Tag: Writing

フリーライターという職業

昨日のエントリーで「帰国してからちゃんとお金を稼げる仕事をしていない」と書いたら、今朝になって急に仕事の依頼が来た。このブログ、関係者にモニタリングされているのだろうか(笑)。

今月から来年の春先にかけて取り組む案件は、企業のWebサイトに掲載する記事の執筆や、官公庁のプロジェクトに必要な各種印刷物の制作など。書店で販売される本や雑誌の仕事ではない。自分が書いた本の印税だけで暮らしていけるなら理想的だけど、なかなかそうはいかないし、慢性的な出版不況で、雑誌絡みの仕事は壊滅状態。だから、書店売りの本以外の案件も大事にしなければならない。正直な話、ギャラは青息吐息の雑誌の原稿料よりも全然ましだし。

学生の頃、出版業界に飛び込んだ時に最初に携わったのは、いろんな企業の入社案内パンフレットを作る仕事だった。だから僕は、こうした書店売りの本でない案件にも、まったく違和感を感じない。普段自分が接することのないテーマで取材ができるのは新鮮だし、どんなテーマにも面白い部分はあるものだ。逆に、そういう好奇心をなかなか抱けないという人は、フリーライターには向いていないと思う。

しかし、情報というものの価値がどんどんチープになっている今、フリーライターという職業は、これからどうなっていくのだろう? ある意味、絶滅危惧種みたいなものなのかもしれない。

書いて、書いて、書きまくる

二十代の初め、出版の世界に飛び込んだばかりの頃の出来事。

ある雑誌の編集部で一緒に編集アシスタントのバイトをしていた女の子に、僕はある日、自分が書いた文章が周囲になかなか認めてもらえないと愚痴っていた。すると彼女はこんな風に、思いっきり大きな声で僕を怒鳴りつけた。

「‥‥あんた、何様のつもり? あんたなんて、まだ、ほんのちょっとしか文章書いてないじゃん! 誰かに認めてもらいたいなら、もっと書いて、書いて、書きまくってから、偉そうなこと言いなさいよ!」

あの日、彼女に言われた言葉は、今もよく憶えている。当時の僕には「自分にはいい文章が書ける」という根拠のない思い込みがあるだけで、経験に裏打ちされた自信も、それに対する周囲の信頼も、何もなかった。気が向いた時だけ好きなことを書いたりしている程度では、人の心はそう簡単には動かせないし、ましてやお金などもらえるはずがない。もちろん、数だけこなせばいいというわけでもない。一語々々にきちんと気持を込めながら、コツコツと、書いて、書いて、書きまくる。才能も何も持っていなかった僕は、そこから積み重ねていくしかなかった。

別にこれは、文章の書き手に限らず、何かを表現することで人の心を動かそうとしている人たちすべてに共通することではないかと思う。文章は、書かなければ読んでもらえない。写真は、撮らなければ見てもらえない。絵は描かなければ見てもらえないし、歌は歌わなければ聴いてもらえない。表現することをやめてしまったら、誰にも、何も伝わらない。自称ナントカという無意味な肩書が残るだけ。周囲に認めてもらえないと思い悩む前に、まずはとことんやり抜いてみること。そうしたがむしゃらな経験を通じて、自分に足りなかったものに、あらためて気づくこともあるのではないかと思う。

‥‥こんなことを書いていると、「そういうあんただって、まだその程度の文章しか書けてないじゃん!」とどやされそうな気がする(苦笑)。これからも、書いて、書いて、書きまくることにしよう。