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本をつくる仕事

午後、銀座で打ち合わせ。タイに行ってる間に依頼を受けた、初めて組むクライアントとの仕事。「想像してたのと全然印象が違う‥‥」「もっと探検家みたいな、ごつい人かと思ってました‥‥」と言われるのも、今年だけで4度目か5度目。もうすっかり慣れた(笑)。

今度の仕事は、一応インタビュー原稿も書くけれど、基本的には編集者としての仕事。自分の名前を出して文章を書いたり写真を撮ったりするのと違って、編集者は裏方に徹するべき立場。そういうポジジョン、僕は嫌いじゃないというか、むしろとても性に合う。本づくりの根っこの部分に関われるのが楽しいのだ。

僕の職業について、初対面の人からよく「で、結局、何がメインなんですか? ライター? 編集者? それともフォトグラファー?」と訊かれるのだが、一番フィットするのは「本をつくる仕事です」という答えだと思う。何かの分野で能力値や世間からの評価を高めることには、正直あまり興味が湧かない。あの手この手を弄しながら目指す本を作り上げられれば、僕はそれで十分だ。

バンコクの電車

タイの首都バンコクは、周辺部を含めると人口が1500万人近くに達する巨大都市。街を行き交う車の数はすさまじく、どこもかしこも常に渋滞。場所や時間帯にもよるけれど、タクシーやトゥクトゥクでは、いつまでたっても目的地に着ける気がしない(苦笑)。だから先日の取材中は、常にBTS(スカイトレイン)とMRT(地下鉄)を軸に、必要に応じてチャオプラヤー・エクスプレス・ボートを組み合わせて街の中を移動していた。

BTSやMRTの車内はキンキンにエアコンが効いていて、椅子などもとても清潔。液晶モニタに流れる広告には日系企業のCMも多い。乗客たち、特に若い子たちはみんな、一心不乱にスマホをいじっている。そんな感じの車内なので、時々、東京で電車に乗ってるような錯覚に陥りそうになる。

ただ、一つ大きく違うと感じたのは、停車駅で年配の人や小さいお子さん連れの人が乗ってくるたびに、それまでスマホをいじってた若い人たちが、スパッ!と立ち上がって席を譲っていたことだった。体力的に弱い立場の人を丁寧に気遣う彼らの態度は、仏教を篤く信仰する国だからというのもあるだろうが、東京の電車内の風景とはずいぶん違う。東京はほんと‥‥バレバレなのに寝たふりしてる若い人とか、結構いるし。

この点において、バンコクは東京に圧勝だなあ、と思う。

気温差

昨日の夜は10時間くらい、たっぷりと寝た。目が覚めると、外は冷たい雨。やれやれと思いながら、傘をさして、昼に食べるパンを買いに行く。寒い。気温は12、3℃くらいだろうか。一昨日までのタイとの気温差、20℃以上。

毎年のことながら、タイはとにかく暑かった。10月は乾季に入りはじめるので、空気は少しカラッとしているのだが、それでも昼の間、ぎらぎらと太陽が照りつける中をカメラバッグを担いで歩き回るのは、かなりしんどい。地元の人たちはみんな日陰で昼寝とかしてるのに(笑)。4週間の間、ずっとTシャツと短パンとサンダル。毎日毎晩だくだくに汗をかき、身体中の汗腺は開ききってザルみたいになってたと思う。

そんな状態で、いきなりこの気温差。僕的には、もうすっかり冬ってことで身構えようと思う。風邪をひかないようにせねば。

金木犀

連休中、というより先週アフリカから戻ってきて以来、ほとんどずっと働きづめだったので、今日は丸一日オフ。昼から昭和記念公園に出かける。

今日のお目当ては、満開になっているというコスモスの花と、以前たまたま食べて以来ぞっこんの五浦ハムのハム焼きだったのだが、思いのほか心を掴まれたのは、金木犀の香りだった。西立川の駅を降り立ったとたん、青空の下を吹き渡る風に乗って、何とも言えない爽やかな匂いが漂ってくる。深く呼吸をして吸い込むと、身体の中の澱みがすっかり洗い流されていくような気がする。

公園内を歩いていると、それこそ至るところで金木犀の木々が花を咲かせている。昔、この公園の設計をした人は、秋になるとこんな風に金木犀の香りがたちこめることを想像していたのだろうか。だとしたらその人に、こんな清々しい気持にさせてもらったお礼を言いたいような気がした。

なぜかスニーカー

午前中、赤坂で打ち合わせ。来週末からの南アフリカ取材の件で、観光局の方からのブリーフィング。その後、依頼元の担当さんとランチがてら、記事にするネタを打ち合わせる。とりあえず、ワイルドな記事になるのは間違いない(笑)。

午後は目黒に移動し、10月のタイ取材の打ち合わせ。こちらは去年より1日だけ短くなるが、それでも油断できないスケジュールなのは変わらない。移動の連続なのでうっかり体調も崩せないし。勝手知った地域とはいえ、気を引き締めなければ。

その午後の打ち合わせで、結構大事な書類の束をたくさん受け取ったのだが、大判の封筒に入っていたので、そのままだと、大事なものだとわかっていても何かの拍子にうっかりなくしてしまいそうな気がした。で、渋谷あたりで何か入用なものを買って、その時に大きめの手提げ袋をもらって、それに書類を一緒に入れようと思いついた。

これはいいアイデアだなあと思ったのだが、それで選んだ買い物が、なぜかスニーカーだったという‥‥。そこまで大きな買い物をする必要もなかったのに。我ながらどうかと思う、ほんと。