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節電って?

年の瀬ということもあって、三鷹でも、駅前や商店街にイルミネーションが灯される季節になった。僕は感受性の薄い人間なので、イルミネーションを見てもたいして何の感慨も湧かないのだが、そういえば、節電って、どうなったんだろう、などと思ってしまう。

震災が起こったのは、まだほんの三年前。あの頃、世間はとにかく節電、節電で、イルミネーションはもちろん、街灯や駅の構内の照明まで落とされていた。でも今は、そんなことなどすっかり忘れ去ってしまったかのように、むやみやたらにイルミネーションは灯され、そこらじゅうで湯水のように電気が消費されている。

日本のエネルギー事情がこの三年間でそんなに好転したとも思えないのだが、みんな、その辺はどう思っているのだろう。日常の中で電気の便利さに溺れているうちに、僕たちは将来、誤ってはいけない判断を誤ってしまうのではないか、という気がしてならない。

それで効果があるかどうかではなく、使わなくてもいい電気は使わないようにする、という気持を一人ひとりが持つことに意味があるのかな、と思う。

ざくざく歩く

昼、特に決まった用事もなく、外へ。電車に乗って、都心に向かう。

とりあえず行ってみたのは、神楽坂の文鳥堂書店の跡地にオープンした、かもめブックス。思っていた以上に素敵な雰囲気のお店で、本のセレクトも、思わず棚の前で足を止めて見入ってしまう感じ。いくらでも長居できそうだ。店内でゆっくりコーヒーでも飲んでみたかったのだけど、お客さんが大勢いたので、またの機会に。

途中でたい焼きを買い食いしつつ、いつになく人通りの多い神楽坂を下って、飯田橋から電車に乗り、原宿へ。GAPの前でお姉さんたちが「全品50パーセントオフでーす!」と悲痛な声で叫んでいる。表参道もすごい人出で、それを避けるようにキャットストリートに抜け、いくつかのお店をのぞきながら、渋谷方面へ。渋谷もどえらい人出で、ほとんど逃げるようにして井の頭線に乗り、吉祥寺に戻る。吉祥寺もこれまたすごい人出だったが、晩飯にと行ってみたまめ蔵は奇跡的にまだ空いていて、うまいチキンカレーにありつくことができた。

何か買ったわけでも、何かしたわけでもなく、ただひたすら、人ごみをぬって、ざくざく歩いていた日曜日。ま、いいか。

冬の足音

夕方、コーヒー豆を買うために、外へ。

日が暮れるのが、ずいぶん早くなった。朝から降ったり止んだりの雨で、近所の公園のイチョウもずいぶん葉を散らしている。今日はまだ、雨上がりで風もぬるいけれど、たぶん明日か明後日からは、ぎゅうっと冷え込んでくるのだろう。

秋は唐突に終わりを告げ、冬の足音が、ひたひたと聞こえる。

氷河と寝袋

この間、毛布と布団の正しい使い方というのがネットで話題になっていた。これはたぶん、羽毛布団のロフトを最大限に活かすための使い方というのがキモなのだろう。僕はもともと羽毛布団(安物だけど)の上に毛布をかけていたのだが、試しに身体の下にも薄手の綿毛布を敷いてみたところ、確かに暖かい。下に敷く毛布が分厚すぎたり、材質がアクリルだったりすると、かえって寝苦しくなりそうだけど。

まあそれはそれとして、寝る時に一番暖かい寝具は、やっぱり寝袋だと思う(笑)。さすがに自分の家でわざわざ寝袋を使ったりはしないけど、何だかんだで、寝袋で寝起きしている回数は普通の人よりもだいぶ多いはずなので、そのありがたみは十分わかっているつもり。

僕が持っているのはマウンテンハードウェア製のものが二つで、一つは使い勝手のいいスリーシーズン用、もう一つは冬のラダックやこの間のアラスカでのキャンプで使った厳寒期用。厳寒期用は、襟元までみっちりダウンが詰まっているマイナス20℃くらいまで耐えられる仕様のもので、実際、チャダル・トレックや雪のワンダーレイクでもぐっすり眠ることができた。

でも、寝袋の世界にも、上には上がある。たぶん最強クラスなのは軍用の寝袋だろう。ラダックでも、地元の人々はインド軍の放出品の寝袋を使っている。これはめっちゃでかくてかさばるのだが、インナーとアウターを組み合わせて使うモジュラー構造になっていて、両方使うとものすごく暖かい。あまりにも暖かすぎるので、チャダルあたりでは片方だけ使っている人も多かった。

どうしてそんなに過剰なほど暖かい仕様になっているのかというと‥‥インドの最北部、ラダックのヌブラよりさらに北には、今もインドとパキスタンが領有権を争っている、シアチェン氷河という場所がある。ここは標高が6000メートル前後もあって、世界で最も標高の高い戦場とも言われている。そんなとんでもない場所で野営するのにも耐えられるように開発されたのが、この過剰に暖かい寝袋なのだそうだ。

世の中、いろんな場所で寝てる人がいるものである。

地味な用事

抜けるような秋晴れの、気持ちのいい日曜日。仕事はそんなに焦らなくても大丈夫そうだし、どこかに出かけよう、と思い立つ。

で、どこに行こうか、何をしようかとひとしきり考えを巡らせてみたのだが、見たい展示や映画があるわけでもなく、今すぐ買いたいものがあるわけでもなく、さてどうしよう、と考えてるうちに、ふと思い当たることが。

‥‥カメラのセンサーのクリーニングをしてもらわなきゃ。

この秋晴れの日に、何という地味な用事だ‥‥。でもまあ、夏からこのかた、ほとんど毎日取材でカメラを使い続けてたわけだし、ここでしっかりメンテしておかなければならないのも確か。というわけで、カメラボディをクッションバッグに包んでカバンに入れ、新宿のニコンサロンまで、てくてく出かけてきた。

そんな晩秋の日曜日。まあ、いいか。