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上阪徹「書いて生きていく プロ文章論」

このブログでも何度か書いたが、僕は最近、ある地方自治体から依頼された、文章術の講師のような仕事を担当している。その地方自治体のプログラムに参加している一般の方々が地元のNPOや市民団体を取材して書いたレポートを添削し、どこをどう直せばよりよい文章になるか、ミーティングの場で相談に乗るというものだ。

文章の書き方なんて、誰かに教わったこともなければ、教えたこともない。依頼を引き受けた時は、正直どうしたものやらと途方に暮れていたのだが、ミーティングで自分なりの取材の仕方、文章の書き方について話をすると、参加者の方々は「へぇ〜」「ほぉ〜」といった感じで、かなり興味を示してくれた。自分では日頃からごく当たり前にやっていることなのだが、ライターがどんな風に仕事をしているのかということは、世間ではあまり知られていないようだ。

そんな経験もあって、これを機に自分自身の仕事を振り返ってみようと思って手にしたのが、この「書いて生きていく プロ文章論」という本だった。

この本は「文章論」と銘打たれてはいるが、著者の上阪徹さんが冒頭で言及しているように、文章の「技術論」ではなく、「文章を書く上での心得」について書かれている。上阪さんは、経営や金融、ベンチャーなどの分野で活躍されている辣腕のライターで、知名度や実績では僕は足元にも及ばないが(笑)、ほぼ同年代で、同じようにインタビューの仕事を中心に手がけてきたこともあって、共感できる「心得」もずいぶん多かった。読者をしっかりとイメージすること、何を伝えたいのかを突き詰めていくこと、文章術と同じかそれ以上にインタビュー術が重要だということ‥‥。僕にとっては、新たな「発見」というより、自分の仕事の仕方を「再確認」させてもらった一冊。自分に足りない部分があるとすれば、それはこうした「心得」の一つひとつを、ちゃんと徹底しきれていない時があることだろう。同業者の方々も、読み進めていくうちに「うっ!」と思わされるくだりが少なからずあるのではないだろうか。

この本のあとがきで上阪さんは「考えてみれば、本書は〝自分の考え〟を〝自分の言葉〟で構成した初めての本です。もしかすると、初めての本当の自分の本、といえるのかもしれません」と書いている。すでにベストセラーを含めて何十冊もの本を出している方だけど、そんな風に「初めての本当の自分の本」と思える一冊を書けたというのは、喜びもひとしおだったのではないかと思う。自分が心の底から大切にしていることを伝えるために、ありったけの思いをこめて、文章を書く。それはこの仕事で一番、愉しくて、難しくて、やりがいのあることだから。

師走に突入

もう十二月か‥‥。あっという間だな。

午後、浜松町で取材。昨日急遽決まった関係でじっくり準備もできなかったので、当たって砕けろ的な心境で(いや、砕けたら困るけど)臨んだのだが、先方のご協力もあって、どうにか首尾よくやり遂げる。残る問題は、この取材の原稿を金曜までにアップしなければならないということだな‥‥(汗)。

家に帰って、冷凍ごはんを解凍し、レトルトのインドカレーと一緒に食べる支度をしていると、知人の編集者さんからメール。‥‥新しい書籍企画についての打診だ。まだどうなるかわからないけど、もしかしたら来年取り組むことになるかもしれない。何にせよ、執筆を依頼してもらえるというのはありがたいことだ。

せわしない日々が続いていく。ラダックはもう、ずいぶん寒いのだろうな。

千葉の渋谷

昼、千葉県の柏に向かう。以前僕が添削した原稿を執筆した方々とのミーティングに参加するためだ。柏駅で降りたのは初めてだったのだが、想像していたよりもずっと大きくて栄えている街だったので、びっくり。Twitterでつぶやいてみると、「柏は千葉の渋谷ですよ!」というリプライをもらった。なるほど。

ミーティングの方は、参加者の方の一人がなぜかお酒を聞こし召してらっしゃったのが想定外といえば想定外だったが(苦笑)、滞りなく終了。まあでも、僕ごときが文章の書き方を人に教えるなんて、十年早いと思わないでもない。

帰りに新宿に寄って、たぶん五年ぶりくらいにセーターを買う。昔懐かしい柄の英国製のセーターで、その割にはお安い値段。このセーターのもふもふした感触を楽しめると思うと、テンションも上がる。

さて、これから「よつばと!」の10巻でも読もうかな。

来年のカレンダー

今日は特にこれといった予定は入ってなかったので、午後、吉祥寺まで歩いて出かける。こまごまとした文房具を補充するためにロフトに行くと‥‥なんてことだ。もう、来年のカレンダーの特設売り場ができている。

2010年は‥‥前の年から書き続けていた「広告マーケティング力」を仕上げ、間髪入れずに「人が集まるブログの始め方」を書き上げ、それらが書店に並ぶのを見る前に、二年ぶりにラダックに旅立った。それからいろいろあって、期せずして九死に一生を得るような体験をして、帰国後は写真展やイベントで洪水被害支援の義援金集めに奔走し‥‥。目の前のことにただ無我夢中で取り組んでいるうちに、いつのまにか一年が終わろうとしている。

2011年は‥‥どうなるんだろ? とりあえず、春先くらいまでは仕事が詰まっている感じだけど、その後、自分で企画した本作りに取り組めるかどうか‥‥。ラダックとの関わりはどう続けていくか‥‥。来年のことを考えても、茫洋としていて、確たるプランはまだ描けそうにない。

ちなみに来年のカレンダーは、今年使っているのとまったく同じ卓上カレンダーにした。

営業冥利

午後、横浜近辺で取材。ここのところずっと取り組んでいるのと同じジャンルの案件ということもあって、まずまず首尾よくやり遂げる。

今日の取材には依頼元の営業さんも同行していたのだが、その人は取材先の方々から、もう愛されているといっていいほどの信頼を得ていたのが、すごいなあと感じた。あそこまで信頼されたら、営業冥利に尽きるだろうと思う。

僕は営業的な仕事が本当に不得意で、気の利いたセールストークとか、からきしダメだ。たとえば、ナマステインディアなどのイベントで売店の売り子をしている時も、目の前でお客さんが「ラダックの風息」をパラパラめくっているのに、「‥‥それ、実は僕が書きました」とカミングアウトするだけで、五分くらいかかったりする(苦笑)。「いやいや、もっとアピールしなきゃダメでしょ!」とお客さんから突っ込まれちゃったもんなあ‥‥。

でも、今日の取材に同行した営業さんは、セールストークのうまさだけで信頼関係を築いたわけではないと思う。時には仕事の枠を越えるような相談事にも親身になって応じ、目先の利益を追うのではなく、相手の将来を考えた提案をしてきたことが、信頼を勝ち取る原動力になった。ああやって最前線で奮闘する人がいるからこそ、会社という組織が動いていけるのだろう。