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飛び去っていく日々

ここ十日間ほど、かなり忙しかった。大学案件の取材と執筆が立て続けに入って、それが終わってすぐ、六月に出る予定の新刊の著者校正。まるまる一週間ほどかけて、ようやくチェックし終え、とりあえず明日、郵便局からレターパックで出版社に送る予定。

著者校正をしてる間は、文字通り、一字一句をなぞるように、ひたすらちまちまと追い続けていた。ある程度の経験と、根気と持久力と集中力のいる作業だ。原稿を納品する時に入念にチェックしておいたはずだったのに、あらためて一字一字拾っていくと、やっぱりあるのだ、誤字、脱字、誤変換、不用意な重複、日本語的に意味が通りにくい部分、その他いろいろ……。でも、ここでしっかりチェックしきれるかどうかで、本の品質はかなり決まってくる。だから、絶対に手は抜けない。手を抜いて作られた本は、読者(特に同業者)に、あっという間に見抜かれてしまう。

はあ、あともう少しだ。がんばろ。

ついこの間、マンションの裏手で満開だった桜の木は、もうすっかり新緑の葉桜になってしまっていた。毎日が、矢のように速く飛び去っていく。まあ、今みたいなご時世なら、とっとと早く過ぎ去ってくれた方がいいのかもしれない。

桜の季節


先週は、何度か散歩をして、桜の花を見に行った。善福寺公園、小金井公園、井の頭公園。桜はちょうど見頃のタイミングで、枝先にぷくぷくと咲いた薄紅色の花々が、とても綺麗だった。

去年の今頃は、「来年は普通にお花見ができるようになってるといいね」と相方と言い合ってたのだが、一年経った今も、残念ながら、普通に花見ができるようにはなっていない。花見スポットではゴザを敷いての宴会は禁止されていて、マスクをつけた人々の列が、満開の桜の下を巡回していた。桜の樹々からしてみたら「去年も今年も、人間たちの様子は変だな」と思うことだろう。

さて、来年こそは、普通にお花見ができるように、なって、いるのだろうか? 個人的には、五分五分といったところかな、と思う。

間に合った秋


昨日はひさしぶりに、昭和記念公園へ。人出はまあまあ多かったが、行楽シーズンの連休にしてはそれほどでもなく、公園自体も広いので、このご時世でも割とリラックスして歩くことができた。五浦ハムの絶品のハム焼きにも、ひさしぶりにありつけたし。

名物のイチョウ並木はほとんど散り終えていたが、モミジはちょうどいい見頃で、鮮やかな赤が青空に照り映えていた。ついこの間、iPhone 12 miniに機種変したのだけれど、テキトーに撮ってもよく写る。スマホでこれだけ撮れてしまったら、コンデジの出番はなくなりそう。ガイドブックの取材とかなら、サブカメラはiPhoneでいけてしまうかも。

季節が移ろってしまう前に、すべり込みで秋に間に合って楽しむことができて、よかった。世の中は、まだまだ落ち着かないけれど。

十月の東京

気がつけば、今日からもう、十月。

考えてみると、東京で十月を過ごすというのは、ものすごくひさしぶりだ。確か、2012年以来、7年ぶり。この時期は毎年、「地球の歩き方タイ」の取材で4週間ほどタイに滞在するのが常だったのだが、コロナ禍の影響で取材も無期延期になっているので、はからずもひさびさに十月の東京を体感できている、という次第。

まず、当たり前の感想なのだけれど、十月って、涼しいんだなと(笑)。いや、取材でタイに行くと、日本の夏の延長戦みたいな酷暑の日々がずっと続いて、全身黒焦げに日焼けして帰国するような状態だったから。この時期、東京ではどんな服を着ればいいのかなとか、寝具を秋冬に切り替えるタイミングはいつがいいのかなとか、割と新鮮な課題に直面している(笑)。

まあでも、とりあえずは、もうちょっと世の中が落ち着いてくれたらなあ、というところか。いろいろ制限されている中で、自分にできる範囲の仕事に淡々と取り組んではいるけれど、やっぱり、自由気ままにどこにでも行けるようになるに越したことはない。まあ、気長に待ちますか。

腐海の記憶

ようやく梅雨が明けたと思ったら、いきなり夏が本気でぶん殴ってきたような暑さである。

さっき、駅前の本屋とスーパーに行くために外に出たら、明らかに体温越えの熱風が。気温だけなら、今の時期のデリーやバンコクよりも暑い。コロナ禍がなかったら、今年はこんな酷暑の中でオリンピックのマラソンとかが開催されてたのだ。来年、本気でやるつもりなんだろうか。たぶんそれまでにコロナ禍が収束せずに中止になるだろうけど。

例年のこの時期、僕はたいていインドのラダックあたりにいて、標高3500メートルの涼気の中で過ごしていた。自分自身は快適だったのだが、留守の間に閉め切っていた三鷹のマンションの部屋は、帰国してみるとひどいことになっていた。一言で言うと、腐海、というか……。体温越えの気温と湿気の中で1、2カ月も部屋を閉め切っていると、革製品やら何やら部屋中の至るところに、カビやら何やらわけのわからないものが繁茂するのである(怖)。一昨年から二人暮らしに移行して西荻窪に引っ越して以降は、その恐怖から免れられるようになったのだが。

あの腐海の光景を味わうのは、もう金輪際、御免被りたい。ナウシカのような広い心には、なれそうにない(笑)。