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日帰りで大阪へ

朝四時起床。昨日買っておいたコンビニおにぎりを頬張り、身支度をして、出発。今日は大阪での日帰り取材だ。外に出たとたん、真っ暗闇を吹き荒ぶ木枯らしに早くもトホホな気分になる。

東京駅六時過ぎ発の新幹線は、品川と横浜でどやどやと客が乗り込んで、かなり込み合っていた。ビジネスマンは大変だなあ。窓の外には、青空に屹立する富士山。iPhoneで音楽を聴きながら、しばらくの間、うとうとする。

九時ちょっと前、大阪に到着。大阪駅がものすごく豪華になっているのにびっくり。エスカレーターに乗る時の並び方が左右逆だ。そして女の子たちの関西弁がかわいい(笑)。

十時から始まった取材は、先方のご協力のおかげで、スムーズに終了。帰る前に、梅田界隈を少しぶらつく。小さな飲食店がたくさん並んでいるあたりで、小さなお好み焼き屋にふらっと入り、モダン焼とビールを注文。うまい‥‥。取材が終わった後は、五割増しでうまい(笑)。

その後、再び新幹線で東京に向かい、夕方頃に三鷹に戻ってきた。明日も午前中から新宿で取材だけど、とりあえず、今日はもうポンコツ(苦笑)。

アラスカへ

昨日のエントリーの続きというわけではないのだが、来年の夏の終わり頃、半月ほどアラスカに行くことになった。

もともと、両親が旅仲間の友人夫妻とともにアラスカへの手配旅行を準備していて、すでに予約金は支払っていたそうなのだが、父がいなくなった分の穴をどうするかという話になり、代わりに僕が母と一緒に参加することになった‥‥という次第。

参加にあたっての問題は二つあった。一つは旅費。その手配旅行の参加費用は、ぶっちゃけ僕には到底払えないような金額だったのだが、父の旅費として用意していた分で母が建て替えてくれるというので、どうにか解決。もう一つは、僕が団体行動がからきし苦手なこと(苦笑)。これも、両親の友人夫妻が「高樹さんは、キャンプ・デナリ滞在中は一人で自由に行動してもいいですよ」と提案してくれたので、何とかなりそう。ほんとすみません(笑)。

そう、アラスカでの滞在場所は、キャンプ・デナリ。星野道夫さんの本にも何度となく登場する、シリア・ハンターとジニー・ウッドが建てた伝説のロッジ。今回、こういう巡り合わせでそこを訪れることになったのも、何かの縁なのだろう。アラスカへの最初の一歩としては、悪くない。

気楽な旅

ひさしぶりにコンパクトカメラを買おうと思っている。最有力候補は、もうすぐ発売になるリコーのGR DIGITAL IV。六年前から使っている初代GR DIGITALの買い替えという形になる。

同じリコーのGXRGR LENS A12 28mm F2.5や、オリンパスのXZ-1も考えてはみたのだが、店頭で実機を手にしてあれこれいじってみた結果、反応の速さや操作のしやすさ、持ちやすさなど、スナップシューターとしての完成度ではGR DIGITAL IVが抜きん出ていると感じた。特に、AFの速さと精度は素晴らしい。

新しいGR DIGITAL IVを手に入れたら‥‥ふらっと一人旅に出てみたい。着替えと洗面道具だけ詰め込んだリュックを背負い、小さなショルダーバッグにぽいっとカメラを放り込んで。いい写真を撮らなければならないとか、そんなことは一切考えなくていい、気楽な旅。見知らぬ国をおろおろ彷徨いながら、どこかでそんな間抜けな自分を楽しめる旅。

やってみたいな。ひさしぶりに、そういう旅。

父について

2011年7月27日未明、父が逝った。71歳だった。

当時、父は母と一緒に、イタリア北部の山岳地帯、ドロミーティを巡るツアーに参加していた。山間部にある瀟洒なホテルの浴室で、父は突然、脳内出血を起こして倒れた。ヘリコプターでボルツァーノ市内の病院に緊急搬送されたが、すでに手の施しようもない状態で、30分後に息を引き取ったという。

父の死を報せる妹からのメールを、僕は取材の仕事で滞在中だったラダックのレーで受け取った。現地に残っている母に付き添うため、翌朝、僕はレーからデリー、そしてミラノに飛び、そこから四時間ほど高速道路を車で移動して、母がいるボルツァーノ市内のホテルに向かった。

車の中で僕は、子供の頃のある日の夜のことを思い出していた。その夜、僕たち家族は車で出かけて、少し遠くにある中華料理店に晩ごはんを食べに行ったのだ。店のことは何も憶えていないが、帰りの車で助手席に坐った時、運転席でシフトレバーを握る父の左手にぷっくり浮かんだ静脈を指でつついて遊んだことは、不思議によく憶えている。指先に父の手のぬくもりを感じながら、「もし、この温かい手を持つ人が自分の側からいなくなったら、どうすればいいんだろう?」と、不安にかられたことも。

翌朝、病院の遺体安置所で対面した父は、まるで日当りのいい場所で居眠りをしているような、綺麗で穏やかな顔をしていた。腹の上で組まれた父の手に、僕は触れた。温かかったはずのその手は、氷のように冷たく、固かった。

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バックパック

押し入れの天袋から、バックパックを引っ張り出してみた。

僕はバックパックを二つ持っていて、一つはミレーのキャプサンという、45〜55リットルくらいのもの。もう一つはグレゴリーのデイ&ハーフパックで、33リットルくらい。この二つの使い分けは単純で、ラダックのように寝袋が必要な場所へ行く時はミレー、寝袋がいらない場所に行く時はグレゴリーを使っている。もともと、寝袋さえ必要なければ「‥‥半年も旅行に行っていて、荷物、これだけですか?」と成田の税関で訝しがられるくらい(笑)、荷物は少ないたちなので、30リットルもあれば十分なのだ。機内にも持ち込めるし。

最近はウルトラライトが流行で、バックパックもびっくりするくらい軽量なものが出ている。いいなーと思ってはいるのだが、いかんせん、ラダックの山の中みたいに尖った岩だらけの荒っぽいところに持ち出すと、耐久性が‥‥。その点、今使っているミレーのキャプサンは頑丈で、五年経ってもびくともしていない。

バックパックを引っ張り出して、床に広げてみたところで、なぜかすっかり満足。荷造りは、明日以降に。