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冬の尾根道を歩く

ひさしぶりに、陣馬山から高尾山までの尾根道を歩いてきた。前に歩いたのは去年の2月だから、ほぼ一年ぶりか。まだ正月3日目なので混んでるかも、と思っていたが、陣馬山方面はそれほどでもなく、快適に歩くことができた。高尾山界隈は案の定、人、人、人で、高尾山口まで歩き終えるとすぐに退散したのだが。

今日は気持のいい青空が広がっていて、富士山の姿も、道中ずっとよく見えていた。昼頃から急に風が強くなったものの、アウターシェルのおかげで全然平気だった。ただ、途中ですれ違った登山者の中には、明らかに薄着すぎる人たちも結構いた。体力のあるトレイルランナーならともかく、あんな不十分な装備だと低体温症になってしまうのでは……。実際、動けなくなったのか、救助隊に保護されている登山者も見かけたし。

今回はジェットボイルは持って行かず、手持ちの魔法瓶を2本、一方にほうじ茶、もう一方にお湯を入れたものを用意した。食事はモンベルのガーリックリゾッタと、即席の具だくさん味噌汁。魔法瓶のお湯を注いで、すぐに食べてしまおうという算段だ。リゾッタは3分でできるので、待ち時間が短くて助かる。おかげで風が吹きすさぶ中、寒い思いをして待たされずにすんだ。間食はドライパイナップルとチョコレート羊羹。

今日は割とスローペースで、陣馬高原下バス停から歩きはじめて、高尾山口まで、だいたい5時間半。昼食などの休憩時間を差し引いた歩行時間は、4時間50分くらいだった。膝回りをはじめとする体調も特に問題なし。この調子で、じわじわと体力面のベースアップをしていければと思う。

取材納め

午後、紀尾井町で取材。今日はインタビューだけでなく、その前に撮影の任務もあったから、いつもよりちょっと気疲れした。まあでも、おおむね滞りなく終えられて、ホッとした。帰りに四ッ谷のたけだでカキバター焼き定食。

これで、2017年の取材の仕事はすべて終わった、はず。今週中に突発的な依頼が来ないかぎりは。今年は国内の取材だけで、だいたい70人くらいの方々にインタビューさせていただいたと思う。毎年これくらい場数を踏み続けていればさすがに慣れるだろうと僕自身も思っていたけれど、やっぱり、いつまでたっても、慣れない(苦笑)。そのくらい緊張感を持ち続けていた方がいいんだろうけど。

ともあれ、これにて取材納め。……仕事納めは、まだもうしばらく先だけど。

ちっぽけな思いから

最初に、自分一人だけで一冊の本を書こう、と思い立った時、心に決めていたのは、自分という人間の存在ができるだけ表に出ないようにしよう、ということだった。

自分の目の前で起こる出来事の一つひとつを丹念に見定めて、文章と写真で、それらをできるだけ忠実に描写する。個人的な感傷や思い入れで邪魔しないように気を配りながら、言葉を選ぶ。自分という人間が何者なのか、読者にはまったく気にされなくて構わない。そう思いながら、本を書き上げた。

そうして完成した本を読んだ僕の知り合いの何人かは、異口同音にこう言った。この本は、まぎれもなく、あなたの本だ。この本には、あなたの思い入れが、これ以上ないほどあふれている、と。そんな感想が返ってくるとは想像もしていなかったので、僕はすっかり面食らってしまった。

世界のとある場所とそこで暮らす人々のことを、徹底的に追いかけて、ただひたすらにそれを伝えようとしていたら、そこに立ち現れたのは、僕という一人のちっぽけな人間の姿だったのだ。

だったら、その逆は、あるのだろうか。

僕という一人の人間の、本当に個人的な、ちっぽけな思いから、遥か彼方への旅を始めたら、その先は、どこにつながっていくのだろうか。この世界の、底の見えない深淵につながっていくのだろうか。何かの理が、目の前に現れたりするのだろうか。

その旅は、もう始まっている。

「地上」2018年1月号 「極奥物語 第七話」


12月1日(金)発売のJA(農協)グループ刊行の雑誌「地上」2018年1月号のカラーグラフに隔月で掲載されているシリーズ「極奥物語」に、ザンスカールについての写真紀行「苛烈の谷の安息」を寄稿しました。

この雑誌は一般の書店では販売されていませんが、下記のページから申し込めば、単月号を1部から購入できます。必要事項をフォームに記入して申し込むと、雑誌と請求書兼払込用紙が送られてくるとのことです。

「地上」購読申し込み|地上|雑誌|一般社団法人家の光協会

写真は1枚を除いてすべて今年の夏に撮影したもので、文章も書き下ろしです。よかったらぜひご一読ください。

胸突き八丁

ここ半月ほどの間、新しい本の執筆・編集作業にひたすら没頭していた。一時はかなり焦っていたのだが、どうにか遅れを取り戻し、今日までに、約8割のページの準備作業が終わった。8割……ページ数だけで言えば。

ここから先、残りの数十ページは、半分以上が新規の書き下ろしで、残り半分もかなり手間のかかる作業が絡んでくる。文字通り、胸突き八丁。しんどい日々が続くのは間違いない。それもまあ、楽しいのだけども。

他にもタイ案件や大学案件もこれから作業や取材が入ってくるし、うっかり風邪とか引いたらそれこそスケジュール的に大変なので、いろいろ油断しないように、ぼちぼち、やっていきます。