Tag: Seasonal

冬の足音

夕方、コーヒー豆を買うために、外へ。

日が暮れるのが、ずいぶん早くなった。朝から降ったり止んだりの雨で、近所の公園のイチョウもずいぶん葉を散らしている。今日はまだ、雨上がりで風もぬるいけれど、たぶん明日か明後日からは、ぎゅうっと冷え込んでくるのだろう。

秋は唐突に終わりを告げ、冬の足音が、ひたひたと聞こえる。

氷河と寝袋

この間、毛布と布団の正しい使い方というのがネットで話題になっていた。これはたぶん、羽毛布団のロフトを最大限に活かすための使い方というのがキモなのだろう。僕はもともと羽毛布団(安物だけど)の上に毛布をかけていたのだが、試しに身体の下にも薄手の綿毛布を敷いてみたところ、確かに暖かい。下に敷く毛布が分厚すぎたり、材質がアクリルだったりすると、かえって寝苦しくなりそうだけど。

まあそれはそれとして、寝る時に一番暖かい寝具は、やっぱり寝袋だと思う(笑)。さすがに自分の家でわざわざ寝袋を使ったりはしないけど、何だかんだで、寝袋で寝起きしている回数は普通の人よりもだいぶ多いはずなので、そのありがたみは十分わかっているつもり。

僕が持っているのはマウンテンハードウェア製のものが二つで、一つは使い勝手のいいスリーシーズン用、もう一つは冬のラダックやこの間のアラスカでのキャンプで使った厳寒期用。厳寒期用は、襟元までみっちりダウンが詰まっているマイナス20℃くらいまで耐えられる仕様のもので、実際、チャダル・トレックや雪のワンダーレイクでもぐっすり眠ることができた。

でも、寝袋の世界にも、上には上がある。たぶん最強クラスなのは軍用の寝袋だろう。ラダックでも、地元の人々はインド軍の放出品の寝袋を使っている。これはめっちゃでかくてかさばるのだが、インナーとアウターを組み合わせて使うモジュラー構造になっていて、両方使うとものすごく暖かい。あまりにも暖かすぎるので、チャダルあたりでは片方だけ使っている人も多かった。

どうしてそんなに過剰なほど暖かい仕様になっているのかというと‥‥インドの最北部、ラダックのヌブラよりさらに北には、今もインドとパキスタンが領有権を争っている、シアチェン氷河という場所がある。ここは標高が6000メートル前後もあって、世界で最も標高の高い戦場とも言われている。そんなとんでもない場所で野営するのにも耐えられるように開発されたのが、この過剰に暖かい寝袋なのだそうだ。

世の中、いろんな場所で寝てる人がいるものである。

地味な用事

抜けるような秋晴れの、気持ちのいい日曜日。仕事はそんなに焦らなくても大丈夫そうだし、どこかに出かけよう、と思い立つ。

で、どこに行こうか、何をしようかとひとしきり考えを巡らせてみたのだが、見たい展示や映画があるわけでもなく、今すぐ買いたいものがあるわけでもなく、さてどうしよう、と考えてるうちに、ふと思い当たることが。

‥‥カメラのセンサーのクリーニングをしてもらわなきゃ。

この秋晴れの日に、何という地味な用事だ‥‥。でもまあ、夏からこのかた、ほとんど毎日取材でカメラを使い続けてたわけだし、ここでしっかりメンテしておかなければならないのも確か。というわけで、カメラボディをクッションバッグに包んでカバンに入れ、新宿のニコンサロンまで、てくてく出かけてきた。

そんな晩秋の日曜日。まあ、いいか。

加住丘陵を歩く

kasumi01
八王子駅から北に少し歩き、浅川を越えると、加住丘陵という小高い丘がある。小宮公園という公園として管理されているこの場所には、コナラやクヌギを中心とした緑豊かな雑木林の中に木道が整備されていて、手軽に自然を味わえる散策コースになっている。気持のいい秋晴れの日、この加住丘陵をぶらぶらと歩いてきた。

宇治金時

今日もじっとり蒸し暑い。午後、仕事関係で不要になった本を買い取ってもらいに水中書店さんに行き、駅前で小さな用事をいくつか。あまりにも暑いので、家に戻る前に「かき氷でも食べてくか」と思い立つ。

三鷹でかき氷といえば、やはり「たかね」しかない。店内は平日なのにかなりの混みようだったが、首尾よく坐れたので、宇治金時をオーダー。ほどなく運ばれてきたそれは、雪のようにふわふわとなめらかな氷に、濃い抹茶とつぶ餡が乗っかっている。急いで食べると頭がキーンと痛くなりそうだし、のろのろ食べてるとせっかくの氷が溶けないか心配だし、いろいろ気をもみながら(笑)、おいしくいただいた。

ここ数年、今頃の時期はほぼずっとラダックに行っていたので、今年は日本の夏の蒸し暑さが身体にこたえる。でも、暑ければ暑いなりに、今日みたいにかき氷を愉しむことだってできる。夏が終わる前に夏らしいことを一つできて、何だかよかった。