒めはじめる時に軽く塩を振るとタマネギから水分を出やすくなることと、ある程度焦げ色がついてきたところで差し水をすると一気にペースト化が進むということを押さえておけばOK。そこにニンニクと生姜のすりおろし、トマトペースト、スパイス4種と塩を投入し、カレーのペーストに仕上げ、肉を炒め合わせてから、水(今回は野菜だしのスープを使った)を加えて煮る。今回はスーパーで生のコリアンダーが売り切れてたので、カルディで売ってるフリーズドライのコリアンダーを最後に放り込んで仕上げた。

初めて作ったスパイスカレー、我ながらまずまずいい感じの味になったと思う。あと、何というか、達成感というか(笑)。もちろん、カレールウで作るカレーも依然として好きなので、これからは気が向いた時に、気が向いた方のカレーを作ろうかなと思う。

「PEAKS」2019年10月号

9月14日(土)発売のアウトドア雑誌「PEAKS」2019年10月号の巻頭特集「ニッポンのロングトレイル」で、海外のロングトレイルを紹介するコーナーに、4分の1ページ程度の扱いですが写真と情報を寄稿しています。僕が紹介したのは、スピティとラダックの間を結ぶパラン・ラ・トレックについて。少なくとも、マニアック度では群を抜いていると思います(笑)。

書店で見かける機会がありましたら、お手にとってご一読いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

道半ばにて

書いている。毎日、本の原稿を書き続けている。

今の時点で、全五章のうちの第二章の終盤まで来ていて、ボリューム的には全体の4割に届くかどうか、というところ。ただ、最初にプロットを作った時の想定より、全体の文字数が増え気味な傾向がある。このテンションで、予定のスケジュールに間に合うように書き進めていくのは、かなり大変だ。

1500メートルや5000メートルの中長距離走で、スタートしてトップスピードに乗った後、苦しくなってきてもペースを緩めるに緩められず、限界を超えるまで耐えに耐えて突っ走っていく、あの感じに似ている。まだまだ、執筆は道半ばだ。きついけど、弱音を吐いてペースを緩めるわけにはいかない。やるしかない。

「’96」


インディアン・ムービー・ウィーク2019が開催中のキネカ大森で3本目に観たのは、タミル映画の「’96」。ヴィジャイ・セードゥパティとトリシャーが主演の、タミル映画には割と珍しい(らしい)大人同士のしっとりした恋愛モノということで、観ることにした。

旅行写真家のラームは、故郷の町をたまたま訪れたことがきっかけで、高校時代の級友たちとの20年ぶりの同窓会に参加することになる。その会場で、かつてお互いに意識する同士だった初恋の女性、ジャーヌと再会する。翌朝のフライトで家族と住むシンガポールに戻るというジャーヌと夜のチェンナイの街をそぞろ歩きながら、二人は互いのこれまでの人生を打ち明ける……。

この作品、評価は観る人によって分かれるとは思うのだが、個人的には、正直言って、うーん……という感じだった。理由としては、3つほどある。

1つには、物語の設定についての素朴な疑問。主人公の二人は、とある理由で離れ離れになり、20年以上も連絡が途絶えていたというのだが、その一方でラームはほかの級友とはそれなりに連絡を取り続けていたという。それで互いの消息が人づてにまったく伝わらなかったというのは、普通に考えるとありえない。そこが気になってしまって、「んん?」とならざるを得なかった。

2つめは、僕が個人的に苦手に感じているインド映画特有の恋愛価値観のようなものが、予想以上にテンコ盛りだったこと。ネタバレになるので詳しくは書かないが、この作品に限らず多くのインド映画では、主人公がヒロインに朝から晩まで執念深くストーカー気味につきまとうのが、男としての愛情の深さを示している、という描写をしている例が非常に多い。でもそれは、やっぱり、今の時代とは相入れない価値観だと思うのだ。その点もどうしても受け入れられなかった。

3つめは、個人的に、主人公ラームに共感できなかったということ。外見はクマかライオンみたいにごついのに性格は内気で意気地なしという設定はわかるのだが、それにしても、さすがにうじうじしすぎだろ、と(苦笑)。人生で一番大切な思い人なら、執念や未練ではなく、勇気と決断で向き合って、踏み出すべき時に一歩を踏み出してほしかった。

……あと、職業が自分とまったく同じというのは、かなりこそばゆかった(苦笑)。旅行写真家って、インドではあんな風なイメージなのか。

「サルカール 1票の革命」


キネカ大森で開催中のインディアン・ムービー・ウィーク2019で2本目に観たのは、ヴィジャイ主演のタミル映画「サルカール 1票の革命」。この作品、以前、エアインディアの機内で英語字幕で観たことがあったのだが、作品の主題がタミル・ナードゥの州議会選挙という少々ややこしいものだったので、日本語字幕でもっと細かい情報を追えればと思い、再度観ることにした。

米国で巨大IT企業のCEOに君臨するスンダルは、故郷タミル・ナードゥの州議会選挙に一票を投じるため、自家用ジェットで一時帰国する。投票所に足を運んだスンダルは、正体不明の何者かが、彼になりすまして投票を終えていたことを知る。投票の権利を勝ち取るために調査に乗り出したスンダルは、選挙で横行する不正の数々と政治家たちの腐敗ぶりを目の当たりにし、自ら行動を起こす決意を固めるのだが……。

日本語字幕であらためて観ると、この作品、タミル・ナードゥ州の実在の地域政党への痛烈な皮肉が随所に織り込まれていたのがよくわかった。映画祭の公式アカウントがモーメントにまとめた現地事情を事前に読んでおくと、さらにわかりやすい。かといって、そういった知識を全部理解していないとダメかというとそんなことはまったくなく、タラパティ・ヴィジャイらしい爽快なアクションと破天荒なストーリーは、深い予備知識なしでも十分に楽しめると思う。

何より、この作品が伝えようとしている「かけがえのない1票を大切に」というメッセージは、タミル・ナードゥやインドだけでなく、今の日本社会にも通じるものだ。どうせ何も変わらないからとあきらめたら、絶対に何も変わらない。何かを変えられるとしたら、それは、一人ひとりの持つ1票以外にない。世の中には1日だけ、政治家ではなく市民一人ひとりが力を持てる日がある。だから投票日には、必ず選挙に行こう、と。

インドではそんなメッセージが、こんなにもアツい娯楽大作映画になるのだった。