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赤いボールペン

終日、部屋で仕事。昼間のうちは、電話の打ち合わせに時間を取られてしまった。晩飯にパスタを茹でて食べてから、本格的にゲラチェックを開始。

赤いゲルインキのボールペンを手に、ゲラの上にかがみ込むと、かちっ、と編集者モードのスイッチが入るような気がする。編集者モードというのは‥‥細かいところまでちまちまこだわるモード、という感じだろうか(笑)。そういう偏執的なところがある人じゃないと、この地味で単調な仕事には向いていないような気がする。

ま、僕の場合、思いもよらないところが、ぼそっ、と不注意で抜けてたりすることがよくあるので、あんまり向いているとは言えないのかもしれない(笑)。

作り手は作り手に嫉妬する

以前、西村佳哲さんにインタビューをさせていただいた時、次のような話を聞いたことがある。

「たとえば、出来のいい映画を観て“くやしい”と感じる人は、モノ作りに携わっている人ですね。そういう人は、作る側に視点が回っていくものなんですよ」

確かに、それは当たっていると思う。自分を例に挙げるのはおこがましいけど、面白い本を読み終わった後は、無性に原稿を書きたい気分になったりする。先日、たかしまてつをさんの個展にお邪魔した時は、「こんな空間で、壁一面にバーンとラダックの写真を展示したら、気持いいだろうなあ‥‥」と妄想したりもした(笑)。あと、逆の立場では、ある飲み会の席で、同業者の人から「ヤマタカさん、ぼかぁ、あんたに嫉妬してるんですよ!」と、面と向かれて言われたこともある。別に、僕はそこまでの人物じゃないんだけど‥‥(苦笑)。

作り手は作り手に嫉妬する。それはとても健全な反応だし、互いにそれを糧にして新しいものを作り上げていければ、素晴らしいことだ。ただ、他の人の作品に刺激を受けて、「よーし、自分も!」と決意しても、相手の後追いで似たようなものを作るだけでは、単に模倣をしているにすぎず、オリジナルはけっして越えられない。作るなら、自分自身のアイデアと力で勝負しなければ、意味がない。

単なる後追いで終わるか、自分の道を見出すか。本物の作り手になれるかどうかは、そこが分かれ目だと思う。

いろいろ佳境

今日は月曜日みたいな気がしていたのだが、水曜日だとさっき気がついた。曜日感覚がなくなってる‥‥。

先月の中旬から、仕事に追いまくられる日々が続いている。ゴールデンウイークに突入してからの方がむしろ忙しい。知人のライターさんと共著の本は、原稿がほぼすべて揃って(よかった!)、これから編集作業が本格化する。もう一つ、洋書を翻訳した原稿整理などの仕事は、まだまだ未整理の原稿がどーんと山積みといった状況‥‥。佳境とはまさにこのこと。来月末までにすべてカタをつけねば、ラダックに行けない‥‥。

がんばります。ラオス語風にいえば、ぱにゃにゃります。

自分の本を出す方法

仕事柄、初対面の人からよく、「自分で書いた本を出してみたいんですけど、どうすればいいですか?」といったことを訊かれる。

利益も何も考えずにただ本を出したいだけなら、自費出版をすればいい。しかし、ある程度全国各地で販売されるような本を、ちゃんとした出版社から出したいというのであれば、ハードルはかなり上がる。僕自身、別に売れっ子でもないので偉そうなことは言えないが、自分自身で企画の持ち込みなどをしてきた経験から、思いつくことを書いてみる。

まず、誰もが認めるような素晴らしい才能の持ち主なら、それなりのアクションさえしていれば、遅かれ早かれ認められるようになる。世の中には、そういうまぎれもない天才が確かにいる。ただ、そんな稀有な才能の持ち主は、本当にほんのひと握りしかいない。

自分の本が出せなくて悩んでいる人の多くは、持って生まれた才能だけで勝負しようとしているのではないだろうか。確かにその人には、ある程度の才能があるのかもしれない。が、並み居るライバルを押しのけて突き抜けられるほどの才能とは、編集者の目には映っていないのだろう。

では、僕のように(苦笑)イマイチパッとしない能力しか持ち合わせていない人は、どうすればいいのか?

それは、才能の前に、企画で勝負すること。

「これだ!」と閃いたアイデアを、あらゆる方向から検討し、調査で理屈を補強し、周到に準備を重ねていく。そうして一分の隙もないくらいに仕上げた企画を見せて、「自分はこういう本を作りたいんです!」と提案する。そういう理詰めのアプローチの方が、漠然と「本を出したいんです」と持ちかけるより、何倍も成功率が高くなる。小説のように書き上げた原稿を持ち込む場合でも、土台となるアイデアが大切なことは変わりない。

今年初め、ある出版社に企画の持ち込みに行った時、「こんな風にちゃんとした企画書を持ってくる人、なかなかいないんですよ」と言われて驚いたことがある。当たり前といえば当たり前のことかもしれないけど、本当に心の底から作りたいと思える本があるなら、まずはその企画を徹底的に鍛え上げて、武器にすることを考えるべきだと思う。

がくっとくる

今日は朝から、何だか身体がだるくて仕方がない。一度は机に向かって仕事しようとしたものの、どうにもきつくて、午後はベッドで横になって過ごした。

今までも、仕事のスケジュールが立て込んでくると、こんな風にがくっときたことがあったのだが、しばらく休めば回復したから、たぶん今回も同じような感じだと思う。虚弱だなあ(苦笑)。夕方頃までじっと横になっていたら、少しは回復してきたような感じがしたので、晩飯にハンバーガーを食べて、仕事再開。とりあえず、最低限のノルマは何とかこなした。

しかし、今回の案件たちが終わるまで、まだ先は長い‥‥。とはいえ、弱音を吐いても誰も代わってくれないし、やるしかないか。