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ようやく前へ

終日、部屋で仕事。夏のスピティの写真の整理をしたり、タイ案件で編集者さんとメールでやりとりしたり、その他にもちょこちょこいろいろと。その中でも、一つ、色よいニュースが届いた。

およそ一年前に発案し、ブラッシュアップを重ねて出版社に預けていた新しい本の企画が、ようやく会議の俎上に載る見通しが立ったらしい。来月初めには何かしらの答えが出て、うまくいけば次のステップに進めることになった。自分の中でずっと気を揉んでいた案件の一つだったので、今後の見通しが立っただけでもちょっとほっとした。これで、ようやく前に進めるかもしれない。

今は、出すべき時に自分の力を最大限に出し切れるように、ぬかりなく準備をしておく時期だと思う。周囲のマイナス要因に対して文句を言っても仕方ない。やれることになれば、全力を尽くすだけだ。

取材経費の計算

終日、部屋で仕事。今日のタスクは、タイ取材の取材経費の計算と領収書の整理。

取材期間中、何にいくら遣ったかということについては、タイにいる間に毎晩ノートに整理して書き留めておいたのだが、今日はそれを、エクセルでこしらえた一覧表に一つずつ番号を振って入力して、それに対応する領収書やレシートをA4の紙にホチキス留めして番号を振っていく作業をした。これが、やたらめったら時間がかかる。何しろ、領収書もレシートも、大半がタイ語(苦笑)。一目見たくらいでは何のレシートだか皆目見当もつかないので、目を凝らして日付や金額を頼りに見つけ出さなければならない。結局、昼過ぎから始めたのに、夜中近くまでかかってしまった。

ともあれ、これでもろもろ準備は整った。タイの仕事、決着間近。

相棒のレンズ

台風一過、すかっと晴れた、いい天気。昼、新宿のニコンプラザへ。最近ちょっと調子が悪くなっていた、カメラのレンズの具合を点検してもらいに行く。

このレンズは、普段の撮影でも一番よく使う標準ズームレンズ。たぶん、今まで撮ってきた写真の七、八割くらいは、これを使ってるんじゃないかと思う。「風息」をはじめ、ラダックガイド本も、共同通信社の新聞記事も、先日の「ソトコト」の記事も、このレンズが大事な役割を担ってきた。カメラ本体と同じくらいなじみ深い、長年連れ添った相棒のような存在だ。

今日の点検の結果、工場で一度分解してチェックして、必要な部品は交換するなどして修理した方がいいと言われた。見積りの金額は、メチャクチャ高くもないが、決して安くもない。でも、このレンズにまだ働いてもらえるなら、喜んで修理に出そうと思った。また達者になって戻ってきてもらえるといいな、この相棒に。

ワット・ロン・クンとバーンダム

池にその姿を映すワット・ロン・クン

タイ北部の街チェンラーイの郊外に、最近、多くの人々から注目を集めている二つの場所がある。「チェンラーイのブラック&ホワイト」と呼ばれるこれらの場所に共通しているのは、タイを代表する著名な芸術家によって作られた、いや、今なお作り続けられている「作品」であるということだ。

旅と目的と余裕

旅には、人それぞれ、いろんな動機や目的がある。列車やバスを乗り継いでアジア横断や南米一周を目指す人。何冊かの本を携えて、静かな海辺でゆっくりしたいという人。服や雑貨、コスメの買い物に明け暮れたいという人。旅に出ずにはいられない切羽詰まった衝動を胸に抱えてる人もいるだろうし、とにかくパーッと能天気に遊んで、日頃のストレスを発散したいという人もいるだろう。どれも正解。法律を犯さないかぎり、どんな楽しみ方だってありうる。

その一方で、仕事が目的という旅もある。世界各地を忙しく飛び回るビジネスマンや、商品の買い付けや視察のために各地を巡るショップ経営者など。かくいう自分も、先日のタイ取材は、完全に仕事として依頼され、みっちり隙間なくスケジューリングされた上での旅だった。

そういう仕事目的の旅では旅を楽しめない、だから旅は仕事にできない、と考える人も多いと思う。確かに、旅の時間を100パーセント好きに使える個人的な旅に比べると、仕事目的の旅の自由度は少ないし、窮屈でせわしない思いもする。でも、その合間にほんのわずかでも余裕を持てる時間が得られるのなら、旅を楽しめる余地はあると僕は思う。

タイ取材で、朝から夕方まで取材に忙殺されていた日も、夜、晩飯に頼んだパッタイと魚のすり身揚げが出てくるの待つ間、テーブルに頬づえをついて外の通りをぼんやり眺めていたひととき、僕はささやかながらもタイという国を楽しめていたように思う。異国に一人で身を置き、その空気や色、ざわめき、匂い‥‥いろんな感触に身を委ねつつ、思いや記憶を巡らせる。旅を楽しめるかどうかというのは、目的云々ではなく、そうしたちょっとした余裕を持てるかどうかなのではないだろうか。

時間を100パーセント自由に使える旅でも、自分が楽しむことにがっつきすぎたり、ネガティブな原因で精神的にへこみすぎたりして、何の余裕も持てないまま旅を終えてしまっている人は結構いると思う。そういう人は、ちょっとした余裕というものをもう一度見直してみるといいんじゃないだろうか。僕も、もし今度またタイに行くことになったら、この間より、もうちょっと余裕を持てるようになりたいと思う(笑)。