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積み残し、なし

ラダックの風息[新装版]」が発売されてから、1カ月半ほど過ぎた。出版記念関連のイベントや展示は、今月も来月もその先も、まだまだいろいろ続くのだが、この本に対する自分の気持は、ある意味とてもすっきりと整理できたように思う。

ああ、これでやっと、積み残しがなくなったな、と。

ラダックで一人、無我夢中の体当たりであちこち旅をしながら過ごしていたあの頃から、今に至るまでの日々。撮り続けてきた写真、書ききれないでいた言葉。それらをようやく、一番納得のいく形で、一冊の本に凝縮させることができた。だからもう、今までの自分が取り組んできたことをふりかえって気にかける必要はない。これからの自分が何をすべきなのか、何を新たに積み上げていくべきなのか、そのことに集中していける。今、はっきりと、そういう気持になった。

ラダックで、あるいは別のどこかで、何かを追い求めて。その姿は少しずつ、うっすらと見え始めている。

青梅丘陵散策

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ひさしぶりに外で、しかもかなりお気楽に身体を動かそうと思い、青梅駅からすぐの場所にある青梅丘陵ハイキングコースを散策してきた。白いシャガの花々が咲く向こうに、木々の梢に芽吹いた新緑が次第に色濃くなっていくさまが、瑞々しいグラデーションとなって現れていた。澄んだ空気を深く吸い込む。気持いい。

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天気予報では今日は快晴となっていたが、朝から晩まで、あいにくの薄曇り。暑くなかったので身体は楽だったけど、ひさしぶりにおひさまの光を浴びたかったなというのは、ちょっと贅沢か。青梅丘陵ハイキングコースは平坦で楽に歩ける割に爽快感もあるし、アクセスも楽なので、結構気に入った。途中に休憩所もたくさんあるので、今回はジェットボイルを持参して、休憩所のテーブルで温かい食事を作って食べた。

こんな休日、いつ以来だろう? いいリフレッシュになった。

最高の勲章

ラダックの風息[新装版]」の発売以来、トークイベントに出演したり、写真展を開いて在廊したり、先週末はアースデイ東京にも顔を出したりしていて、たくさんの読者の方々に直接お会いする機会が増えた。会う人ごとにいろんな感想をいただいて、それぞれとてもありがたいし、参考にもなるのだが、以前から今に至るまでずっと、言ってもらえると一番うれしい感想がある。

「ヤマモトさんの本を本屋さんでたまたま手に取って、読んで、それでラダックに行っちゃいました!」

こういう方が、一人や二人ではないのだ。本当にびっくりである。だって、ハワイや台湾とはわけが違う。インドの中でもとりわけ奥地のラダックなのだ。飛行機代だって安くはないし、時間もかかるし、気力も体力も使う。そんな場所にわざわざ行ってもらうような背中の後押しを、自分の書いた本がさせてもらっているなんて。

世間で権威のある人たちがくれる賞よりも、本の売り上げがただ単に伸びるよりも、僕にとっては、自分の本を読んでラダックに行ったと言ってもらえるのが、何物にも代えがたい、最高の勲章だと思っている。誰かの背中を、ほんのちょっと後押しするための本。そういう本を、力が尽き果てるまで、ずっと作り続けたいと思う。

本当に、ありがとうございます。これからもがんばります。

「ラダック」と「渋イケメン」〜それでも僕たちが旅に出る理由〜

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ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]」の発売に合わせて、5月18日(水)の夜、代官山蔦屋書店でトークイベントが開催されます。今回のお相手は、同じ雷鳥社から昨年「渋イケメンの国」を刊行された写真家の三井昌志さん。この二人ならではの、ディープな旅のトークになると思います。お申し込み、お待ちしています。

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三井昌志×山本高樹 スライドトークイベント
「ラダック」と「渋イケメン」〜それでも僕たちが旅に出る理由〜

アジアの辺境をバイクで自由に旅しながら新鮮な出会いと感動を写真に撮り続ける、三井昌志。インド北部の山岳地帯ラダックにひたすらこだわって通い続けて本を作る、山本高樹。

旅に対して対照的なアプローチを持つ二人は、一年のうち数カ月を仕事で、あるいは個人的な動機で旅をして過ごします。日本から海外へ旅に出る人がめっきり少なくなったとも言われる昨今、二人はなぜそれぞれの流儀で旅を続けるのでしょうか。写真や文章を通じて、二人が伝えようとしていることは何なのでしょうか。

二人のこれまでの旅と作品をふりかえりながら、人が旅に出る理由についてじっくり考えてみるトークイベントです。

会期 2016年5月18日(水)
定員 50名
時間 19:30〜21:00
場所 代官山 蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
主催 代官山 蔦屋書店
共催・協力 雷鳥社
問い合わせ先 03-3770-2525
http://real.tsite.jp/daikanyama/event/2016/04/post-114.html

【参加条件】
代官山 蔦屋書店にて参加券(税込1,500円)のご購入もしくは、対象書籍をご購入いただいた先着50名様に参加券をお渡しいたします。
1:参加券(税込1,500円)
2:対象書籍
『渋イケメンの国』(三井昌志著 雷鳥社 税抜1,600円)
『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(山本高樹著 雷鳥社 税抜1,800円)

【お申込み方法】
以下の方法でお申込みいただけます。
1:代官山 蔦屋書店 店頭(3号館1階レジ)
2:代官山 蔦屋書店 オンラインストア
3:電話(03-3770-2525)

【対象商品】
『渋イケメンの国』(三井昌志著 雷鳥社 税抜1,600円)
『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(山本高樹著 雷鳥社 税抜1,800円)

【ご注意事項】
*参加券1枚でお一人様にご参加いただけます。
*当日の座席は、先着順でお座りいただきます。
*参加券の再発行・キャンセル・払い戻しはお受けできませんのでご了承ください。
*止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。

【プロフィール】
三井昌志(みつい・まさし)
1974年京都市生まれ。 写真家。アジアの辺境を旅しながら、「笑顔」と「働く人」をテーマに写真を撮り続けている。著書に『渋イケメンの国 〜無駄にかっこいい男たち〜』『写真を撮るって、誰かに小さく恋することだと思う。』(ともに雷鳥社)など多数。主なフィールドはインド、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー、カンボジアなど。
たびそら http://www.tabisora.com/

山本高樹(やまもと・たかき)
1969年岡山県生まれ。 著述家・編集者・写真家。 2007年から2008年にかけて、インド北部のラダックに長期滞在して取材を敢行。以来、かの地での取材活動をライフワークとしている。 著書に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)『ラダック ザンスカール トラベルガイド インドの中の小さなチベット』(ダイヤモンド・ビッグ社)など。
Days in Ladakh http://ymtk.jp/ladakh/

ヤマ場を越えて

先週の土曜日は、モンベル御徒町店での関健作さんとのトークイベントだった。会場はおかげさまで大盛況で、トーク自体も、たぶんそれなりにうまくいったのかなと思う。

イベントの後、僕の本を手に長い列を作ってくださった方々一人ひとりにサインを進呈し終え、会場の撤収作業をしていた時、急にがくっと、身体の力が抜けるような感触を感じた。神経の緊張が急に解けたとか、それまであまり水分を摂ってなかったとか、そもそもこれまで忙しすぎた疲労蓄積の反動とか、原因はいろいろあったのだろう。とにかく、頭がふわふわというかふらふらして、どうにもつらかったので、打ち上げは二次会をパスして抜けさせてもらって、這うようにして家にたどり着き、そのままぶっ倒れて寝てしまった。

日曜日も、午後のリトスタに在廊している間はまだふらふらの余波が残っていたのだが、夜から晩ごはんをビールと一緒に食べ始めて、やっと落ち着いたというか、人心地ついたというか、普段の自分の感覚に戻れたような気がした。その後またぐっすり寝て、今日はもう、すっかり大丈夫。通常のお仕事モードである。

とにもかくにも、トークイベントという今月の最大のヤマ場は越えた。……まあ、来月もあるんだけどね。