Tag: Photo

旅の終わり、旅の始まり

冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』、本日校了。デザイナーさんと編集者さん、印刷会社の担当者さんが、最後の最後までこだわって、データ一式を仕上げてくれた。この後、印刷、製本、配送を経て、4月末には、書店の店頭やネット書店で発売されることになる。

長い旅だったなあ、と思う。去年の1月上旬に渡印して、約4週間、真冬のザンスカールを旅して。3月に帰国して、国内の仕事に復帰してからも、ずっと心ここにあらずという感じで、あの冬の旅についてどんな風にして言葉を刻んでいくか、そのことばかりを考えていた。原稿を書き続けていた日々も、編集作業に没頭していた日々も、僕にとってはずっと、あの冬の旅の続きだった。

その旅も、ようやく、終わった。これからは、完成した一冊々々の本が、一人ひとりの読者の元に届いて、それぞれの旅を始める。どんな風に受け取られるのか、緊張するし、怖くもあるけれど、でもやっぱり、楽しみで仕方がない。

緊急事態宣言なるものが発令され、各地の書店でも短縮営業や臨時休業が相次いでいる現状は、本の売上にもマイナスに作用するだろう。ただ、実のところ、僕はあまり悲観も心配もしていない。『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』は、これから20年、30年経ってからでもしっかり読んでもらえるような、持続性と耐久力のある内容にしている。たぶん、僕の残りの寿命よりも、ずっと長生きするだろう。だから、届くべき人の元には、いつか必ず届いて、それぞれの旅を紐解いてくれる。そう信じている。

『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』

冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ
文・写真:山本高樹
価格:本体1800円+税
発行:雷鳥社
A5変形判288ページ(カラー77ページ)
ISBN978-4-8441-3765-8
配本:2020年4月下旬

書き下ろしの旅行記としては約11年ぶりに、新刊を上梓します。インド北部、ヒマラヤの西外れに位置するチベット文化圏、ザンスカール地方を、真冬に旅した時の記録です。

凍結した川の上に現れる幻の道チャダルを辿り、雪崩の頻発する豪雪地帯ルンナク渓谷を抜け、最深部にある僧院、プクタル・ゴンパで真冬に催されるグストル祭を取材しました。約4週間に及ぶ旅の中で、起こった出来事、出会った人々、一つひとつのエピソードを克明に綴っています。

この本に書き記した内容は、もしかすると、あと10年もしないうちに、ザンスカールからすっかり失われてしまうかもしれません。それでも、いや、だからこそ、この本を作っておきたい、と僕は強く思いました。この本が、一人でも多くの読者の方のもとに届くことを願っています。

「地球の歩き方インド 2020〜2021」

新型肺炎流行の影響で、日本からインドへの入国が不可能になったばかりというめっちゃ泣けるタイミングですが(苦笑)、「地球の歩き方インド 2020〜2021」が来週末頃から発売されます。

この2020〜2021年版では、制作スタッフの交替を含めて大幅なリニューアルが行われていて、僕は今回から、取材・撮影・執筆・編集スタッフとして参画しています。具体的には、ザンスカールについての巻頭グラビア記事6ページのほか、アムリトサル、シムラー、ダラムサラ、マナリ、キナウル、スピティ、ラダックといった地域のページを担当。写真はもちろん自前ですし、文章も担当範囲内はすべてゼロから書き直して、地図やページレイアウトも再構成しています。

特にラダックやスピティに関しては、拙著「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」ほどの緻密さはないですが、他のガイドブックには負けない情報密度になっていると自負しています。ラダックへのパッケージツアーに持っていく程度の用途であれば、これで十分かと。

この最新版を持って、ぜひインドへ!と言えないご時世なのが、ほんと、何だかなあという感じですが(苦笑)、入国がまた可能になったらすぐ行くぞ!と予習に励みたい方は、お手元に一冊キープしておいていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

荒波越えて

先週は、かなりばたばたしていた。

水曜日、昼から御茶ノ水で記者会見の取材と撮影。帰宅してすぐに写真のセレクトと現像。木曜日、午前中から記事の執筆。写真データをサーバにアップしようとしたら謎のエラーが出て困惑。午後から渋谷で本のデザインや進行の打ち合わせ。帰宅して記事制作の続き。どうにか原稿と写真をアップして、編集部チェックに回す。

金曜日、朝から異様に頭が重い。たぶん眼精疲労系の頭痛で、あまりにもどよんどよんな状態だったので、相方を送り出してから、午前中ずっと寝込む。午後になっていくぶん持ち直して、夕方にカレーを自炊して食べる頃には、ほぼほぼ回復。しかしまあ、この程度の作業の詰まり具合で半日寝込むとは、無理が効かなくなったものだなあと思う。

そんなこんなで荒波越えて、超特急で書いた記事、「BE-PAL」のサイトにアップされてます。よしなに。

Tai Pei, Kaoh Siung, & Wu Tai