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ただ一人で

自分は、社交的なタイプの人間ではない、と思う。

ライターとしてインタビューの仕事などをそれなりに長い年月やっているので、他の人とのコミュニケーションが苦手というわけではない(苦手だったらこんな商売やってられない)。仕事柄、口もそれなりに回るので、僕に対して「交友関係の広い人」というイメージを持っている人も、周囲には割といるのかもしれない。でも、実のところ、僕は友達付き合いのいい人間ではない。一人きりでいるのを寂しいと感じる人間でもない。

自分のことを知っている人間が、誰もいない場所へ行きたかった。自分が知っている人間が、誰もいない場所へ行きたかった。そういう場所で、ただ一人でいたかった。

子供の頃から、ずっとそうだった。それは今も変わっていない。たぶん、だから、旅をするようになったのだと思う。

だし巻き卵、そしてインディア

一昨日の夜は、ラダックのツアーでお世話になっているGNHトラベル&サービスの事務所で飲み会。三井昌志さん、小林尚礼さん、藤木ケンタさん、中田浩資さんという錚々たる顔ぶれ。今回の宴は、中田さんが得意料理のだし巻き卵をひたすら焼きまくって、皆にふるまうという趣向だった。大葉とじゃこ入り、まるごと明太子入り、穴子入り、そしてプレーンなだし巻き卵。中田さんの手際はどれもお見事で、ふわっふわのだし巻き卵は本当においしかった。ごちそうさまでした。

そして昨日は、日本橋で開催されたインド関連本の販売イベントと、矢萩多聞さんたちが出演するトークイベント「ぽかーんインディア」へ。4人の出演者がそれぞれインドにまつわる「ぽかーんとした話」をするイベントだったのだが、面白かった〜。特に多聞さんの「イングリッシュティーチャー」の話は、個人的に強烈にツボに入った。インドという国、本当に底が知れない……。

二日続けて、たくさん笑うことができて、なんだか気分がせいせいとしている。

その後のインディア

数週間前に書いた、インドのシムラーという街のホテルをBooking.comで予約したら「デポジットで1泊分の全料金をこの口座に入金しなさい、でなければキャンセル扱いにします」と、インド国内のパンジャブ銀行の口座情報がメールで送られてきた件の、その後。

とりあえずこちらからは「こっちは日本だし、銀行に送金するのは無理。もしそちらの都合でキャンセルするなら連絡してください」というメールを、間を置きながら数回送った。その間、Booking.comの方でも空室情報をウォッチしていたのだが、僕が予約していたらしき部屋が空室になり、やがてそれが埋まった頃、ホテルからメールが来た。「デポジットが払えないなら部屋をキープできないので、そちらでBooking.comからキャンセルしてください」と。案の定である。

で、こちらからBooking.comでそのままキャンセルすると、ややもするとキャンセル料がかかってしまうので、Booking.comにある「キャンセル料の交渉」という項目から再度連絡し、「ホテル側からキャンセルしてくれと言われたので減額してください」とディスカウントを交渉。結果、キャンセル料は無料になった。まあ、当たり前といえば当たり前なのだが。

交渉に時間がある程度かかることを予想して、アゴダの方からシムラーの別のホテルを予約しておいたので、ことなきを得た。6月から7月にかけて、シムラーの宿は本当に混み合うし、高くなるので、危ないところだった。

しかし、この夏のインドとの戦いは、まだまだ序の口だ……。

運命の巡り合わせ

運命の巡り合わせ、という言葉がある。その人にとって、偶然という一言で片付けるには不可思議に思えるような出来事がいくつか続いた時に、よく使われる言葉だ。

僕は数年前から、とても個人的な動機で、アラスカを取材をしている。その動機が生まれた背景には、いくつかの出来事があったのだが、それらについて近しい人に話すと、ほとんどの人が口を揃えて「それは運命の巡り合わせじゃないですか」と言う。確かに、そう言いたくなるのもわかるような、不可思議としか言いようのない符合が(20年以上前から)あった。でも僕自身は、それらの出来事を「運命の巡り合わせ」という言葉であっさり片付けてしまいたくはない、という気持でいる。

この世界は、目には見えない運命というものに支配されてなどいない。人が生きていく中で起こるたくさんの出来事の中から、何を感じ、何を選び、何をするのかは、その人自身が決めることだ。そうして選んだ道は、時には、もしかするとどん詰まりになるかもしれないけれど、そうなったとしても、僕は後悔はしない。自分で考えて、選んだ道だから。

運命なんか、アテにして、たまるものか。

さすがインディア

昨日と今日は、国分台の方で取材。三鷹から片道丸1時間。何だかんだでやっぱり疲れる。

家に戻ってきて、Macを開くと、ぽん、とメールが届いた。インドからだ。今年の夏、6月の終わりから取材でインドに行くので、旅の序盤、シムラーという街で泊まる宿をBooking.comでこの間予約したのだが、そのホテルからのメール。明日までにデポジットで1泊分の全料金をこの口座に入金しろ、でなければキャンセル扱いにする、と、パンジャブ銀行の口座情報が送られてきたのだ。

まったくもって、そんなの知らんがな、だし、予約保証にVISAカードの情報もBooking.com経由で入力してるのに、なんでわざわざ日本からインドの口座に送金させようとするのか。普通の旅行者にはまず無理だし、送料を考えたらまったく割にも合わないし。突拍子なさすぎて、かえって笑えてきた。

とりあえず、「いや、こっちは日本だし、送金するのは無理ですよ。でも、シムラーまでの鉄道は予約済みなんで、安心してください。宿に着いたら直接払います。もしそっちの都合でキャンセルするなら、また連絡してね」とだけ、メールを返しておいた。さて、どうなることやら。

さすが、インディア。出発前から、すでに戦いは始まっている。