ちょっと前まで、世間ではソーシャルメディアという言葉がこれでもかというほどもてはやされていた。以前、僕がブログの作り方についての本を書いていた時も、版元の上層部から「ソーシャルメディアという言葉をタイトルにしろ」と、トンチンカンな提案をされたこともあるくらいだ(苦笑)。
そんなソーシャル狂想曲も、最近は少し世間の熱が冷めてきたように感じる。飽きてきた、というのもあるだろうし、FacebookにTwitterにミクシィにPinterestに‥‥そんなにたくさん面倒でやってられない、という人も少なからずいるだろう。ソーシャルなら何もかもうまくいく、ソーシャルなら何でもできる、という期待が必ずしも実現しないことに、気付いた人も増えてきているのかもしれない。
ソーシャルメディアは結局、今の時代のコミュニケーションのインフラでしかないのであって、現実を現実以上のものにすることはできないのだと思う。ソーシャル上でブレイクして有名になる人は、その人自身にそうなるべき魅力が備わっていたからであって、ソーシャルメディアはその手段の一つだったに過ぎない。売れないラーメン屋がしゃかりきになってTwitterやFacebookで宣伝しても、それでその店のラーメンがおいしくなるわけではない。
他人のツイートを読む気もないのに、フォロー返しをもらってフォロワーを増やすためだけに一度に何千人もフォローする人とか、あの手この手でFacebookページの「いいね!」を押させることだけに汲々としている企業とかを見かけると、他にもっとやるべきことがあるだろうに、とおせっかいにも思ってしまう。ソーシャルが見せる幻に、踊らされてるのだな。