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西荻カレー天国

僕が今住んでいる西荻窪は、カレー屋さんが、めちゃめちゃ多い。さっき、自分が入ったことのある西荻のカレー屋さんを数えてみたら、優に10軒はあった。それでもたぶん、総数の半分かそこらくらいだと思う。

それらの内訳も、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュなどのインド亜大陸各国のカレーのほか、フレンチ仕込みや和風テイストなど、オリジナルのアレンジのカレーを出す店もとても多い。タイ料理店やベトナム料理店で出すそれぞれの国のカレーも含めると、まじでとんでもない種類のカレー屋さんが、この小さな駅の界隈にひしめいている。あと、自前の店舗ではなく、他店に間借りする形でカレーを出している人気店もたくさんあるそうで、全部をフォローするのは、よほどのカレーマニアでないと難しい。

三鷹駅の北口側に住んでいた頃は、自宅の近くにあったのはココイチくらいで、南口側のリトスタまで行ってようやくランチのカレーにありつけるくらいだったから、本当に隔世の感がある。あの頃と比べると、今は僕も自宅で週一ペースでスパイスカレーを自炊するようになって、お店でカレーを食べていても、スパイスの香りや味わいが以前よりわかるようになってきた気がするので、最近はカレーを食べること自体がますます楽しくなった。

そんな今日この頃ではあるのだが、今週自炊する予定のカレーは、ハウスジャワカレーの粉末ルーを使った、ごく普通のビーフカレー(笑)。まあ、これはこれで、うまいんだよなあ。

ポトフを煮る


寒くなってきたので、昨日の夜は、ポトフを作った。

西荻窪のソーセージハウスもぐもぐで、ポトフ向きのソーセージを2本ずつ2種類と、厚切りのベーコンを1枚調達。野菜はキャベツ、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ。野菜とベーコンをそれぞれ切って、丁寧に鍋に詰める。茅乃舎の野菜だしパックで作ったコンソメ1カップを鍋に入れ、蓋をして煮立たせてから、弱火で20分。蓋を開けて中の様子を確認し、ソーセージを上にのせ、さらに20分(最初からソーセージを入れて煮込むと、たいてい皮がはじけてしまう)。野菜が煮崩れないように、ごく弱火で、ほどほどの時間煮ると、きれいに仕上がる。

昨日は日中にちょっといらっとする出来事があったのだが、良い食材を使って、確実においしく作れるレシピで、きれいに料理を仕上げて盛り付けて、それを一気にきれいにたいらげると、ストレスが吹っ飛んで、ものすごくすっきりした。料理というのは、こういう役立ち方もあるのだなあ、と思う。

食パンと男の子

少し前の週末、近所のパン屋さんへ、食パンを買いに行った時のこと。

そこは週末の3日間だけ営業するスタイルのお店で、開店時間の正午から、店の外には7、8人の行列ができていた。僕の前には、お父さんとお母さんと男の子と女の子の4人家族が並んでいた。たぶん、家でのおひるごはんに、惣菜パンや菓子パンを何個か買って帰るつもりだったのだろう。

「ねえ、何のパンにするの?」と、お母さんが男の子に訊く。

「えーっとね、食パン」
「……食パン?」
「ぼく、食パンがいい。食パンが食べたい」

見るからに困惑してるお母さんを残し、お父さんは男の子と女の子を連れて、近所のコンビニにジュースを買いに行った。で、そのうちそのお母さんの番が来て、いくつか惣菜パンと菓子パンを注文して、エコバッグに受け取っている時、コンビニから3人が戻ってきた。

「ねえママ、食パンは? 食パン買ってくれた? 食パン入ってる? ぼく、食パン食べたいんだー!」

生返事をしながら、店の前を離れるお母さん。まあ、そりゃそうだ。その子一人のためだけに、食パン1斤買い足すわけにはいかないだろうし。

しかしまあ、何であんなに食パンが好きになったんだろう。きっと将来、オトコマエになるね(笑)。

腐海の記憶

ようやく梅雨が明けたと思ったら、いきなり夏が本気でぶん殴ってきたような暑さである。

さっき、駅前の本屋とスーパーに行くために外に出たら、明らかに体温越えの熱風が。気温だけなら、今の時期のデリーやバンコクよりも暑い。コロナ禍がなかったら、今年はこんな酷暑の中でオリンピックのマラソンとかが開催されてたのだ。来年、本気でやるつもりなんだろうか。たぶんそれまでにコロナ禍が収束せずに中止になるだろうけど。

例年のこの時期、僕はたいていインドのラダックあたりにいて、標高3500メートルの涼気の中で過ごしていた。自分自身は快適だったのだが、留守の間に閉め切っていた三鷹のマンションの部屋は、帰国してみるとひどいことになっていた。一言で言うと、腐海、というか……。体温越えの気温と湿気の中で1、2カ月も部屋を閉め切っていると、革製品やら何やら部屋中の至るところに、カビやら何やらわけのわからないものが繁茂するのである(怖)。一昨年から二人暮らしに移行して西荻窪に引っ越して以降は、その恐怖から免れられるようになったのだが。

あの腐海の光景を味わうのは、もう金輪際、御免被りたい。ナウシカのような広い心には、なれそうにない(笑)。

お茶を飲んだり、ごはんを食べたり

この週末は、ひさしぶりに相方と二人で、外で飲み食いをする機会があった。土曜の夕方に三鷹の横森珈琲でお茶を飲んだのと、日曜の夕方に西荻のコノコネコノコでお酒を飲みつつごはんを食べたのと。

これまでずっと、日常の中で当たり前のようにしていたことだったのに、コロナ禍の影響で、かれこれ3カ月もご無沙汰していた。その間も、リトスタやコノコネコノコにはテイクアウトでお世話になっていたのだが、あらためて、二人で出かけて外でお茶を飲んだり、ごはんを食べたりすると、いつのまにか失われていたものの大きさ、そしてそれが少しずつ戻ってきたことのありがたさを、しみじみと感じた。

東京の感染状況は、まだまだまったく油断できない状況なので、しばらくは、外で飲み食いをするにしても、込み合わなさそうな場所と時間帯を選んでというやり方になると思うが、それでも、やっぱり、とても嬉しい。少しずつ、取り戻していければな、と思う。