Tag: Photo

想定外の露出

今週の水曜、リトスタで今やっている写真展について、ケーブルテレビ局から取材を受けた。その話をもらった時は「まあ、家でケーブルテレビのローカルニュース番組を見てからこの写真展に来る人なんて、ほとんどいないだろうし」と、軽い気持ちで引き受けたのだった。

ところが、在廊していた昨日、「歩いてたらこの写真展の情報をテレビで見たので」という人が来た。「歩いてたら? どゆこと?」とちょっと訝しく思っていたのだが、今日来られた人も「ニュースでやってたのを見ました」と言う。しかも「駅のモニタで見ました」と。聞くと、駅の構内や近辺に設置されているデジタルサイネージの大型モニタ画面には、ケーブルテレビ局などによるローカルニュースの情報も配信されているのだという。

……なんてこった。完全に想定外だ。恐ろしいほど不特定多数の人が行き来する駅で、僕のしけたツラがでかでかと表示されているなんて……(汗)。

駅に近づくのが、すっかり怖くなってしまった。やれやれである。

活動限界

昨日の午後は、リトスタでの写真展の件で、ケーブルテレビ局からの取材を受けた。冷静に考えると、3月末からやってる写真展の情報を、なんで会期残り10日ほどの今になって、とも思うのだが……。まあ仕方ない、断る理由もないということで、粛々と対応し、カメラの前で30分ほど質問に答えた。

で、その後は電車で恵比寿に移動し、駅前でラーメンを食って腹ごしらえをした後、代官山蔦屋書店へ。三井昌志さんとのスライドトークイベント、毎度のことながら緊張して、終わった後も記憶は真っ白だったが、どうにかこうにか乗り切れた、と思う。関係者の方々や、見に来てくれた人たちも喜んでくれてたし。

それにしても、同じ一日のうちに、テレビ取材対応とトークイベントのコンボとか……。今までももちろんなかったし、これからもないだろう。緊張と気疲れとで、活動限界は完全に超えていた。やれやれである。

積み残し、なし

ラダックの風息[新装版]」が発売されてから、1カ月半ほど過ぎた。出版記念関連のイベントや展示は、今月も来月もその先も、まだまだいろいろ続くのだが、この本に対する自分の気持は、ある意味とてもすっきりと整理できたように思う。

ああ、これでやっと、積み残しがなくなったな、と。

ラダックで一人、無我夢中の体当たりであちこち旅をしながら過ごしていたあの頃から、今に至るまでの日々。撮り続けてきた写真、書ききれないでいた言葉。それらをようやく、一番納得のいく形で、一冊の本に凝縮させることができた。だからもう、今までの自分が取り組んできたことをふりかえって気にかける必要はない。これからの自分が何をすべきなのか、何を新たに積み上げていくべきなのか、そのことに集中していける。今、はっきりと、そういう気持になった。

ラダックで、あるいは別のどこかで、何かを追い求めて。その姿は少しずつ、うっすらと見え始めている。

青梅丘陵散策

R0011258
ひさしぶりに外で、しかもかなりお気楽に身体を動かそうと思い、青梅駅からすぐの場所にある青梅丘陵ハイキングコースを散策してきた。白いシャガの花々が咲く向こうに、木々の梢に芽吹いた新緑が次第に色濃くなっていくさまが、瑞々しいグラデーションとなって現れていた。澄んだ空気を深く吸い込む。気持いい。

R0011259
天気予報では今日は快晴となっていたが、朝から晩まで、あいにくの薄曇り。暑くなかったので身体は楽だったけど、ひさしぶりにおひさまの光を浴びたかったなというのは、ちょっと贅沢か。青梅丘陵ハイキングコースは平坦で楽に歩ける割に爽快感もあるし、アクセスも楽なので、結構気に入った。途中に休憩所もたくさんあるので、今回はジェットボイルを持参して、休憩所のテーブルで温かい食事を作って食べた。

こんな休日、いつ以来だろう? いいリフレッシュになった。

最高の勲章

ラダックの風息[新装版]」の発売以来、トークイベントに出演したり、写真展を開いて在廊したり、先週末はアースデイ東京にも顔を出したりしていて、たくさんの読者の方々に直接お会いする機会が増えた。会う人ごとにいろんな感想をいただいて、それぞれとてもありがたいし、参考にもなるのだが、以前から今に至るまでずっと、言ってもらえると一番うれしい感想がある。

「ヤマモトさんの本を本屋さんでたまたま手に取って、読んで、それでラダックに行っちゃいました!」

こういう方が、一人や二人ではないのだ。本当にびっくりである。だって、ハワイや台湾とはわけが違う。インドの中でもとりわけ奥地のラダックなのだ。飛行機代だって安くはないし、時間もかかるし、気力も体力も使う。そんな場所にわざわざ行ってもらうような背中の後押しを、自分の書いた本がさせてもらっているなんて。

世間で権威のある人たちがくれる賞よりも、本の売り上げがただ単に伸びるよりも、僕にとっては、自分の本を読んでラダックに行ったと言ってもらえるのが、何物にも代えがたい、最高の勲章だと思っている。誰かの背中を、ほんのちょっと後押しするための本。そういう本を、力が尽き果てるまで、ずっと作り続けたいと思う。

本当に、ありがとうございます。これからもがんばります。