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誠実な本

終日、部屋で仕事。書籍の再校ゲラを突き合わせ、チェックを重ねていく。

こんなことを書いたら関係者全員にボコられそうだけど(笑)、今作っているこの本は、僕が当初思い描いていたよりも、ずっといい本に仕上がりつつあるような気がする。それは僕の能力でも何でもなく、ひとえに今回力を貸してくださっているスタッフの方々のおかげだ。僕一人では、限界値はたかが知れている。

まったく異なる個性や能力を持つ人たちでも、同じビジョンの目標をしっかりと共有して、それぞれの長所を持ち寄って力を合わせると、こういう化学反応が起きるのだろうか。今回作っているのは、別に読んだ人が涙を流して感動するような類の本ではなく、ある意味コテコテの実用書なのだが、本を手に取ってくれた人を裏切らない誠実さは、しっかりと込められているのではないかと思う。

さて、あともう一息。

完成間近

昨日のエントリーでも書いた書籍の仕事は、今がまさに佳境というか、追い込み時。再校のチェックをしている真っ最中で、今週末に念校をチェックして、来週明けに戻せば、無事に校了ということになる‥‥はず。

デザイナーさんから送られてきたカバーデザインの画像を眺めたりしていると、いよいよだな〜、と気分が高揚してくる。思えば長い道程だった‥‥(遠い目)。いわゆるコテコテの実用書なのだが、本の前半部分は自分で原稿を書いてもいるので、思い入れもひとしおだ。

校了後に見本誌が手元に届けば、完成したという喜びをより一層実感できるはず‥‥なのだが、たぶん、その頃にはもう、僕は日本にいない(苦笑)。去年とまったく同じパターンだなあ‥‥。ま、仕方ないか。

楽しみを見つける

僕は今、主に二つの仕事を同時進行で進めている。一つは、今年の初めからずっと取り組んでいる書籍の編集作業。もう一つは、あるお役所からいくつかの会社を経て依頼された、文書の整理作業。

どちらもかなり手間のかかる作業なのだが、書籍の仕事の方は取り組んでいても楽しくて、作業していると、時間が過ぎるのを忘れる。一方、お役所仕事の方は、どうにもこうにもしんどくて、なかなか集中力が湧いてこない。

二つの仕事の差は、僕がその中に楽しみを見つけられているかどうか、なのだと思う。ほんのちょっとしたことでも楽しめる要素を見出せたら、ぐっと気持が楽になるのだが‥‥。なかなか難しい(苦笑)。

早く解脱して、ゆっくり本を読んだり、Apple TVで映画を観たりしたいと思う、今日この頃。

「料理人」としての編集者

ここのところ寝不足な日が続いていたので、昨日の夜は、10時間以上も寝た。でも、いまだに頭がしゃっきりしない。脳が、乾いたスポンジみたいにぱさぱさしている感じ。

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編集という仕事は、料理人の仕事に近いところがあるような気がする。自分の目利きで選びとった食材を、腕によりをかけ、心を込めて調理して、おいしい料理を読者の方にお出しする。自分で執筆や撮影までするなら、それこそ水田に稲を植えるレベルから手がけることになるが、基本的に編集の仕事は、目利きと調理に相当するのではないかと思う。編集者がそうして腕を振るうことができるのは、いい食材を丹精込めて育ててくれる、各分野のスタッフがいてくれてこそだ。

「これでおいしい料理を作ってください!」と、野菜や肉や魚を提供してもらえるなら、そりゃあ燃える。別に高級食材とかでなくても、持てる力を振り絞って、全力でおいしい料理を作る。でも、たまに‥‥まったく食材の目利きをさせてもらえないまま、「これ、とりあえず食べられるようにしてよ」と、生ゴミが詰まった袋をいきなり手渡されるような目にも遭うのだ。用意すべきものも、目指すべき目標も、根本的に間違っている。そういう依頼をしてくる人はたいてい、それが間違っているとは露ほども思っていない。

「とりあえず食べられればいいもの」を作るような仕事は、僕はやりたくない。

バナナの重鎮

午前中から、原宿にある知人の事務所へ。暑い。もうすっかり夏だ。言うまでもなくアウェイな竹下通りを、ホットパンツに生足の女の子たちが、ガシガシと闊歩している。

事務所で仕事をしていると、スタッフの女性の一人が、取材を申し込むための電話をかけはじめた。聞くところによると、とある仕事でバナナの歴史について調べているそうで、バナナの歴史に詳しい人にインタビューするのだという。

「はい、それで今、バナナの‥‥重鎮の方々に、お話を伺えればと‥‥」

重鎮かー(笑)。キーボードを叩きながら、思わず笑ってしまったが、もし、実際にバナナ界における重鎮というポジションの方々がいるのなら、何かすごいというか、楽しいというか。いいなあ、バナナの重鎮。