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そして春が来た

今朝は早起きして、家から徒歩20分の場所にある税務署へ。確定申告を今日こそ終わらせねばならない。

開場してすぐの時間だったのに、申告会場にはすでに長蛇の列。幸い、すぐに列を離れて青色申告コーナーに誘導してもらえたので、そこまで待たされることはなかった。あの列でまともに待ち続けるのは本当に大変だろうな……。

一年前の申告の時の経験と、自宅でかなり周到に数字をチェックして整理しておいた甲斐あって、決算書などの書類はかなりスムーズに準備できた。よしよし、と思っていると、国民健康保険の支払証明書を持ってくるのをうっかり忘れていたのに気付く。ガッデム。係員さんに頭を下げ、家まで早足で往復して取ってくるはめに。

あたふたあたふた、どうにかこうにか、書類を全部提出し終えて、まだ長蛇の列が連なる税務署を出たのは、ほとんど正午前だった。近くのフレッシュネスでバーガーとコーヒーのおひるを食べ、半ば放心状態で、歩いて家に戻る。近所の家の庭では、木蓮の花がほころびはじめていた。

自分の写真展について考えたこと

今年はひさしぶりに、単独で写真展をやることにした。春先に新しい本を出すので、そのタイミングに合わせて。ここ数年、ラダック、ザンスカール、スピティで撮影してきたものを中心に、それ以前からの代表作も織り交ぜて展示しようと思っている。

会場は今のところ、2カ所を予定している。どちらも、友人が経営する飲食店の店内だ。それぞれ展示内容は異なるが、一方では約2カ月、もう一方でも約1カ月と、写真展としてはかなり長期間の展示になる。

もともとは、数年前から「次にラダックの写真展をやるなら、展示専用のギャラリーで、大きくて高画質なプリントのパネルをずらりと並べるような展示にしたい」と考えていた。メーカー系のギャラリーの公募にかたっぱしからあたってみようとか、もっと高く付くけど開催時期の調整に融通の利く私営のギャラリーはどうだろうかとか、いろいろ模索していた時期もあった。ただ、そうやって検討を重ねているうちに、なんとなく自分の中で違和感が芽生えてきていたのも事実だった。

僕はそもそも、どうして写真展をしたいんだろう? 誰に、何を伝えたいと思っているのだろう? もしかして、ただ単に自分自身の虚栄心を満たそうとしてはいないだろうか?

専用のギャラリーで高品質なパネルを並べて展示すれば、確かにそれによって伝えられる感動はあるかもしれない。でも、よほど立地条件のいいギャラリーでないかぎり、そういう展示にわざわざ足を運んでくれるのは、写真を見るのが好きな人や、すでにラダックに強い興味を持っている人にしぜんと限られてくる。期間もせいぜい1、2週間が限度だし、来たくても来れずに終わる人も少なくないかもしれない。

僕はむしろ、ラダックのことをほとんど知らない人や、写真にもあまり関心のないような人にこそ、自分の写真をきっかけにラダックに興味を持ってほしいと思っているのだ。極端な話、ヤマモトタカキが誰だとか、知ってもらわなくても構わない。この世界に、こういう場所があるのだと、ただそれを伝えたいだけなのだ。

そこまで考えがほぐれると、結論はおのずと見えてくる。今度の新しい本に合わせて写真展をやるなら、自分のルーツに一番近い場所で。誰でも気軽に来れて、何も知らずに来た人もちょっと興味を惹かれるような、さりげないけど、じわじわくる、そういう展示。それを、できるだけ長い期間、じっくりと。この世界に、こういう場所があることを、まっすぐ伝えるための写真展。

僕の伝えたいことは、たぶん、根本的なところは昔からずっと変わっていない。写真展でそれを伝えるには、少なくとも自分にはこのやり方が一番合っている。今はそう確信している。

というわけで、もうすぐ、やります。お楽しみに。

カレーの充足感

今週は、今日あたりまでにいろんな連絡や原稿素材が届くはずだったのだが、昼の間はまるで音沙汰なし。まあ仕方ない、と食材の買い出しに近所のスーパーへ。豚肉が全部4割引だ。煮込み料理用のバラ肉を買う。今夜はカレー。

タマネギをみじん切りにし、オリーブオイルと一緒に中火でじわじわ炒める。水気が飛んで飴色になったところで、豚肉、ニンジン、ジャガイモと順次追加。全体に油が回ったら水を入れ、沸騰したところでアクを取り、しばらく弱火でコトコト煮る。隣のコンロにごはん鍋をかけて米を炊き、それが蒸らしに入るあたりのタイミングで、カレーの方にルウを投入。さらにトロ火にして、焦げ付かないように時々かき混ぜながら煮る。

炊きたての白いごはんに、具だくさんのカレーをとろりとかけ、おもむろにスプーンですくって頬張る。うまい。自分の家で好きなようにカレーを作って、腹いっぱい食べる時のこの満たされた感じは、いったい何なんだろう。ほかの料理ともちょっと違う、カレーならではの充足感。

すっかり満足して、さあ風呂入ってのんびりするかとソファから立ち上がったとたん、Macに立て続けにメール着信。届くはずだった連絡や素材から、新しい仕事の相談まで。何だこのタイミングは……いや助かるけど。これもまあ、仕方ないか。

年間スケジュール

昨日今日と、割と家でゆったり過ごしている。今休んでおかないと、この先もたないような気がして(苦笑)。

夕方、コーヒー豆の補充をしに、まほろば珈琲店さんへ。「陽の出てる時間がだいぶ長くなりましたねえ」と言われ、そういえばそうだなと気づく。隣のこいけ菓子店さんでショートブレッドを買った時は、「これからバレンタインで忙しくなりそうで」と言われる。もうそんな季節か……ついこの間、正月になったばかりと思ってたのに。

今年から週イチペースでWeb連載を担当するようになったので、毎週どんなテーマの記事を作っていくかをいろいろ検討している。今の段階で、夏はもちろん、11月くらいまでを見越してスケジュールを組んでおかないと、とてもじゃないがやりくりできない。他にもいろんな仕事が絡んでくるし。そんな状況で年間スケジュールを組んでいると、年の瀬感というか、早くも2016年が終わってしまったような気分になる。

まだ1月だというのに……でも、きっと、あっという間なんだろうな。

半天賛歌

ここしばらく、ようやく冬らしい冷え込みになってきた。うちの部屋は鉄筋マンションの一階なので結構冷える方なのだが、未だにエアコンはほとんど使っていなくて、机の下に置いているデロンギの小さなオイルヒーターだけ。それでも十分しのげている。

なぜなら、この冬は半天を着用しているからだ。

うちで使っているのは、かまわぬの半天。ふんわりと軽くて、まるで布団にくるまってるように暖かく感じる。朝起きて、これを羽織って仕事机の前に座っても、そのまま突っ伏して二度寝してしまいそうな気分になる(笑)。とにかく着ていてラクなのだ。着るというより、ただゆったり羽織るという感じで、身体を締め付ける部分がどこにもない。それでいて身体の熱が外に逃げることもない。よくできてる。昔の人の知恵はすごい。

おっさんが半天を羽織って机に向かってる様子は、いかにもしがない泡沫ライターといった風情の見た目だと思うけど(笑)、どうでもいいや。