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つながっていくもの

昼、横浜へ。中華街で2週間ほどやらせてもらっていた、ラダック写真展の撤収作業。パネルを外し、テープをはがし、梱包し……という作業に、黙々と取り組む。

お店の方によると、僕が在廊していない日でも、結構いろんな人が展示を見に来てくださっていたのだそうだ。近隣の方はもとより、埼玉とか、大阪とか、はるばる遠方から来てくれたフットワークの軽い方々も。ありがたいことだなあと思う。

昨日の夜に来ていたお客さんたちで、初対面なのに、今年の夏にほぼ同じ時期にラダックに行くからと、お酒を飲みながらすっかり意気投合してしまった方々もいらっしゃったそうだ。そんな風にして、写真展をきっかけに出会いや縁がつながっていくというのも、面白い。飲食店内での展示ならではのめぐり合わせかもしれない。

伝えていくこと。つないでいくこと。僕の役割は、そういうことなのかな、と思う。

Bhutan 2016

夏至に風邪

今日は夏至らしい。ついこの間、年が明けたと思っていたのに(いやほんとに)。で、夏至にもかかわらず、風邪っぴきというていたらく。

風邪というか、先日のブータン取材の折、やたら風の強い日に土埃を吸い込んでしまって喉と鼻の粘膜を傷めてしまったのが、ずっと尾を引いている感じだ。喉の方はいったんよくなりかけたのだが、昨日あたりからまたちょっと腫れぼったくなってきた。抵抗力が落ちているのか、仕事がちょっと一段落してホッとして気が抜けたのか。いずれにしても、やれやれである。

あと3週間で体調を完全に元に戻さなければ。ラダックは一筋縄ではいかない。

縦位置と横位置

ブータン取材で撮影してきた写真を現像しながら整理していて、これはまあまあいけるかな、と思えるものをピックアップしていたら、なぜか縦位置の写真ばかりになってしまって、自分でもちょっとびっくりした。

一般的なデジタル一眼レフカメラで撮る写真は、だいたい3:2の比率になり、普通に構えて撮れば横位置、縦に構えて撮れば縦位置になる。僕は基本的に昔から横位置の写真が好きで、縦位置で撮ろうと考えることもあまりなかった。だから縦位置の写真は苦手というか、ぶっちゃけ下手だった(苦笑)。

ところが、必要に迫られて仕事で旅の写真を撮るようになると、下手ですませるわけにはいかない。本や雑誌の仕事では、縦位置の写真のニーズは一般の人が想像する以上に多いのだ。だから、ちょっとでも余裕のある撮影場面では、横と縦の両方を押さえる癖がついたし、苦手を克服しようと縦位置での構図の作り方をいろいろ試行錯誤するようになった。そうした試行錯誤の成果が、ようやく最近になってちょっとずつ現れてきたということなのだろうか。まだ得意とまでは、とても言えないけれど。

そういえば、以前「撮り・旅!」で鮫島亜希子さんにインタビューさせてもらった時、「いい被写体に出会った時、横位置で同じような写真をがしがし撮ってしまいがちだけど、そういう時に意図的に縦位置でも撮ってみて一呼吸おくと、自分が何を撮りたいのかがわかってくる」という意味のことを話していただいたのだが、それは本当に正しいと思う。冷静さを取り戻すのに、横から縦へのスイッチというのはかなり効果的だ。

去年見たドキュメンタリー映画で知った写真家ソール・ライターは、映画の中でも頑ななまでに縦位置の写真にこだわって撮り続けていたのが印象的だった。ミラーレス一眼カメラを、最初から縦位置にして持ち歩くほどに。彼の見事な縦位置の作品群にちょっとでも近づけるように、日々精進していかねば。

ところ変われば

午後、横浜中華街へ。今日からスタートする写真展の設営をしに行く。脇にはA2サイズのパネルを収めた袋を抱え、背中のバックパックには売り物の本やら何やら。先週の打ち合わせの時にA3のパネルだけ先に搬入しておいて、ほんとよかった。

パネルの設営は、一人で淡々と、3時間くらいかけて慎重に進めた。リトスタに比べると壁の凸凹が多いので、脱落しにくいようにパネルを固定するためにあれこれ検討しながら、壁にマスキングテープを貼り、その上から粗面用の両面テープでパネルを貼っていく。今回は2週間だし、何とかもってくれればいいのだが。

パネルをすべて貼り終えて会場を見回すと、三鷹の時とはまたひと味もふた味も違う、旅の情感がぐるりと渦巻いているような、とても濃密な雰囲気の展示になったように感じた。ところ変われば、写真の見え方も受け止められ方もずいぶん変わるものなのだなと思う。

横浜中華街での展示は、6月29日(水)まで。未見の方は、ぜひに。