Tag: Writing

カレーのカタルシス

終日、部屋で仕事。今週に入って依頼された、新規案件の原稿を書く。別に大がかりでもなく、それほど難しくもない内容なのだが、まだあまり感じがつかめていないので、形にするまでにちょっと手間取る。まあ、おいおい慣れていくだろう。

夕飯は、ひさしぶりにカレーを作った。カレー用の豚バラと、じゃがいもとにんじん。玉ねぎはみじんぎりにして、あらかじめよく炒めておく。ルーは定番のジャワカレー辛口。最近、袋入りの粉末状になって、かなり扱いやすくなった。

それにしても、カレーというやつは、ルーを使って家で作るには簡単な料理なのに、ごはんと一緒に皿に山盛りにして、はふはふ言いながら口に運び、食べ終えてからソファに背を預けて、ふーっ、と息をついた時のカタルシスたるや、ほかの料理と比べて群を抜いていると思うのだが、なぜだろう。日本人、そんなにカレーが好きなのか。食べ終わった後の洗い物は、めんどくさいけど。

関健作×山本高樹 トークイベント「僕たちはブータンとラダックで、撮って、書いて、生きてきた。」


毎年春の恒例行事となりつつある、ブータン写真家の関健作さんとのコラボトークイベント。今回は、お互いの旅と写真と文章のルーツ、それぞれのメインフィールドにこだわり続ける理由などについて、じっくり話してみようと思っています。ご来場、お待ちしています。

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関健作×山本高樹 トークイベント
「僕たちはブータンとラダックで、撮って、書いて、生きてきた。」

旅に出て、ある場所に出会う。そこはもしかすると、あなたが訪れるのをずっと待ってくれていた場所かもしれません。ヒマラヤの東の小国ブータンに出会った関健作と、ヒマラヤの西外れの辺境ラダックに出会った山本高樹。彼らは何に惹かれ、何を求めて、それぞれの土地に関わり続けることを選んだのでしょうか。二人の写真家がこれまでに紡いできた写真と言葉の変遷をたどりながら、異国への旅、そして人生について、じっくりと考えてみるトークイベントです。

■日時:3月25日(土)14:30〜16:30(14:00開場)
■会場:モンベル 御徒町店 4F サロン
東京都台東区上野3-22-6 コムテラス御徒町
TEL03-5817-7891
http://www.montbell.jp/
■定員:80名(メールによる事前予約制)
■主催:GNHトラベル&サービス
http://gnhtravel.com/

うまければいいというわけではない?

文章、あるいは写真について論じる時、「うまければいいというわけではない」という言い方をする人がいる。

確かに、上手だったらそれでいいはずなどなく、表現したり伝えたりするものが熱意とともに込められていなければ意味がない。でも、それをその人自身にスキルが不足していることの言い訳にするのは、ちょっと違うと思う。特に仕事として本や記事を作ったりする人は、なおさら。「うまければいいというわけではない」のは確かだが、「うまければそれに越したことはない」のも間違いなく事実だ。あるテーマについて複数の人が同じ熱量で表現しようとしたら、そこにはスキルの差が如実に現れるのだから。

文章にしろ、写真にしろ、ほかの何にしろ、仕事として取り組んでそれで報酬をもらっているなら、あーだこーだ言い訳をするのは、みっともない。自分自身、肝に命じようと思う。

地味で単調でしんどい仕事

冷たいみぞれが降り続いた日。終日、部屋にこもって、ロングインタビューの原稿を書く。

最近、ライターが一部でタレント化・読モ化しつつあるという話をWeb上でいくつか読んだのだが、ライターになることに憧れているという人は、今の世の中に、それなりにいるのだろうか。

ライターや編集者の仕事は、ほとんどの場合、地味で単調でしんどい仕事だ。その上、昔よりも報酬の相場は下がっている。ライター志望の人が憧れるのは、たぶん、一部の人が前面に出している、タレント的・読モ的な側面なのだろう。僕はそういうのは、正直言って苦手だ。一人で陰でコツコツ書いている方がいい。

僕の場合、二十代初めの頃、長旅の旅費稼ぎのために始めた出版社での編集アシスタントの仕事が、思いのほか性に合っていたから、今の道を辿る結果になったのだと思う。当時のバイトも、地味で単調でしんどかった。僕はたぶん、相当に物好きな部類の人間なのだろう。

そんなわけで、今日も一日、地味で単調でしんどくて、それでも好きな仕事を、がんばってみた。

相応の金額

出版不況もここまで長引く(というか、もう回復はしないと思う)と、何かにつけて辛気臭い話が多くなる。予算が減るだの、人手を減らすだの、まあ、いろいろ。

雑誌の世界は、一部の大手出版社を除けば、しばらく前から内製化が進んでいる。ライターやカメラマンの代わりに、編集者が自ら取材に行ってデジカメで写真も撮る、とか。確かにそうすれば予算は節約できるのだが、編集者にかかる負担は数倍になり、文章や写真の品質も維持できなくなる。結果、編集部は疲弊し、雑誌の品質も売上も落ち、さらに予算が削られ……という悪循環を辿っている雑誌は、今の世の中、少なくないと思う。旅行用ガイドブックなど、ライターやカメラマンが複数関わる書籍も、たぶん似たような状況だろう。

開高健さんが生前にエッセイで、「いいものを作るのに必要なのは、たっぷりの時間と手間と、必要なだけの金だ」という意味のことを書いていたと記憶しているのだけれど、確かに、本や雑誌を作るのに、お金はとても重要だ。湯水のように注ぎ込めばいいわけではないが、必要なところに適正な金額を使えないと、関わる人々の心意気だけではどうにもできない状況が必ず生じる。必要とされるスキルを持っているスタッフには、それ相応の金額を。世の中、そういうバランス感覚に戻ってほしいな、と思う。