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『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』

『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』
文・写真:山本高樹
価格:本体1300円+税
発行:産業編集センター
B6変形判344ページ(カラー16ページ)
ISBN978-4-8631-1302-2

2021年6月中旬に、新刊を上梓することになりました。『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』から『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』までの間に横たわる、ラダック、ザンスカール、スピティで過ごした十年余りの旅の日々を、一冊に凝縮してまとめ上げました。これまで詳しい内容を発表していなかった各地でのトレッキングの記録をはじめ、十年間という歳月を積み重ねてきたからこそ書くことのできた、濃密な内容になったと思います。

すでにアマゾンなどでは予約を受付中です。よろしくお願いします!

飛び去っていく日々

ここ十日間ほど、かなり忙しかった。大学案件の取材と執筆が立て続けに入って、それが終わってすぐ、六月に出る予定の新刊の著者校正。まるまる一週間ほどかけて、ようやくチェックし終え、とりあえず明日、郵便局からレターパックで出版社に送る予定。

著者校正をしてる間は、文字通り、一字一句をなぞるように、ひたすらちまちまと追い続けていた。ある程度の経験と、根気と持久力と集中力のいる作業だ。原稿を納品する時に入念にチェックしておいたはずだったのに、あらためて一字一字拾っていくと、やっぱりあるのだ、誤字、脱字、誤変換、不用意な重複、日本語的に意味が通りにくい部分、その他いろいろ……。でも、ここでしっかりチェックしきれるかどうかで、本の品質はかなり決まってくる。だから、絶対に手は抜けない。手を抜いて作られた本は、読者(特に同業者)に、あっという間に見抜かれてしまう。

はあ、あともう少しだ。がんばろ。

ついこの間、マンションの裏手で満開だった桜の木は、もうすっかり新緑の葉桜になってしまっていた。毎日が、矢のように速く飛び去っていく。まあ、今みたいなご時世なら、とっとと早く過ぎ去ってくれた方がいいのかもしれない。

いつもと違う繁忙期

午後、大学案件の取材を2件。明後日と週明けにも、合わせて3件の取材がある。来月も入ってくるかもしれない。今週末から来週末にかけては、新刊の初校チェックの作業もあるので、何気に結構大変である。

毎年、春先は大学案件など国内での書き仕事の繁忙期なのだが、今年はいつもと様相が違う。今週と来週の取材5件はすべて、Zoomによるリモート取材。来月以降入ってくる取材も、たぶん全部そうなるだろう。言うまでもなく、コロナ禍の影響だ。去年の春頃は、世の中が緊急事態宣言でわたわたしすぎてて、取材自体がほとんど流れてしまっていたのだが、今年は変わらずわたわたした世の中ながらも、依頼元がそれなりにアジャストして、リモート取材を主体にしていくことになったらしい。

Zoomを使ったリモート取材は、地味に結構疲れる。分割画面に神経を集中させながらノートを取るのは疲れるし、画面の向こう側との距離感というか間の遠さが、対面取材の時の感触とはかなり違う。もう少し上手くインタビューできるようになりたいが、こちらの意図や気持ちを画面越しに過不足なく伝えるのはなかなか難しい。

まあそれでも、僕は僕なりに、自分をアジャストさせていくしかないのだと思う。前時代的なライターではあるが、がんばろ。

書き手として、撮り手として

昨年来のコロナ禍の影響で、かれこれもう一年以上、海外取材に行けないままでいる。

書き手としての仕事には、実はそれほど問題はない。日本の自宅でも、仕事机でパソコンのキーボードを叩けば、文章は書ける。まあそれも、自分の脳内に書くべき事柄のストックがある間は、ではあるけれど。

一方、撮り手としては、この一年余り、ほぼ何もできないままでいる。写真を撮りたい場所に赴くことすらままならないので、当然と言えば当然なのだが。個人的に今、写真を撮りに行きたい場所は、アラスカとその周辺の地域で、去年の秋に行く予定だったのだが、キャンセルせざるを得なかった。

いずれにしても、撮る方はもちろん、書く方も、取材で何かしら新しい素材をインプットしていかないと早晩枯渇するので、何とかしなければなあ、と思う。たぶん、来年以降の話になるだろうけど。いざという時に、すぐさま動けるような準備はしておきたいところだ。

そんなことを考えていて、一つ思うのは、これから撮り手として何を撮りに行くにせよ、「そこで何が撮れるか」という基準の前に、「そこで何を見聞きし、書き、伝えられるか」という基準で考えて選んだ方が、自分には合っているのでは、ということ。写真の被写体を基準にするのではなく、書き手として何を書けるか、何を伝えられるかを基準に考える方が、最終的に目指すゴールとしての「本」の姿が明確になるような気がしている。

とりあえず、そんなことをつらつら考えながら、このめんどくさい日々が過ぎ去るのを待つことにする。

竹沢うるま×山本高樹「空と山々が出会う地で、祈りの在処を探して」


写真家の竹沢うるまさんとのトークイベントに出演することになりました。昨年末に刊行された竹沢さんの紀行『ルンタ』と、僕が一年前に上梓した『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』のW刊行記念トークイベントです。

開催日時は4月17日(土)19時から、下北沢の本屋B&Bにて。少人数のご来場を受け付ける予定で、配信視聴による参加も可能です(アーカイブ視聴もご用意します)。サイン本付きの設定もあります(「冬の旅」のサイン本ご購入の方には「夏の旅」もお付けします)。予約方法や注意事項などの詳細は、下記のリンク先をご参照ください。

きっと面白いイベントになると思います。ご予約、お待ちしています!

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竹沢うるま×山本高樹
「空と山々が出会う地で、祈りの在処を探して」
『ルンタ』(小学館)『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)W刊行記念

インドのスピティやザンスカール、ネパールのムスタン、中国の青海省と四川省など、世界各地のチベット文化圏をめぐる足かけ3年に及ぶ旅を綴った紀行『ルンタ』を上梓した、竹沢うるまさん。

インドのザンスカールで真冬に催される幻の祭礼を見届けるため、極寒の世界を歩いて旅した日々の記録を、紀行『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』に綴った、山本高樹さん。

旅した地域やテーマにも共通点の多い、この二人の著作のW刊行記念イベントを開催します。

二人が旅したチベット文化圏は、今の私たちが暮らしている、あふれんばかりの情報や物資に満たされている社会とは、対極の存在にあります。あらゆることが不便であるはずの辺境の地で暮らす人々の表情は、不思議に穏やかで、満ち足りているように見えた、と二人は言います。それはいったい、なぜなのでしょう。

変わっていくものと、変わらないままのもの。祈りとは、心とは、人が生きる意味とは。旅の果てに、二人がそれぞれに見出したのは……。

旅や写真、チベット文化圏に興味のある方はもちろん、今の社会にどこかしら生きづらさを感じている方にも、ぜひ聴いていただきたい、注目のトークイベントです。

■日時:2021年4月17日(土)19:00〜21:00

■会場:本屋B&B
世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK 2F
http://bookandbeer.com/

■参加費
【来店参加】:1500円(税別)
【配信参加】:1500円(税別)
【配信参加+サイン本】1500円+『ルンタ』2500円(税別)
【配信参加+サイン本】1500円+『冬の旅』1800円(税別)
【配信参加+サイン本】1500円+『ルンタ』2500円+『冬の旅』1800円(税別)
※書籍の発送はイベント後となります。

■参加方法
下記のページで、記載されている注意事項をお読みの上、お申し込みください。
https://bb210417c.peatix.com

■登壇者プロフィール
竹沢うるま(たけざわ・うるま)
1977年生まれ。ダイビング雑誌のスタッフフォトグラファーを経て、2004年より写真家としての活動を開始。2010年〜2012年にかけて、1021日103カ国を巡る旅を敢行し、写真集『Walkabout』と対になる旅行記『The Songlines』を発表。2014年第三回日経ナショナルジオグラフィック写真賞受賞。その後も、チベット文化圏を捉えた写真集『Kor La』(小学館)と旅行記『ルンタ』(小学館)など、写真と文章で自身の旅を表現している。最新作は写真集『Boundary_境界』(青幻舎)。「うるま」とは沖縄の言葉でサンゴの島を意味し、写真を始めたきっかけが沖縄の海との出会いだったことに由来する。

山本高樹(やまもと・たかき)
1969年生まれ。著述家・編集者・写真家。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、『地球の歩き方インド』『地球の歩き方タイ』の取材などで、世界各地を飛び回る日々を送っている。主な著書に『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)、『ラダック ザンスカール スピティ 北インドのリトル・チベット[増補改訂版]』(地球の歩き方)など。