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「テレビ未来遺産 地球絶景ミステリー」

テレビ未来遺産|TBSテレビ11月23日(月祝)20時からTBSで放映される3時間の特別番組「テレビ未来遺産 地球絶景ミステリー」の中で、インド北部のチベット文化圏、スピティの映像が約30分にわたって紹介されます。この映像を撮影するための事前手配と、現地へ同行してのコーディネート業務のお手伝いをさせていただきました。

スピティの現地レポートのナビゲーターを務められたのは、昨年刊行した「撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち」でもご協力いただいた、写真家の竹沢うるまさん。満月の夜のキー・ゴンパのタイムラプス撮影への挑戦のほか、通常は撮影禁止のタボ・ゴンパ内部を特別許可を得て撮った貴重な映像や、コミック・ゴンパでのチャム(仮面舞踊)と砂曼荼羅の一部始終など、盛りだくさんの内容を凝縮した映像が放映される予定です。よかったらぜひご覧ください。

カメラと埃

昼、新宿のニコンプラザへ。D800のセンサークリーニングを依頼。目立った埃はなかったが、それでも端の方にちらほらとくっついていたらしい。

一眼レフでレンズをあれこれ交換しながら撮るのは写真の醍醐味だけど、もっとも悩ましい部分でもある。レンズを付け替える時、どんなに気をつけていても、微細な埃が内部に入り込んで、センサーの表面にくっついてしまうことがある。センサー自体が振動して埃を落としたり、埃がセンサーに届きにくいような構造にしたりと、いろいろ工夫はされているけれど、それでもセンサーへの埃の付着をシャットアウトするのは難しいようだ。

もし仮に、何をどうやってもレンズ交換時にセンサーに埃がくっつかないような発明がなされたら、むちゃくちゃ偉大だと思う。まじで尊敬する。自分がカメラメーカーのエンジニアだったらそこに金脈があると信じて掘り下げたい。まあ、その昔、リコーというメーカーがGXRというカメラシステムを作ってはみたんだけど‥‥。

一眼レフでの埃のシャットアウト、いつの日か、ぜひ。

「妬み」について

自分が仕事をしながら生きていく上で、他の誰かから「妬み」という感情を持たれるなんて、金輪際ありえないだろう、としばらく前まで思っていた。でも、たぶん数年前、自分自身で書いたり撮ったりして本を作るようになった頃から、ほんの時折、そういう予想外の波動を感じるようになった。

「妬み」の原因と構造は、案外シンプルだ。相手より自分の方がセンスや実力や経験値が上なのに、相手の方が周囲から不相応に評価されて、自分よりおいしい思いをしているのが面白くないから、とか。煎じ詰めればだいたいそんな感じ。たいていの場合、そういう人の自己評価はどこかしらズレているか、よくても実力はせいぜい相手とどっこいどっこいのレベルだと思うのだが。

「妬み」を感じること自体は、別に悪いことではない。その悔しさをバネに実績を伸ばす、負けん気の強い人はたくさんいる。ただ、困ったことに、その「妬み」をネガティブな方向に発散させてしまったりする人もたまにいる。相手に対する不当な圧力や妨害、第三者に向けての中傷、ネットを使った匿名の中傷‥‥。そんなことをしても自分の評価は上がるわけがないし、単に自分自身の心を貶めるだけなのに。

「妬まれる」側にも、問題があるのかもしれない。世間の評価に実力が伴っていないのかもしれない。たとえば僕の場合は、評価も実力も稼ぎもいずれもいまいちなので(だから妬まれる理由がわからないのだが、苦笑)、「妬み」を完全に回避するには、そういう感情を相手が持つ気にならなくなるくらい、実力を伸ばさなければならない。でも僕は、持って生まれた乏しい能力をこれ以上伸ばすのは無理なので、自分の携わる分野で、小さな結果を気長にコツコツ積み上げていくしかない。誰も追随する気が失せてしまうくらい、淡々と、コツコツと。

まあでも、その前に、仕事に関わることで誰かを妬むなら、心底くだらない中傷や裏工作に走ったりせず、自分の仕事でそれ以上の結果を出して跳ね返してみせろや、とは一応言っておきたい。ほんと、くだらないことはやめましょう。

薄暮の中を

昼の間にタイの写真のセレクトと現像を少し進め、午後の遅い時間に目黒まで出かけて打ち合わせ。東京に戻ってきてからというもの、仕事、仕事で、毎日がやたらせわしない。

打ち合わせ場所の喫茶店から外に出ると、太陽は姿を消し、空は淡い紫色に染まっていた。一日の中で、このほんのわずかな薄暮の時間、地面から影が消えてうっすらと夜が漂ってくる時間が、僕は好きだ。

ひんやりとした空気の中を、フリースベストのポケットに手を突っ込んで、ぶらぶらと恵比寿のあたりまで歩く。温かいラーメンが、すきっ腹にしみる季節になってきた。

本をつくる仕事

午後、銀座で打ち合わせ。タイに行ってる間に依頼を受けた、初めて組むクライアントとの仕事。「想像してたのと全然印象が違う‥‥」「もっと探検家みたいな、ごつい人かと思ってました‥‥」と言われるのも、今年だけで4度目か5度目。もうすっかり慣れた(笑)。

今度の仕事は、一応インタビュー原稿も書くけれど、基本的には編集者としての仕事。自分の名前を出して文章を書いたり写真を撮ったりするのと違って、編集者は裏方に徹するべき立場。そういうポジジョン、僕は嫌いじゃないというか、むしろとても性に合う。本づくりの根っこの部分に関われるのが楽しいのだ。

僕の職業について、初対面の人からよく「で、結局、何がメインなんですか? ライター? 編集者? それともフォトグラファー?」と訊かれるのだが、一番フィットするのは「本をつくる仕事です」という答えだと思う。何かの分野で能力値や世間からの評価を高めることには、正直あまり興味が湧かない。あの手この手を弄しながら目指す本を作り上げられれば、僕はそれで十分だ。