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霧雨

今日は朝イチで取材があるのに、昨日の夜、ユーロのスペイン対イタリアを最後まで観てしまった。眠い目をこすりつつ、電車に乗って、豊田へ。

三鷹界隈では単なる曇り空だったのだが、電車で西に移動するにつれ、外の景色が煙ってきた。駅から外に出ると、雨粒とも呼べないような、細かい霧雨が降っている。いや、降るというより、たちこめてる感じだな。一応傘を差してはみたものの、こんな霧雨だとあまり意味はなく、歩いていると、服がじっとり湿ってくる。こういう時に限って、目的地は駅から徒歩20分とか(苦笑)。

じっとり、じめじめ、湿っぽい一日。こんな日は、冷やし中華を食べたい気分。

名を成すことには興味ない

「あなたの職業は何ですか?」と訊かれると、僕の場合、フリーランスの編集者であり、ライターであり、時にはフォトグラファーでもある、という答えになる。最初からこうなりたいと思っていたわけではないが、いつの間にか、よろず屋稼業になってしまった。

では、編集者として、ライターとして、あるいはフォトグラファーとして、自分がどれくらいの価値のある人間なのかと訊かれると、ちょっと困ってしまう。一応、それなりのキャリアは積んでいるけれど、何十万部も売り上げた著書があるとか、華々しい賞を受賞したとか、そういうわかりやすい世間からの評価は受けていない。海千山千のフリーライター、みたいなざっくりした見られ方をされるのだろうし、ある意味それは当たっている。

でも僕は、自分が名を成すことには、興味がない。評価はされるに越したことはないけれど、世間から評価されるためにこの仕事を選んだわけではないから。ただ、本づくりの仕事が好きなだけ。編集と執筆と写真をかけ持ちしているのも、それが自分の目指す本づくりに必要だったから。

たぶん、僕が作る本は、百人のうち一人にしか評価されないような本なのだろう。でも、その一人の心を揺さぶれるのなら、僕の仕事には意味があるのかもしれない。肩書や世間体よりも、僕の仕事の価値は、これまで作ってきた、そしてこれから作る、一冊々々の本が語ってくれるのだと思う。

編集部の雰囲気

午後、新橋に向かう。ある雑誌からラダックガイドブックの書評を載せたいとの打診をいただいたので、見本誌を持ってその編集部へ。最近はメールのやりとりでたいていのことが済んでしまうから、知らない雑誌の編集部を訪れるのはひさしぶりだ。

僕も以前は、雑誌の編集にどっぷり関わっていた時期があったし、ライターとしていくつかの雑誌に出入りしてきたから、それなりにいろんな雑誌の編集部を見てきた。仕事がうまく回ってる編集部は、ぴりっとした緊張感の中にも、たまに軽口が飛び交うような、和気あいあいとした雰囲気がある。逆にうまく回ってない編集部は‥‥そうだなあ、妙にだらだらしてたり、編集長のご機嫌を窺ってびくびくしてたり、そんな感じ。自分自身は、うまく回ってる編集部に所属していた記憶は、あまりないかも(苦笑)。

雑誌作りは好きだけど、また編集部の中に入ってがっつりやってくれと言われたら、躊躇する。自分が作りたい本を好きなように作ってる方が、幸せかな、今は。

仕事を引き受ける条件

午後、南大沢で取材。移動距離が長い上、二件連続という長丁場だったが、どうにかやり遂げる。疲れた‥‥。

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このブログとラダックのブログのプロフィール欄に、仕事の依頼についての但し書きのような文章を載せた。何の変哲もない、至極当たり前の内容だけど、こういう当たり前のことさえ通用しない場合が、最近はままあるのだ。

僕のようにフリーランスの立場で仕事をしている人間に取材や執筆を依頼するなら、作業内容やスケジュール、報酬などの条件面を最初からすべて明らかにするのは当たり前のこと。さしたる理由もないのに異様に報酬が安かったり、作業スケジュールが無茶すぎる場合は、事前にこちらとの交渉にきちんと応じるのが当然だと思う。別に、ケチってるわけでも、面倒くさがってるわけでもない。報酬が安すぎたら他のクライアントに申し訳ないし、最低限のスケジュールを確保したいのは、自分の仕事のクオリティに責任を持つのに必要だからだ。

たとえやせ我慢をしてでも、いい加減な仕事には関わりたくない。きちんと納得できる、気持よく取り組める仕事を積み上げていきたいと思っている。

腹が減っては

取材のため、午前中に家を出る。下りの中央線に乗り、西国分寺で武蔵野線に乗り換え、さらに東武東上線に乗り換えて、川越へ。あたりに広がる、田んぼと畑。えらいところまで来たもんだ。

今日は二件の取材が入っていたのだが、間の空き時間が中途半端だったせいで、おひるを食べ損ねてしまった。二つめの取材を終えて電車に乗る頃には、もうふらふら。完全にエネルギー切れ。腹が減っては‥‥というやつだな。

都心に戻り、八重洲にある和風ダイニングの店へ向かう。以前、デリーでさんざんお世話になったご夫妻と、その友人の方との会食。いやー、おいしかった。びっくりした。エネルギーが枯渇してたから、余計においしく感じたのかも。

ひさしぶりに会った方々と、ラダックやらパキスタンやらアフガニスタンやら、濃〜い話ができて愉しかった。それぞれ夏には計画があるので、帰国したら報告会をやりましょう、という話に(笑)。心地よい時間だった。