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煮えたぎる日々

ここしばらく、尋常でなく暑い日々が続いている。

午前中に、食材の買い出しに駅前のスーパーまで行くのに、歩いて五分くらいの道程なのだが、マンションの外に出て十歩も歩かないうちに、もう無理、という気分になる。Tシャツを突き抜けてくる、日射しの熱。路面のアスファルトは、ホットプレートの鉄板のごとし。四方八方から吹き寄せてくる、クーラーの排熱。日向を歩いてるだけで、息苦しくなり、動悸が早まる。なんだこれ。はちゃめちゃだ。酷暑期のデリーよりもきつい。

自宅の部屋でも、朝から晩までほぼずっと、クーラーをかけっぱなしにしておかないと、とてもじゃないが耐えられない。電気代がどうこうとか言ってられない。

こんな、ぐつぐつ煮えたぎるような夏の日々が、あと二カ月近くも続くのか……。自分は途中、三週間ほどラダックに行くのだが、仕事とはいえ、何だか家族に申し訳ない。それにしても、しんどい。

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呉明益『複眼人』読了。序盤で語られるワヨワヨ島のファンタジックな設定が興味深くて、物語にどう関わってくるのかと思っていたのだが、何というか、壮大なスケールに膨らんだ話を、上手く畳み切れなかった印象。まったく予想のつかない展開は面白かったし、明示と暗示を含め、自然と人との関わりについてのさまざまな示唆に富んでもいたけれど。

もう梅雨明け?

ほんの三週間ほど前に、梅雨入りらしい感じで梅雨になったなあ、というブログを書いたのだが、西日本では、もう梅雨明けしてしまったらしい。東京も七月上旬には梅雨明けするかも、との予報。このままだと、史上最短の梅雨になってしまいそうだという。

水不足による農作物への影響も気になるが、今すでに始まっている灼熱の夏の日々が、このまま三カ月くらい続くのかと思うと、ちょっとげんなりしてしまう。まあ、八月は三週間ほどガイドの仕事でラダックに赴くので、その間だけ少し涼しい日々を過ごせはするのだが。

しかしまあ……やっぱり、異常気象なのかな。異常が当たり前になってしまってる感じもするけど。

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橋本倫史『ドライブイン探訪』読了。日本各地のドライブインをくまなく何度も訪れ、店主の方々から聞いた話を虚心坦懐に書き綴った本。膨大な時間と手間をかけた取材の成果が凝縮されている。橋本さん自身はあとがきで「文章にまとめる上で心がけたのは、表現しないということだった」と書いているが、謙虚なスタンスで綴られる言葉の端々からごくうっすらと滲み出る橋本さんの熱意は、読んでいて確かに感じられたし、その気配に心を動かされた。

謎の発熱

先週、謎の体調不良に見舞われた。3日間ほど、ずっと発熱していたのだ。

熱が出たとか、いつ以来だろう? すぐには思い出せないくらいのひさしぶりの事態。喉が痛いわけでも、鼻水が出るわけでもなく、寒気もなければ、頭痛もまったくない。ただ、何となく身体全体がほんのり熱っぽい状態で、体温計で測ってみたら37、8度を行ったり来たり。解熱剤をキメればいったん下がるが、何時間か経つとまた上がる、といった具合。

おそらく、先週は急に阿呆みたいに暑くなったので、身体が温度変化に対応できず、夜寝てるうちに、軽い熱中症のような症状になってしまったのではないかと思う。幸い、食欲は普通にあったので、部屋の冷房をしっかり効かせて、水分と栄養補給を心がけつつ、デスクワークの合間にできるだけ昼寝などして休養に努めたところ、週末にはすっかり回復した。やれやれ。

しかしまあ、酷暑期のインドでもならなかった熱中症に、東京の自分ちでなってしまうとは……。みなさんもお気をつけください。

梅雨入り

昼少し前、食材の買い出しに行くため、マンションから外に出て、傘をさして歩き出す。雨とも霧ともつかない、細かな水滴が宙を舞っている。近所の家の生垣で、しっとりと潤った緑の葉。紫陽花も、淡い色の花弁を生き生きと広げている。

ああ、梅雨に入ったんだなあ、と思った。

実際、関東地方は、今日から梅雨入りしたそうだ。ニュースなどで知らされる梅雨入りと、季節の境目として体感した梅雨入りが一致したのは、いつ以来だろうか。毎年のように、やたら暑かったり寒かったり、大雨だったり小雨だったりで、異常気象という言葉を聞かされ続けていたから、ごく普通の形で季節が移ろっていくと、かえって少し戸惑ってしまう。

いずれにせよ、これからしばらくは、洗濯物を干すタイミングに悩まされそうだ。

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F・スコット・フィッツジェラルド『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』読了。若くして作家として華々しくデビューし、『グレート・ギャツビー』という不朽の名作を残したフィッツジェラルドは、1930年代に入ると、妻の病や世界恐慌、自身のアルコール中毒などで、不遇の時代を過ごすようになる。すべてを賭けた渾身の力作『夜はやさし』も、発表当初はほぼ見向きもされなかった。この短編集では、その頃の彼の心情を、いくばくか読み取ることができる。短編も秀逸だが、後半に収録された「私の失われた都市」や「壊れる」三部作などのエッセイが、寂しくも美しい。

「そして魂の漆黒の暗闇にあっては、来る日も来る日も時刻は常に午前三時なのだ。」

自身の絶望を、こんな言葉で綴ることができる人を、僕はほかに知らない。

丹沢、春から夏へ


今日は平日休みにして、丹沢表尾根を縦走してきた。何年ぶりだろう?……と思ってこのブログを検索してみたら、2019年以来、6年ぶりだった。コロナ禍の前は、年に一度くらいの頻度で来てたのだが。

すし詰めのバスでヤビツ峠まで移動し、登山口からえっちらおっちら、二ノ塔まで登る。三ノ塔の上から、烏尾山や行者岳、そして塔ノ岳にまで連なる尾根筋を眺めた時、これだー、この風景が見たかったんだ、と何だかすっかり嬉しくなってしまった。


お地蔵さんもお元気そうで。今年のウェアはかなりキマってる感じ。あと、酒のお供物が多すぎ(笑)。

天候は、薄日が時折射す薄曇りといった感じ。直射日光がさほどきつくなかったので助かったが、それでもまあ、暑かった。水を1リットル余分に持って行ったが、それでぎりぎり足りたくらいだった。梅雨に入ったら湿度も上がるし、ここいらを歩くのはさらにしんどくなりそう。秋まで待つか……。


輝くばかりの新緑に覆われた、丹沢の山々。今の季節ならではの風景。驚くほどすぐそばで、ウグイスが高らかに鳴く。

何しろひさしぶりだったので、最後までもつかなと半信半疑だったのだが、割と順調に歩くことができた。今年に入って、一月、二月、四月と山歩きをしていたので、それで足慣らしができていたようだ。大倉尾根の下りで、太腿の筋肉がピリつく寸前くらいまで追い込めたので、今回もいい運動になったと思う。

丹沢表尾根縦走をこれからしてみようかな、と思っている初心者の方へ。三ノ塔から塔ノ岳までの尾根筋では、こまめに休憩を取るようにした方がいいです。急勾配のアップダウンが頻繁にある上、風雨に浸食されて際どくなってる道や鎖場などもあるので、短時間のうちに結構消耗します。名前のついてる場所に来たら、5分か10分座って休んで、心身ともに常に余力を残しておくようにするといいと思います。ご参考までに。