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取材行脚

午前中から、南大沢で取材。終わった後すぐに電車に乗り、橋本から八王子を経由して豊田へ。駅前でせかせかとハンバーガーを食べ、午後の取材先に向かう。午前も午後もボリュームの大きな取材だったので、夕方に三鷹に帰り着く頃には、かなりヘトヘト。何だかんだで、西東京をぐるっと一周してるし(苦笑)。

取材行脚の移動中、担当さんから、依頼元と関わりのあるほかのライターの方々の話を聞かされて、いろんなタイプのライターさんがいるのだなあ、と思う。僕みたいなライターは、もうクラシックなタイプなのかもしれない。それでもまあ、地味でもやらねばならないことを淡々と積み重ねていくしかないんだけど。

さて、明日もまた、南大沢方面で取材だ。今週、三度目の南大沢(笑)。

「素材」への敬意と感謝

時に編集者の立場になる自分自身への戒めも込めて、の話なんだけど。

編集の仕事では、文章や写真、イラストなど、いろんな素材を組み合わせながら、本や雑誌の形に仕上げていく。だが、ともすると編集者は、こうしたものを本当に単なる「素材」としてしか見なさなくなってしまいがちになる。その結果、それらをぞんざいに扱って、ライターや写真家、イラストレーターをすっかり失望させてしまうことも少なくない。

「素材」に問題があるから手を加えたんだ、それが編集者の仕事だ、という人がいるのもわかる。でも、ライターや写真家が憤慨するような扱い方をせざるを得なくなったのなら、ライターや写真家側に手抜かりがあったならともかく、でなければ最初の仕事の発注時点で問題があったからだ、と僕は思う。その場合、編集者はちゃんと謝罪しなければならない。

編集者は、ライター、写真家、イラストレーター、デザイナー、その他のスタッフが提供してくれる成果に対して、常に敬意と感謝を持たなければならない。ライターは一文字一文字に、写真家やイラストレーターは1ピクセルごとに、それぞれの思いを込めている。最終的なゴールを目指していく時、編集者は途中でさまざまな決断を下す必要に迫られるけれど、その中でもけっして、関係するスタッフの気持をうかつに踏みにじるようなことはしてはならないと思う。

常に敬意と感謝を忘れずに。改めて、自分自身への戒めも込めて。

出来、不出来

午前中から、板橋方面で取材。毎度のことながら、女子大のキャンパスに入っていくのはいろいろ気後れする(苦笑)。取材自体はつつがなく終わり、担当さんと別れて電車で帰路につく。

家に戻る前に、おひるにラーメンでも食べて帰ろうかと思ったのだが、某店の前まで行ってみたら、「スープ不出来につき今日はお休みします。申し訳ありません」との貼り紙が。ひさしぶりに見たなあ、こういうの‥‥。逆に言えば、そこまでシビアに突き詰めて作ってる店が減ってるということなのかもしれないけど。

帰宅後はコーヒーを飲んでばっちり頭を冴えさせて、原稿に取り組む。個人的には、今日はまずまずの出来だった(笑)。

場を盛り上げる

昨日の午後は、狭山方面で取材。三鷹からは電車を三回くらい乗り継いでいくので、地味に時間がかかった。

現場で合流した依頼元の担当営業さんは、取材があるたびに編集部に僕を指名して使ってくれている方だ(ありがたい)。先月僕が担当した取材で、相手の方が後で「ライターさんのノリがよくて、取材がすごく盛り上がったので楽しかったです」と話していたと教えてくれて、何だかうれしかった。

取材で場を盛り上げるのがライターの役目ではないし、そもそも盛り上げようと狙って質問を選んでいるわけでもない。それでも、自然な流れで場が盛り上がって、相手とうまく打ち解けられれば、結果的にいい原稿を書きやすくなるのは確かだ。

僕自身は、取材の際に特殊なテクは何も使ってない。相手の話をしっかり聞いて、いいなあ、すごいなあ、と思ったことに素直に反応しているだけだ。逆に、場の流れがぎこちないからといって、心にもないヨイショは絶対にしない。そういう嘘は相手にも必ずバレてしまうものだし、そもそもそんなことはしようと思ってもできないたちだし。

場が盛り上がる「うまい」取材をしようとするのではなく、やるべき準備をきっちりして、手抜かりのない「いい」取材を心がけるのが先決だと思う。

見えてきたゴール

ちょっと蒸し暑いくらいの天気。終日、部屋で仕事。届いた原稿を整理し、デザイナーさんに渡せる状態にデータを整える。

今回の本には20人近くの外部の方々に協力をお願いしているのだが、みなさんお忙しいのに、ちゃんと〆切を守って下さって、おかげで必要な素材はほぼ揃ってきた。たぶん連休が明けたら、ほとんどのデータをデザイナーさんに託すことができるだろう。

ついに、うっすらと見えてきた、ゴールの影。ちらりとでも見えると、俄然気力がよみがえるものだ。まあでも、調子に乗って、すっ転んだりしないようにせねば‥‥。あのゴールだって、蜃気楼かもしれないし。

今回の本は今まであまりにも苦難続きだったので、すっかり疑心暗鬼になってる(苦笑)。何も起きませんように。