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誰かのために

以前、社会で働きはじめたばかりの人や、これから社会に出ようとしている人たちと話をしていた時、「仕事って、何ですか?」という質問をされて、こう答えたことがある。

「誰かのために働く、ってことじゃないですかね」

すると、「いや、仕事というのは自分のためにするものでしょう!」という反応が返ってきた。確かに、それは間違っていない。自分がやりたいこと、大切にしていることを仕事に選ぶのは、とてもいいことだと思う。

でも、その「自分がやりたい仕事」が、「自分のため」だけで終わってしまったとしたら、もったいないな、と思う。その仕事の先に「誰か」がいて、自分が生み出したり成し遂げたりしたことを受け取ってくれるかどうかで、仕事の価値はまったく変わってくる。誰かのために何かをしてあげて、対価とともにささやかな感謝の気持を受け取る。人間の世界の仕事は、結局、そのシンプルなやりとりに尽きる。

そう考えると、誰かのために働ける仕事は、世の中にとてもたくさんあることに気付く。むしろ、世間的に華やかで報酬の割がいい商売ほど、往々にして、それが誰のためになっているのかはっきりしないことがある。また、その仕事によって、たとえほんのわずかでも、誰かが傷ついたり踏みにじられたりするのであれば、何の価値もないと思う。

誰かのために。そうでなければ、意味がない。

今のうちに

ひさびさにぐっすり眠れた気がする。ドリルの音で起こされることもなかったし。今日は工事車両が家の近くに来ていないらしく、かなり静かだ。よし、やるぜ、と仕事に集中する。

集中、集中、集中‥‥。これまでなかなか集中できなくて抑圧されていた分、今日は本当によくはかどった。この調子で行けば、来週にはいったん編集者さんに原稿を預けられるはず。がんばった俺。

とはいえ、週末を普通に休んでいると、また週明けからやかましくなる可能性が高い‥‥。土日もがっつり働くか。今のうちに。その後に、確定申告だ。

風花

昼、都心での打ち合わせのため、外に出かける。冷え冷えとした風に乗って、ちらちらと雪が舞っている。風花というのかな、これは。まだまだ寒い日々が続いている。

今日の打ち合わせは、ガイドブックに載せる地図を作っていただく方との顔合わせ。あらかじめ用意した資料を手渡して、台割に沿ってたどたどしく説明していく。今回担当していただく方は、以前、インド北部のヒマラヤエリアの地図を作った経験があるとのこと。すでに草稿を書き上げたと僕がいうと、えっ、と目を丸くされていた。地図の前に原稿ができているというのは、この世界ではレアなケースらしい(笑)。

編集者さんとも細かいポイントを確認して詰めていく。こうした地ならしが終われば、いよいよ本格的な編集作業が始まる。始まれば始まったで、あちこちを現場合わせで調整していくことになるとは思うけど、大きなトラブルが起きないように、しっかり準備しておかなければ‥‥。

打ち合わせを終えてビルの外に出ると、また、ちらちらと風花が舞っていた。

自宅で夜勤

今日の道路工事の破壊力は凄まじかった。マンションの生け垣沿いの細い道に新しい側溝を掘るらしく、切断の音、砕く音、掘り返す音、パワーショベルや発電機の駆動音‥‥。頭がくらくらした。これはもう、まともに暮らせないレベルの騒音だ。

当然ながら、日中はまったく仕事にならず、騒音の中でメールや電話をやりとりしたりして、今日の工事が終わるのをひたすら待つ。早めに晩飯を食べてシャワーを浴び、夜に入って静かになったところで、ようやく仕事開始。深夜まで推敲作業を続ける。しかし、釈然としないなあ‥‥。

ここ最近、朝はドリルの音で叩き起こされ、日中は部屋で何もさせてもらえず、せいぜい外で(自分の金で)コーヒーでも飲んで時間を潰すしかない。自宅で仕事してるのに、夜勤しかできないなんて、アホらしすぎる。別に緊急性が高いわけでも何でもない、年度末おなじみのムダな工事のせいで‥‥。

この工事、三月まで続くらしい。がっかりだよ、武蔵野市。

冷却期間

この三日間、まったく仕事をしていない。忘れないうちにする必要があった台割の手直しや、メールのやりとりはしたが、書き上げた草稿に関しては、ファイルを開いてすらいない。金曜は外に出かけたけど、土日はひたすら、ぼーっと過ごしていた。

長い文章を書き上げて、そこから推敲作業に取りかかる前に「冷却期間」をおくことは、自分の経験上、かなり重要だと思っている。ノッて書けている時は、ともすると気が逸ってどんどん作業を進めてしまいたくなるけど、そこであえて間を置くと、適度に冷めた目で原稿を振り返ることができる。そうすると、それまで見えてなかったアラが、次から次に見えてくるものなのだ。

冷却期間も三日おいたことだし、明日からは、ばりばりと推敲作業に取りかかる予定。