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タイ 旅の断片(1)

チェンラーイの街で

九月下旬から約四週間、取材の仕事でタイを旅していた。旅行用のガイドブックの改訂に必要な情報のリサーチと追加撮影という割と地味な内容の取材だったのだが、確認して回らなければならない場所が膨大な数だったので、ほとんど休みも取れないほどタイトなスケジュールでの取材になってしまった。いつもの個人的な動機の旅の時のように、異国で過ごす時間を一人かみしめて味わうような余裕はなかったし、旅の様子をなぞれるほどたくさんの写真は撮れなかったのだけれど、それでもちょっとした合間にかろうじて撮った写真を、ここで何枚か載せていこうかと思う。

「ソトコト」2013年11月号

「ソトコト」2013年11月号木楽舎から刊行されている月刊誌「ソトコト」2013年11月号に、写真紀行「ラダックとスピティ 2つのリトル・チベットをつなぐ道」を寄稿しました。巻頭のカラーグラビアで8ページにわたって掲載されています。記事の内容は、昨年と今年にラダックとスピティで行った取材の成果を中心に構成したもので、特にスピティについては、ほとんどの写真が未発表のものです。機会があれば、書店で手に取ってみていただけるとうれしいです。

いろいろすっきり

昼、新宿へ。コニカミノルタプラザで開催されているデイジー・ジラルディーニの写真展「POLAR WONDERS」を見る。北極と南極を中心に撮られた写真の数々に息を呑む。ホッキョクグマ、アザラシ、ペンギンなど、極地に生きる野生動物の美しさと儚さ。地球温暖化によって彼らが晒されている危機は、決して見過ごしてはならないものだと思う。

写真展の後は、シネマート新宿で凱旋上映中の「きっと、うまくいく」へ。何だか急に、もう一度大きなスクリーンで見届けておきたくなったのだ。水曜のレディースデーとはいえ、平日の午後なのに、場内はほぼ満席。日本語字幕で観るのは二度目だけど、やっぱり泣けて笑えて、思いっきり感情を揺さぶられ、観終わった後はものすごくすっきりした気分になった。

懸案だった雑誌記事のゲラチェックも、夕方に届いたデータをついさっき、全部チェックし終えた。担当編集さんとデザイナーさんのおかげで、いい記事に仕上がったと思う。いろいろすっきりしたところで、いよいよあさってから、四週間のタイ取材だ。

御岳山散策

駅で売られていた鮎の塩焼きと三幅だんご

昨日、ひさしぶりに東京で山歩きに行くことにした。目指したのは、奥多摩の御岳山。山歩きといっても、今回は山上までケーブルカーで上がって、山頂付近のハイキングコースをぶらぶら歩くというお手軽プラン。JR青梅線の御嶽駅まで行き、駅の南口からバスに10分ほど乗って(混雑時は増発されている)、ケーブルカーの滝本駅へ。駅では、うまそうな鮎と三福だんごが焼かれていた。

「絶景」に思う

しばらく前から、「絶景」や「秘境」といったキーワードを謳い文句にした書籍やテレビ番組が人気を集めている。書籍の場合、その一冊のためだけにカメラマンを世界中に派遣したりすることは予算的にまず無理だから、ストックフォトエージェンシーに借りた写真で作っている本がほとんどだ。中には、Flickrなどから写真を持ってきてる、使用許諾の面などでかなり強引でアヤシイ作り方をしてる本もあるようだが。

旅の目的は人それぞれだし、ある「絶景」を見たいがために旅に出ても、それはまったく構わないと思う。ただ、自分の場合はどうかというと、「絶景」として見せられたイメージが旅に出る動機に繋がったことは、実は一度もない。最近人気のラダックのパンゴン・ツォでさえ、僕は最初に現地に行くまで、カラー写真すら見たことがなかった。旅の魅力は風景だけでなく、そこで生きる人々とその暮らしぶりなど、いろんな物事との出会いをまるっと含めた体験の中にあると思うし。

最近は、「絶景」と呼ばれる場所の地名をグーグルで画像検索すれば、そこの写真がわんさか出てくるから、便利な反面、ちょっと興を削がれる面もある。もちろん、自分自身の目で見届けるのが一番いい体験になるのは当然だけど、できれば事前にあまり予習しすぎないようにして(笑)、その「絶景」だけでなく、そこまでの道程で出会った人たちとのやりとりまで含めて、ゆったりと旅を楽しむのがいいんじゃないかなと思う。超効率的な弾丸ツアーで「絶景」だけがつがつ見に行っても、何だか味気ない旅になってしまうだろうから。

‥‥とまあ、自分で旅行記やらガイドブックやらを散々出しといて、何を言ってるんだという気もするけど(苦笑)。